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30.口は禍の元
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サンドラさんの歌は評判通り素晴らしかった。伸びやかで綺麗な声は音域も広く、フロア中に響く。流石王都一。オドオドしていた男性も、ヴァイオリンを持つと見違えるようにイキイキしていた。
歌が終わると盛大な拍手が起こる。私も彼女から見えない位置で拍手を送った。
終わった後、サンドラさんはいそいそと途中から2階で見ていたレドの元へ行く。
「お久しぶりです、レドモンド様。お会いできてうれしいですわ。如何でした?わたくしの歌」
「…ああ、相変わらず上手いな」
「まあ、ありがとうございます!…あの、少しご一緒してもよろしいですか?」
「ああ」
「良かった…。ではお隣失礼します」
・・・・・凄い、まるで別人。女優になれるよ。私は2階の隅にあるスタッフオンリーの階段から下へ戻った。
◇
閉店後のオーナー部屋。
そこに居るのはレド、マスター、ルイさん、コンゴさん、サンドラさん、・・・演奏家の男性、私。
レドはいつもの1人掛けソファーに座っている。その右に私、左にマスターが立ち、後ろにルイさんとコンゴさんが居る。向かいのソファーにサンドラさんたちが座っているが、2人の様子は対照的でサンドラさんは満面の笑顔、一方男性は落ち着かない。
何をするのか私は聞いていない。黙って傍にいればいい、とだけ言われている。
「お話って何ですの?レドモンド様」
全く笑顔を崩さずに聞く。私がレドの隣に立っている事など見えていないかのようだ。
「サンドラ…お前、今後一切俺に関わるな。歌も今回で終わりだ」
顔色一つ変えずにレドが告げる。
「な、な、何でですの!!!」
彼女が立ち上がって叫ぶ。
うひゃっ!!・・・び、びっくりしたぁ~。レドの言葉に驚いた所へサンドラさんのキンキン声で飛び跳ねそうになったよ・・・声に出なくて良かった。
「わたくしが何をしたって言いますの!?今夜だって歌を褒めてくださったじゃありませんか!!わたくしは王都一の歌い手ですのよ!!わざわざ来て差し上げてるのに何故こんな仕打ちを受けなければいけませんの!?」
顔を真っ赤にして大声で喚き散らすが、彼女に送られるのは冷ややかな視線のみ。
「俺は一度だってお前に頼んだ覚えはない。来ると言うから受け入れただけだ」
レドは抑揚の無い声で淡々と話す。
「なっ!そん…」
「黙れ」
更に言い募ろうとするのを怒気を込めた一言で黙らせる。
「「――ッ!!」」
その声に隣の男性までがビクン!と反応して縮み上がった。
「貴様が俺の女だと自ら噂を流した事も、俺目当ての他の歌い手を排除した事も、俺からドレスを贈られたと虚言を吐いた事も、俺が知らないとでも思ったか?…今まで放置したのは、実害が無かったからに過ぎない。だが今回は違う」
そこで一度区切り―――横に居た私をぶわっ!と抱き上げ、自分の膝に横抱きにして乗せた。
「きゃっ」
突然の事につい緊張感のない声を上げてしまった。いきなり何を!と内心思うが当然抗議できる雰囲気ではない。
レドが片腕で私を抱きしめ、身体を密着させる。
「貴様…ソニアに何を言った…何をさせた?」
彼の冷淡な表情と言葉に凍り付きながらも、眼は私を睨む。それを見たレドは私の頭を自分の首筋に引き寄せた。
「勘違いしているようなので言っておきますが、彼女ではありませんよ?私が、一言一句違えずレドに伝えました」
サンドラさんが驚愕に染まった顔でマスターを見る。
「…当然でしょう?彼女はレドにとっても、この酒場にとっても、そしてグラベットにとっても、とても大切な方なんです。あの場で追い出されなかっただけでも感謝してほしいですね」
いつも微笑みを絶やさないマスターの顔から表情が消え失せる。そこから読み取れるのは、怒りのみ。
