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ダンジョン&アリスベル修行編

ろくでもないな天使と悪魔!

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 それは少し前の事。
 モンスターが全部、私達の前を通り過ぎる迄の間、私達は魔法を使い影の中に隠れていた。

「ご・・主人・・・様・・んぅっ!」

 自分の意思に反して動き続ける手を無視して、私は何とか理性を保つ。

 大丈夫!私はまだ大丈夫!手?こいつは知らんよ!別の生き物だきっと!!

 潤む瞳、上気する頬、漏れでる吐息、途切れ途切れに私を呼ぶ声。

 正直、私の強固な意思が無ければどうなる事やら、だから手は知らんよ!!とは言えもうこのまま押し倒してもいい気がして来た。

「ご主・・・・人・・・しゃま?」

 あっ、ヤバイ。何か私の中の天使と悪魔が「ここは雰囲気を醸し出して」とか「獣の様に押し倒せ」とか言ってる?!って、結局どっちも押し倒すのかよ!?ろくでもないな天使と悪魔!あっ、コイツら私だ!オマケに凄くいい笑顔でサムズアップしてやがる!?

 私が熱気と雰囲気に当てられ混乱し、そんな思考に傾き初めて来た時、不意に新たな気配を感じ急激に正気に戻る。

「アリシア出るよ!」

「へぅ?」

 アリシアの返事にならない返事を聞き、私達は影の中から飛び出す。

 スタッ!「きゃん」

 影から飛び上がるように外に出てアリシアが尻もちを付く。

 よし。まだ遠いいみたいだな。

「あう、ご主人しゃま?もう終わりれすか?」

 アカン!ろれつ回って無いし、自分が何言ってるか理解してない!再起動!再起動の仕方!説明書プリーズ!!

「ご主人しゃま~」

 余程頭が回っていないのか、舌ったらずな状態で抱き付いてくるアリシア。

 やっぱこれ押し倒した方が・・・・ガスッ!・・・痛い。でも、正気には戻った気がする。こう言う場合は外的ショック!ええいままよ!

 私は抱き付いていたアリシアを離し、今度は思いきりアリシアの胸を鷲掴みにする。

「きゃん!」

(あれ?私何して?ご主人様?えっ?えっ?胸揉まれ・・・・・・)

「ひっ!キャアアアァ!」

 思いきり掴まれた事で、意識がハッキリとしたのか、アリシアは事態を把握するとみるみる顔を赤くし、完璧に正気に戻った時、拳に魔法を纏い私の顔面を狙って来る。

 わ~痛そう。今度近寄られた時様にクーに【魔法拳】教えておいて貰おう―――と私は迫りくる拳を見ながら思うのだっ・・。

 ドパン!「ギャース!」ゴス!ズルズルッ!ポトッ。

 アッパー気味に殴られた私は、吹き飛び顔面から壁に当たり、そのまま虫の様に落ちていく。

「は~、は~、は~、はっ!ご、ご主人様!すいません!大丈夫ですか?!」

「だ・・・大丈夫!世界を狙おう」

「しっかりしてくださいご主人様」

 自分で治療魔法を掛けつつ、アリシアに戦闘準備を初めて貰う。

 アリシアは弓とか矢を用意しないとだからね。それにしてもあの咄嗟の状況下で、威力の無いブラスト系の魔法を選ぶとは、流石アリシア。

 そんな事を思っていると、前の方からアリクイの様なモンスターの、ジーアが四匹。岩で出来た鳥のモンスターの、ロックバードが四匹こちらに向かって来ている。

「アリシアは弓で鳥を、極力魔法は使わないでやろう。使うとしてもなるべく危険になるまでは、使わないように私はジーアをやる」

「わかりました。ご主人様?」

「ん?」

「帰ったらお話が有りますからね?」

「・・・・・・・・・・・・」

「あ・り・ま・す・か・ら・ね?」

「・・・・・はい」

 さて、この状況どうするかな?勿論二つの意味でな!!

「来ます」

 アリシアが注意を促すと共に、敵に向かって弓技【村雨】を放つ。

 【村雨】は魔力で矢を分裂させ面を攻撃出来る技だ。

 いきなりの攻撃にジーアは避けるがロックバードの一体は、攻撃をまともに受け息絶え、その回避行動に依り見事に分断される。私は、ジーアに素早く近より先ずは一体、水転流抜刀術奥伝【落水】で両断する。

 このレベルでコロの武器なら、私でも業があれば一発で行けるな。

 【落水】を放った硬直時間を狙い、二匹のジーアが襲ってくるが、【結界】をジーア二匹の目の位置に出し、見えない障害物に衝突させる。私は刀を仕舞いもう一匹のジーアからの、舌による攻撃を避けながら
【結界】を拳に集中しそこに火魔法をプラスする。そして、武技による連続攻撃、拳技【ラッシュブロー】をジーアに向けて放つ。

 ドドドドバン!ガンッ!

 私の拳がジーアに一度当たる度に、ジーアの体に爆発が起り、最後の一発が当たると体が吹き飛び壁に激突する。

 うんうん。痛いよね~。私も今さっき食らったから分かるよ。手加減はしないけど。見たか私のオリシナル爆裂拳!

 すると今度は立ち直った一匹が、口から涎の様な粘液を吐き出して来る。それを避けると、ジュッ!と言う音と共に地面が溶ける。

 ウゲ!こんな攻撃が!

 効果的と見たのか今度は二匹揃って、涎を飛ばして来る。私はそれを避けながら【結界】も使い何とか回避し続ける。しかし、流石に数が多く避けづらい為ダメージは増えていく。これではジリ貧だと感じた私は、思いきりジーアの真上に迄飛び上がる。すると案の定ジーアは、自分の真上にいる私に向かって涎を飛ばす。しかし、私はそれを【結界】で阻むと、二匹分の涎が当たりそのまま、真下にいたジーアに降りかかる。

「ギギャァアユ!」

 私は【結界】を足場にもう一度跳躍して、今度は天井を蹴りつけ真下に加速して、鎌鼬でジーアを両断する。
 元々自分の攻撃で、ダメージを食らっていたジーアは、簡単に倒れる。
 そしてそのまま私は最後の一匹に、鎌鼬を突き刺しジーアの体の中で、魔法を解放すると。ドパン!と言う音と共にジーアの体が弾け飛んだ。

「ご主人様終わりましたか?」

「うん。丁度ね。さっ、エレオノ達の所に戻ろうか?」

「そうですね」

 アリシアが顔を赤くしながら、私に近寄らずに言う。私が一歩近付くと一歩遠ざかる。

「早く戻りましょう」

「う、うん」

 何かさみしい・・・・。

「あっ、そうだご主人様。後でちゃんとお話しましょうね?」

「・・・・・はい」

 私の戦いはまだまだ続く。
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