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ダンジョン&アリスベル修行編
(あぁ、異世界あるある何だこれ)
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ギルドを出た足でハクア達が向かったダンジョンは、全10層からなる塔型ダンジョン、カシムの塔だった。
ダンジョンは最初に踏破した者が、命名権を獲得するので、こうして人の名前が付くことが多い。
そしてこのカシムの塔は、推奨ステータス400以上のダンジョンで、通常のダンジョンよりも探索範囲が狭く、モンスターが密集しているので、今のハクア達なら一匹一匹は、対して苦労せず倒せるが、纏まった敵を相手にするには丁度良いレベルであった。
今回ここをハクアが選んだ理由は、この先に控える対魔族戦を見据えた為であった。
戦闘の経験値も去ることながら、集団戦闘にも慣れていない為、狭い場所での密集戦闘を行うのが目的だった。
「・・・・と、言うわけで本来ならこんな狭いダンジョン、この人数で行くなんてお互いの邪魔にしかならないけど、今度の集団戦闘は、これ位密集して戦う可能性も、十分に有り得るから、お互い同士討ちには気を付けるようにね?」
(私がフレンドリーファイア何て食らったら死んじゃうよ?)
「了解ですハーちゃん!」
「振りじゃねーぞ」
(いや、マジで)
「分かってるよハーちゃん」
「マスター、瑠璃そろそろ行きますよ」
「「あっ、はい」」
「二人ともそこは大人しく従うんですね」
塔の前で漫才を始めた二人が、ヘルに諌められる事で漸く全員、塔に入る準備を完了させる。
「ハクアの武器は、結局満足のいく良いのが作れなかったんだよね?」
「ハクアごめんかな」
「気にしなくて良いよ」
勇者との戦いの最中に、全ての武器を壊されてしまったハクアは、コロに新しい武器の作成を頼んだが、ダンジョンにも市場等の店にも、これといった素材が無かった為、骸や暁、宵闇の様な武器は作れなかった。
それでも一応全ての武器を溶かして、素材に戻す事で間に合わせの武器は作ったが、コロの満足出来る物では無かった。
ハクアはコロに聞くまで知らなかった事だが、この世界では一度素材として使った物は、溶かして作り直しても元の武器の劣化版しか作れなかった。
「一応間に合わせで作ったけど、本当にこれで良かったのかな?」
「うん。オッケーだよ」
「やっぱりハーちゃんは刀がよく似合うね」
コロがそう言いハクアが受け取った武器は、瑠璃の言う通り刀だった。
(久しぶりに使うけどこの感じ、やっぱり良いな)
水転流は様々な武器の業が在るが、ハクアが好んで使っていたのは、徒手空拳の業と刀による物だった。
ハクア曰く「刀は力を入れなくても切れるから良い」そう言って特に、刀の稽古は進んで修めていたのだった。
因みにもう一つの理由としては、刀が格好良いから。で誰にも言わなかったが、勿論瑠璃と澪にはバレていたのは、ハクアの知らない所だった。
「おお、流石コロいい感じ」
ハクアが受け取った刀を抜き、とても嬉しそうに言う。そして「ハッ、フッ!」と、目にも止まらぬ早さで馴れた様に刀を振るう。
「うん。重さも私好みだな。欲を言えば手元にもう少し重さが欲しいけど・・・って、皆どうしたの?」
「いや、少しびっくりして・・・ハクア何で今まで短剣使ってたの?」
「そうですよご主人様。初めから刀の方が良かったのでは?」
「最初のギルドには刀無かったから、何となくそのままね。それにこの世界に刀が在るとも思わなかったし」
「ふむ。異世界人によく有る事じゃな」
(あぁ、異世界あるある何だこれ)
「おねちゃん格好いいゴブ」
「うん。格好いいですハクア先輩」
「ありがと。じゃ準備も出来たしそろそろ行こうか」
ハクアが刀の具合を調べている間に、全員の準備が整い警戒しながらも、塔の中へと入る。
塔の中は思ったほど通路も狭くなく、モンスターは取り合えず、確認出来る位置には居なかった。
(外周には居ないって聞いてたけど本当みたいだな)
この塔は外周に沿って歩き、中央へ続く扉を潜り抜け中央を踏破、その後また外周に沿って歩き階段を昇る。と言うルートになっているらしい。上階に向かうほど塔が先細りに成り、中央の部屋のモンスターの密度が高く、最上階はボス部屋だけ。と、なっている。
(モンスターは中央部からは出て来ないらしいけど警戒はしとこう。それにこの塔は人が入る度に、中央部が変わるらしいからね)
ハクアの考える通り。この塔の一番の問題がそこである。この塔はパーティーが一組入ると、踏破するかアイテムを使い逃げ出すか、もしくは全員が死ぬまで塔の入り口が開かない様になっている。その為この塔に入るには、ギルドに申請する決まりになっていた。
そしてこの塔は、人が入る度に中央部の形を変え、罠や宝箱、モンスターが毎回違った配置で出てくる。そしてその形は、複雑な迷路で有ったり、一本道、はたまた大広間の様になり、モンスターがたむろしている場合も有るのだ。
(さて、それじゃ久しぶりにやりますか!)