「フッ、厄介なのを引き起こしたな。ルーカスは怒らせたら手を付けられんぞ?……いいか、よく聞け。ソニアは俺の最愛の女だ。ソニア以外の女を娶る事はあり得ない」
2人の怒りを肌で感じ、サンドラが竦み上がる。
「貴様は、グラベットのボスの妻に暴言を吐いたんだ。……俺を怒らせたらどうなるか、身を持って味わえ」
覇気を纏った言葉を浴びせられ、呆然自失となった彼女はその場に崩れ落ちた。
レドモンドに女がいようが、彼は魔人。自分にだってチャンスがある。美人でスタイルも良く、歌も王都一、最高の女だと自負していた。この私が負ける訳ない、彼女はそう思っていた。
だが現実は全く異なっていた。
サンドラは自らの言動で破滅への引き金を引いたのだ。
◇
サンドラが可哀想、とも、ざまあみろ、とも思わない。口は禍の元、良い行いも悪い行いも結局はいつか自分に返ってくるのだから。
こんな風に思う自分はやはり冷たい。そんな私もレドの言葉は嬉しかった。彼の為なら何だってやる。そう考えるくらいに。
そして今夜も
「あ、あ、あッ!ンはっ、は、はぅ、レドぉ…」
ベッドで横になった彼の上に跨り、自ら腰を振って鼻にかかった声を漏らす。レドにお尻を撫でられて喜びに震える。
「ソニア…もっと激しくしないと、俺をイカせられないぞ?…精が欲しいんだろ?」
「ほ、しい…んンっ、けど、もう、だめぇ~…また、イキそう…ぁん」
「…フッ、またか?もう、何度目だ?」
ぱちゅん、ぱちゅん、と音を立てながら愛液を垂れ流す秘所を、どずん!いきなり下から突き上げられる。
「んひいぃ!」
背を仰け反らせて悶えると、レドが子宮の入り口をグリグリと抉り、乳首をギュウッ、と下へ引っ張る。上を向いてぷるん、と波うっていた乳房が下へ伸びて強烈な刺激が背筋を駆けあがる。
「あ”あん!つよい、の、イッちゃうぅ…!」
「イケよ」
レドの声にはまだ余裕がある。
「やぁ…ン!わた、し、ばっかりぃ!」
乳首を解放し、子供のようにイヤイヤする私を抱きしめる。
「…お前のイキ顔が好きなんだ。魅せろよ…」
耳を食みながら囁かれるともうダメ。鼓膜を震わせる愛欲を含んだ声に脳内を占領され、レドの上ではしたない嬌声を上げながら絶頂する。
「あ、あぁ、イクぅ!れ、ど、ぁ、ん”ぁあああ!!」
何度も絶頂へと押し上げられた私は、乱れた息を整えながら彼に全身を預る。だが休む暇は与えられず、肉棒を挿したまま組み敷かれた。
「休むのはまだ早いぞ、ソニア。俺の番だ。…たっぷり注いでやる」
レドはそう言って荒々しく腰を使い始める。私はそれに翻弄され、あられもない声を上げ続けた。
◇
殆ど毎晩、泣きが入るまで責められた後は2人でお風呂に入る。・・・正確には入れてもらう。
ぐったりとした私を抱き上げてバスルームへ行き、隅々まで綺麗に洗い、バスタブで温める。着替えも彼が選ぶ。始めの内は抵抗したが最近は諦めた。可愛いフリフリパジャマや、シースルーのネグリジェ、セクシーなベビードール、私は彼の着せ替え人形と化している。
・・・普通逆じゃない?と思わないではないが、レドが嬉しそうなのでヨシとしている。それに、今日はどれかな?と楽しみにしている自分も居るのだ。
今夜は黒のベビードール。ブラの部分がレースになっていて、左右には深いスリット。ショーツは黒の紐パンでスリットから見える紐がそそるんだとか。布が超少ないんです。せめて自分で着替えたいという細やかな希望も叶わない。着せながらキスするのは反則・・・抵抗できなくなるじゃない。
「ンんっ…もう」
「今夜も可愛いな」
キスしながらの着換えを終え、ベッドルームで寝る前のワインを一杯だけ飲む。
「…レド、今日はありがとう。ハッキリ言ってくれて…凄く嬉しかった」
これだけは伝えたかった。
「当たり前だろ?コソコソするのは性に合わない。…ソニア、これからも今日のような事は必ず起きる。面倒な事もあるだろうが、俺を信じて付いて来い。…いいな?」
