R18、アブナイ異世界ライフ

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103.披露パーティー 前編

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 いよいよパーティー当日。会場となっているレドがオーナーの高級レストランは、すっかりパーティー用に様変わりしていた。わたしが歌うステージも設置されている。

  レドとルーカスと一緒に中へ入ると、レストランの店長が出迎えてくれる。今回料理や飲み物を仕切ってくれるのはこの男性で、彼もグラベットメンバー。食事には何度も来ているので既に顔馴染みだ。彼に案内されて控え室となっている個室へと向かう。

  控え室には、既にドレスショップの女性店長をはじめとする数人が来ていた。今日の5回に及ぶお色直しを手伝ってもらうのだ。ドレスを減らす案もあったのだが、既にストップをかけられる状況ではなかった。それに折角のオーダーメイド、出来れば全て着たい。ということで体調をみながら臨機応変にする事にした。

 「レドモンド様、ルーカス様、ソニア様、本日はおめでとうございます」
 「「「おめでとうございます」」」

  女性店長に続いてスタッフも頭を下げる。

 「ああ、今日はよろしく頼む」
 「はい」

  彼女たちは挨拶をすませると早速準備に取り掛かった。

 「ソニア、俺たちも準備してくる。具合が悪くなったら直ぐに言うんだぞ」
 「うん」
 「我慢してはダメですよ?」
 「うん」

  2人が小さくキスしてから出て行く。本当なら人に見られて恥ずかしがる場面だろうが・・・彼女たちとは何度も打ち合わせを重ねていて、その度にキスシーンを見られているのだ。もうお互いに慣れたものである。

 「ソニア様、こちらへどうぞ」
 「はい、よろしくお願いします」




  最初のドレスに袖を通し、ヘアもメイクも整えて大きな鏡の前に立つ。

 「…まあ…素敵…よくお似合いです、ソニア様」
 「ありがとうございます」

  1着目はレドの選んだエンパイアラインのドレス。カラーはアイボリーで胸元はハートカット、可愛らしすぎないレースやフリル使いが素敵だ。彼の選ぶドレスはいつもセクシーなデザインなので正直意外だった。

 「入るぞ」

  声と同時にドアが開く。

  ・・・声かけた意味、ないよね?

  入ってきた2人も支度を終えている。レドは黒のタキシード、ルーカスは白のタキシードだ。髪型ははいつもと変わらないがここまでの正装は初めて見た。色以外は同じデザインのタキシードなのに対照的な雰囲気で・・・すっごく素敵・・・。

 「いいな…似合う。可愛いぞ」
 「ソニア、可愛い…この色も素敵です」

  柔らかな笑顔でそう言い、それぞれ手を取って甲に口づける。

 「ありがとう…2人もすごく素敵」
 「俺たちはどうでもいいんだよ、今日の主役はお前だ」
 「そうですよ、貴女を見せびらかす日ですから」
 「み、見せびらかす…」

  ぶっちゃけて言えばそうなんだけどもうちょっとオブラートに包んでほしいです…。

  始まる前からイチャついているとノック音。入ってきたのはエドワルド様と護衛の2人。突然の国王登場にショップスタッフが若干パニックになってしまう。

  エドワルド様がわざとらしく咳払いしてレドを見ると、彼がスタッフに言った。

 「外してくれ」
 「は、はい!」

  彼女たちが出て行った途端に破顔する王様。

 「ソニアちゃん…可愛いッ!!」

  ずいっ!と近づいてきて手を握ろうとして2人に遮られる。それでも全くめげない。

 「さぁ、今日も呼んでくれ!お父様と!」

  レドが思いっきり顔を顰めるが相手は国王様だもん、流石に突っ撥ねられない。それにレドの育ての親なのだから、気に入ってもらえたならわたしも嬉しい。

 「お越し頂いてありがとうございます、おとうさま」

  でれ~っとするメイフィア王国の国王様。

 「イカンな~、硬い硬い。ありがとうお父様、だよ。ハイ言ってみよう!」

  でれっ、としたまま眉を寄せる。器用な方だ。そして期待の篭った眼差しでわたしを見ている。

  ・・・どうしよう。国王様相手にタメ口でいいのかな・・・?

  迷いながらレドを見ると、彼は仕方ない、というように頷いた。エドワルド様に向き直って言う。

 「ありがとう、おとうさま」
 「良いんだよ、ソニアちゃん!」

  またもや近付こうとして遮られている王様。

  ・・・学習能力は?

 「エドワルド様、そろそろお席にどうぞ」

  笑顔で退出を促すルーカス。

  ・・・目は笑ってないけど。

 「分かった分かった。ルーカスも怖いな~…ソニアちゃん、また後でな!」
 「はい」

  手を振って出て行くエドワルド様。

  何だか始まる前から気力を消費した気がします・・・。

  その後ショップスタッフを呼び戻し、最終チェックを済ませて少し休むと時間になった。











 会場内は普通の披露パーティーとは違う空気が流れていた。

  招待客の半数以上が他の街から来たグラベット関係者で、ソニアの存在を書面でしか知らない。あのボスとNo.2が同じハーフ女性と結婚するだなんて、この目で見るまでは信じ難い。そう思うのも、ソニアと出会う以前のレドモンドたちしか知らない彼らには仕方のない事だった。

  着いてすぐに席を外していた国王が戻るとシーンと静まり返る。

  そして会場の明かりが落とされ、奥の扉にスポットが当たると―――――3人が登場した。

  淡い色のエンパイアラインのドレスに身を包んだソニアは、レドモンドとルーカスの間で優美に微笑む。

  そのあまりの美しさに感嘆のため息が会場のあちらこちらから漏れた。



 
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