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ダンジョン&アリスベル修行編

「「ご主人様(ハーちゃん)の趣味じゃ無いんですか?」」

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「カーラの元に私の頼んだ物が届いたので、私達はカーラ邸へと来たのだった!」

「ハーちゃんいきなり誰に何を説明してるの?」

「まあまあ」

 ここに来た目的と、道中安定の馬車内でのお楽しみタイムに、テンションが上がりまくった。とは、流石に言えんな!
 でも、何がとは言わないけど、今回もごちそうさまでした。

 そんな訳で、カーラ邸へと着いた私達は、早速屋敷へと入る。すると何故かカーラが玄関まで出迎えに現れ、私達に挨拶をする。

「いらっしゃい。早かったわね」

「カーラこそ、こんな所まで出迎えに来るなんて珍しいね」

「分かってるのにそんな事言うなんて、相変わらず良い性格ね。いいわ、こっちよ」

 カーラはそう言って私達を広間へと通す。
 心なしかそわそわしているのは、私の計画がカーラ自身楽しみなのだろう。
 広間へと入ると、何時も並べられている椅子やテーブルが全て片され、中央にシーツを被せた物が置いてある。

 大きさは私と同じ位か?

〈そうですね。大体同じです。あれは何なのですかマスター?〉

「そうだよハクア。早く教えてよ!」

 ヘルさんの言葉にエレオノが反応し、私聞いてくる。
 その反応を見たカーラは、中央に行くと大変満足そうな顔でシーツを掴む。

「これが、私が競り落とした物よ!」

 そう言って、勢いよくシーツを剥ぎ取る。すると中から現れたのは、腰まで在るストレートで、光の具合で少し青っぽく見える銀髪。

 エレオノとは違う感じの銀髪だな。エレオノはどちらかと言うと、紫っぽく見えるし。

 そして、背丈はやっぱり私と同じ位、顔は作り物の様に綺麗に整っており、長いまつ毛が印象的な美少女だった。

「ハ、ハーちゃん!」「ご、ご主人様!」

 瑠璃とアリシアが、美少女を見て固まって居たが、急に私に向き直って左右から肩を捕まれる。

 あれ?何で?!

「「遂に人身売買に手を出したの(ですか)?」」

「そんなんしとらんわ!」

 何?何でいきなりそうなるのさ!?

「って、言うか何であの子裸なの?」

「そう言えば」

「「ご主人様(ハーちゃん)の趣味じゃ無いんですか?」」

 私のイメージがおかしい件について。

〈日頃の行いです〉

 畜生!?

「まぁ、買い取ってそのままだからね」

 エレオノの言葉に少し思う所が有ったのか、カーラがシーツを美少女の肩に掛けながら言う。

 あれ?もしかして皆気が付いて無い?

〈精巧な造りのタイプですからね。これはロストソウルズ魂を失った者達ですね?〉

「「「ロストソウルズ?」」」

「流石ヘルさん」

〈ロストソウルズは、その物ズバリ、魂や自我を失った機人種の総称です。戦闘や故障等で、魂や感情データが消えてしまい、修復出来なかった者、魂を容れられなかった者、そのまま廃棄された者等の事を指します〉

「詰りこの子は、廃棄された機人種何ですか?」

「ええ。今回私が今回私が競り落としたのは、昔戦闘用として造られながらも、魂を容れる前に敵に奪われ、その人間の様な精巧な造りから、美術品として使われ一度も起動される事が無かった物よ」

「だから綺麗なままなんだね」

「ええ。しかも、噂ではロストナンバーと呼ばれた、最終製造ラインの物らしいわ」

 ここで説明しておくと、現在機人種は、その数がどんどん減っている種族である。
 その理由は、今よりも遥か昔駄女神達がこの世界を創ったばかりの頃、他種族間での戦争をしていた時にまで遡る。

 当時まだ機人種に魂が宿らず、ただ感情データと人工知能に依って活動していた時、今は邪神と呼ばれている神々の手により、魔法と機械が融合した事で、魂を持つ様になった初めての機人種が造られた。その後も神々は面白半分に、様々な機人種を創ったが、その神が討たれ居なくなり、製造方法が分からなくなった事で、新たな機人種は産まれなくなった。と、言う事らしい。

『シルフィン:今機人種は、限り無く自分達に近いアンドロイドは造っていますがね。流石に魂までは作れないようです』

『ティリス:人工知能と感情データで、本人達以外はたいして気になりませんよ。それに機人種自体は、故障等する前に新しい体を作って、そっちに魂を移していますから、あんまり減っている訳でも有りませんよ』

 そうなんだ?