俺に付いて来い。そう言う時の彼の瞳が一番スキ。
「はい」
私達はもう1度キスしてから抱き合って眠った。
歌が終わると盛大な拍手が起こる。私も彼女から見えない位置で拍手を送った。
終わった後、サンドラさんはいそいそと途中から2階で見ていたレドの元へ行く。
「お久しぶりです、レドモンド様。お会いできてうれしいですわ。如何でした?わたくしの歌」
「…ああ、相変わらず上手いな」
「まあ、ありがとうございます!…あの、少しご一緒してもよろしいですか?」
「ああ」
「良かった…。ではお隣失礼します」
・・・・・凄い、まるで別人。女優になれるよ。私は2階の隅にあるスタッフオンリーの階段から下へ戻った。
◇
閉店後のオーナー部屋。
そこに居るのはレド、マスター、ルイさん、コンゴさん、サンドラさん、・・・演奏家の男性、私。
レドはいつもの1人掛けソファーに座っている。その右に私、左にマスターが立ち、後ろにルイさんとコンゴさんが居る。向かいのソファーにサンドラさんたちが座っているが、2人の様子は対照的でサンドラさんは満面の笑顔、一方男性は落ち着かない。
何をするのか私は聞いていない。黙って傍にいればいい、とだけ言われている。
「お話って何ですの?レドモンド様」
全く笑顔を崩さずに聞く。私がレドの隣に立っている事など見えていないかのようだ。
「サンドラ…お前、今後一切俺に関わるな。歌も今回で終わりだ」
顔色一つ変えずにレドが告げる。
「な、な、何でですの!!!」
彼女が立ち上がって叫ぶ。
うひゃっ!!・・・び、びっくりしたぁ~。レドの言葉に驚いた所へサンドラさんのキンキン声で飛び跳ねそうになったよ・・・声に出なくて良かった。
「わたくしが何をしたって言いますの!?今夜だって歌を褒めてくださったじゃありませんか!!わたくしは王都一の歌い手ですのよ!!わざわざ来て差し上げてるのに何故こんな仕打ちを受けなければいけませんの!?」
顔を真っ赤にして大声で喚き散らすが、彼女に送られるのは冷ややかな視線のみ。
「俺は一度だってお前に頼んだ覚えはない。来ると言うから受け入れただけだ」
レドは抑揚の無い声で淡々と話す。
「なっ!そん…」
「黙れ」
更に言い募ろうとするのを怒気を込めた一言で黙らせる。
「「――ッ!!」」
その声に隣の男性までがビクン!と反応して縮み上がった。
「貴様が俺の女だと自ら噂を流した事も、俺目当ての他の歌い手を排除した事も、俺からドレスを贈られたと虚言を吐いた事も、俺が知らないとでも思ったか?…今まで放置したのは、実害が無かったからに過ぎない。だが今回は違う」
そこで一度区切り―――横に居た私をぶわっ!と抱き上げ、自分の膝に横抱きにして乗せた。
「きゃっ」
突然の事につい緊張感のない声を上げてしまった。いきなり何を!と内心思うが当然抗議できる雰囲気ではない。
レドが片腕で私を抱きしめ、身体を密着させる。
「貴様…ソニアに何を言った…何をさせた?」
彼の冷淡な表情と言葉に凍り付きながらも、眼は私を睨む。それを見たレドは私の頭を自分の首筋に引き寄せた。
「勘違いしているようなので言っておきますが、彼女ではありませんよ?私が、一言一句違えずレドに伝えました」
サンドラさんが驚愕に染まった顔でマスターを見る。
「…当然でしょう?彼女はレドにとっても、この酒場にとっても、そしてグラベットにとっても、とても大切な方なんです。あの場で追い出されなかっただけでも感謝してほしいですね」
いつも微笑みを絶やさないマスターの顔から表情が消え失せる。そこから読み取れるのは、怒りのみ。
「フッ、厄介なのを引き起こしたな。ルーカスは怒らせたら手を付けられんぞ?……いいか、よく聞け。ソニアは俺の最愛の女だ。ソニア以外の女を娶る事はあり得ない」
2人の怒りを肌で感じ、サンドラが竦み上がる。