ダンジョンは最初に踏破した者が、命名権を獲得するので、こうして人の名前が付くことが多い。
そしてこのカシムの塔は、推奨ステータス400以上のダンジョンで、通常のダンジョンよりも探索範囲が狭く、モンスターが密集しているので、今のハクア達なら一匹一匹は、対して苦労せず倒せるが、纏まった敵を相手にするには丁度良いレベルであった。
今回ここをハクアが選んだ理由は、この先に控える対魔族戦を見据えた為であった。
戦闘の経験値も去ることながら、集団戦闘にも慣れていない為、狭い場所での密集戦闘を行うのが目的だった。
「・・・・と、言うわけで本来ならこんな狭いダンジョン、この人数で行くなんてお互いの邪魔にしかならないけど、今度の集団戦闘は、これ位密集して戦う可能性も、十分に有り得るから、お互い同士討ちには気を付けるようにね?」
(私がフレンドリーファイア何て食らったら死んじゃうよ?)
「了解ですハーちゃん!」
「振りじゃねーぞ」
(いや、マジで)
「分かってるよハーちゃん」
「マスター、瑠璃そろそろ行きますよ」
「「あっ、はい」」
「二人ともそこは大人しく従うんですね」
塔の前で漫才を始めた二人が、ヘルに諌められる事で漸く全員、塔に入る準備を完了させる。
「ハクアの武器は、結局満足のいく良いのが作れなかったんだよね?」
「ハクアごめんかな」
「気にしなくて良いよ」
勇者との戦いの最中に、全ての武器を壊されてしまったハクアは、コロに新しい武器の作成を頼んだが、ダンジョンにも市場等の店にも、これといった素材が無かった為、骸や暁、宵闇の様な武器は作れなかった。
それでも一応全ての武器を溶かして、素材に戻す事で間に合わせの武器は作ったが、コロの満足出来る物では無かった。
ハクアはコロに聞くまで知らなかった事だが、この世界では一度素材として使った物は、溶かして作り直しても元の武器の劣化版しか作れなかった。
「一応間に合わせで作ったけど、本当にこれで良かったのかな?」
「うん。オッケーだよ」
「やっぱりハーちゃんは刀がよく似合うね」
コロがそう言いハクアが受け取った武器は、瑠璃の言う通り刀だった。
(久しぶりに使うけどこの感じ、やっぱり良いな)
水転流は様々な武器の業が在るが、ハクアが好んで使っていたのは、徒手空拳の業と刀による物だった。
ハクア曰く「刀は力を入れなくても切れるから良い」そう言って特に、刀の稽古は進んで修めていたのだった。
因みにもう一つの理由としては、刀が格好良いから。で誰にも言わなかったが、勿論瑠璃と澪にはバレていたのは、ハクアの知らない所だった。
「おお、流石コロいい感じ」
ハクアが受け取った刀を抜き、とても嬉しそうに言う。そして「ハッ、フッ!」と、目にも止まらぬ早さで馴れた様に刀を振るう。
「うん。重さも私好みだな。欲を言えば手元にもう少し重さが欲しいけど・・・って、皆どうしたの?」
「いや、少しびっくりして・・・ハクア何で今まで短剣使ってたの?」
「そうですよご主人様。初めから刀の方が良かったのでは?」
「最初のギルドには刀無かったから、何となくそのままね。それにこの世界に刀が在るとも思わなかったし」
「ふむ。異世界人によく有る事じゃな」
(あぁ、異世界あるある何だこれ)
「おねちゃん格好いいゴブ」
「うん。格好いいですハクア先輩」
「ありがと。じゃ準備も出来たしそろそろ行こうか」
ハクアが刀の具合を調べている間に、全員の準備が整い警戒しながらも、塔の中へと入る。
塔の中は思ったほど通路も狭くなく、モンスターは取り合えず、確認出来る位置には居なかった。
(外周には居ないって聞いてたけど本当みたいだな)
この塔は外周に沿って歩き、中央へ続く扉を潜り抜け中央を踏破、その後また外周に沿って歩き階段を昇る。と言うルートになっているらしい。上階に向かうほど塔が先細りに成り、中央の部屋のモンスターの密度が高く、最上階はボス部屋だけ。と、なっている。
(モンスターは中央部からは出て来ないらしいけど警戒はしとこう。それにこの塔は人が入る度に、中央部が変わるらしいからね)
ハクアの考える通り。この塔の一番の問題がそこである。この塔はパーティーが一組入ると、踏破するかアイテムを使い逃げ出すか、もしくは全員が死ぬまで塔の入り口が開かない様になっている。その為この塔に入るには、ギルドに申請する決まりになっていた。
そしてこの塔は、人が入る度に中央部の形を変え、罠や宝箱、モンスターが毎回違った配置で出てくる。そしてその形は、複雑な迷路で有ったり、一本道、はたまた大広間の様になり、モンスターがたむろしている場合も有るのだ。
(さて、それじゃ久しぶりにやりますか!)
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