『ティリス:はい。後、機人種が作ったアンドロイド達を機人種は、欺機人と呼んでいます』

 何で?

『ティリス:自分達とは違う・・・・と、言う事にしたいんですよ。あんまりそんな風には言わないで欲しいですけど』

 そうだね。とは言え魂が在る時点で、他者との優劣を付けたがるのはしょうがない事では在ると思うよ。

『シルフィン:確かにそうですね』

 まぁ、話を戻すと今回カーラが競り落としたのは、その中でも最後に造られた、謂わばもっとも新しい機体であり、人間に近い構造を持っているらしい。 
カーラの言った最終製造ラインとは、そう言う意味である。

「でもさ、こんなの競り落としてハクアはどうするの?」

「まさか・・・・ハーちゃん。人に近い可愛いお人形さんで・・・・」

「違うからな?」

 何故直ぐにそうなる?

「今回競り落として貰ったのは、このロストソウルズに、ヘルさんを容れる為だよ」

「「「へっ?・・・・ええぇぇえ!?」」」

 私の言葉にカーラ以外の全員が驚きの声を上げる。

 まぁ、そうだよね。

〈マスターそんな事が出来るのですか?〉

 駄女神には確認したし、何よりも最初の頃に約束したしね。

〈マスター・・・・覚えていたんですね?〉

 わお、忘れたと思われてた!?

〈すいません〉

 普通に謝られたよ!?はぁ、それより駄女神どうすれば良いの?

『シルフィン:はいはい。っと言いたい所ですが、私よりもティリスに聞いた方が良いでしょう。この子機械に強いから』

 ああ、だから居たのか。

『ティリス:気が付いて居てスルーだったんですね。まあ良いです。ハクアさん先輩に言われていたアイテムは?』

 在るよ。

 私は予め用意しておいた。【付与】スキルが無くても、一度だけ付与を行える付与石を取り出した。

 意外に高かったけど、ヘルさんの為だからね。

『ティリス:では、先輩に話を聞いていたので、調整は済んでいます。そのまま使って下さい』

 私は、ティリスの言葉に従いアイテムを、ロストソウルズに向かって使う。

▶付与石を機械人形に使用しますか?
はい←
いいえ

▶機械人形に付与する物を選んで下さい。

 どうすれば良いの?

『ティリス:ヘルと一緒に使い魔を付与する・・・と念じて下さい』

 ヘルさん。

〈分かりました〉

▶使い魔ヘルを機械人形に付与しますか。
はい←
いいえ

▶付与石を機械人形に使用しました。

▶機械人形に使い魔ヘルを付与する事に成功しました。

『ティリス:上手く行きました。これで大丈夫です』

「ヘルさん?」

 脳内アナウンスが流れ、ティリスにそう言われた私は、目の前に立つ少女の姿をした、機械人形に話し掛ける。すると・・・最初、動く気配の無かった少女の瞼が開き、水晶の様な青い瞳が私を見つめる。そして・・・。

「マ・・・・ス・・・タ・・マスター」

「ヘルさんだよね?」

「はい。マスター」

 その声を聞き私はそのまま駆け寄り、思わず抱き締める。そんな私に続いて他の皆も次々に近より、ヘルさんに話し掛け抱き締める。ヘルさんも何処か嬉しそうにそれを受入れ話をする姿を見て、本当に良かったと私は思った。

 ティリスありがと、駄女神も。

『シルフィン&ティリス:どういたしまして』

「マスター・・・・ありがとうございます。これからは、共に戦う仲間としてよりマスターの為に働きます」

 こうして私は、ヘルさんとの約束を守り、もう一度改めて仲間になったのだった。
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