「貴様は、グラベットのボスの妻に暴言を吐いたんだ。……俺を怒らせたらどうなるか、身を持って味わえ」
覇気を纏った言葉を浴びせられ、呆然自失となった彼女はその場に崩れ落ちた。
レドモンドに女がいようが、彼は魔人。自分にだってチャンスがある。美人でスタイルも良く、歌も王都一、最高の女だと自負していた。この私が負ける訳ない、彼女はそう思っていた。
だが現実は全く異なっていた。
サンドラは自らの言動で破滅への引き金を引いたのだ。
◇
サンドラが可哀想、とも、ざまあみろ、とも思わない。口は禍の元、良い行いも悪い行いも結局はいつか自分に返ってくるのだから。
こんな風に思う自分はやはり冷たい。そんな私もレドの言葉は嬉しかった。彼の為なら何だってやる。そう考えるくらいに。
そして今夜も
「あ、あ、あッ!ンはっ、は、はぅ、レドぉ…」
ベッドで横になった彼の上に跨り、自ら腰を振って鼻にかかった声を漏らす。レドにお尻を撫でられて喜びに震える。
「ソニア…もっと激しくしないと、俺をイカせられないぞ?…精が欲しいんだろ?」
「ほ、しい…んンっ、けど、もう、だめぇ~…また、イキそう…ぁん」
「…フッ、またか?もう、何度目だ?」
ぱちゅん、ぱちゅん、と音を立てながら愛液を垂れ流す秘所を、どずん!いきなり下から突き上げられる。
「んひいぃ!」
背を仰け反らせて悶えると、レドが子宮の入り口をグリグリと抉り、乳首をギュウッ、と下へ引っ張る。上を向いてぷるん、と波うっていた乳房が下へ伸びて強烈な刺激が背筋を駆けあがる。
「あ”あん!つよい、の、イッちゃうぅ…!」
「イケよ」
レドの声にはまだ余裕がある。
「やぁ…ン!わた、し、ばっかりぃ!」
乳首を解放し、子供のようにイヤイヤする私を抱きしめる。
「…お前のイキ顔が好きなんだ。魅せろよ…」
耳を食みながら囁かれるともうダメ。鼓膜を震わせる愛欲を含んだ声に脳内を占領され、レドの上ではしたない嬌声を上げながら絶頂する。
「あ、あぁ、イクぅ!れ、ど、ぁ、ん”ぁあああ!!」
何度も絶頂へと押し上げられた私は、乱れた息を整えながら彼に全身を預る。だが休む暇は与えられず、肉棒を挿したまま組み敷かれた。
「休むのはまだ早いぞ、ソニア。俺の番だ。…たっぷり注いでやる」
レドはそう言って荒々しく腰を使い始める。私はそれに翻弄され、あられもない声を上げ続けた。
◇
殆ど毎晩、泣きが入るまで責められた後は2人でお風呂に入る。・・・正確には入れてもらう。
ぐったりとした私を抱き上げてバスルームへ行き、隅々まで綺麗に洗い、バスタブで温める。着替えも彼が選ぶ。始めの内は抵抗したが最近は諦めた。可愛いフリフリパジャマや、シースルーのネグリジェ、セクシーなベビードール、私は彼の着せ替え人形と化している。
・・・普通逆じゃない?と思わないではないが、レドが嬉しそうなのでヨシとしている。それに、今日はどれかな?と楽しみにしている自分も居るのだ。
今夜は黒のベビードール。ブラの部分がレースになっていて、左右には深いスリット。ショーツは黒の紐パンでスリットから見える紐がそそるんだとか。布が超少ないんです。せめて自分で着替えたいという細やかな希望も叶わない。着せながらキスするのは反則・・・抵抗できなくなるじゃない。
「ンんっ…もう」
「今夜も可愛いな」
キスしながらの着換えを終え、ベッドルームで寝る前のワインを一杯だけ飲む。
「…レド、今日はありがとう。ハッキリ言ってくれて…凄く嬉しかった」
これだけは伝えたかった。
「当たり前だろ?コソコソするのは性に合わない。…ソニア、これからも今日のような事は必ず起きる。面倒な事もあるだろうが、俺を信じて付いて来い。…いいな?」
俺に付いて来い。そう言う時の彼の瞳が一番スキ。
「はい」
私達はもう1度キスしてから抱き合って眠った。
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