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5. 旅路
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アドリニア大陸の中央に位置する大きな国、メイフィア王国。その国の北の端に私のいたゴア村。そしてそこからずっと南西に目指すシャハールの街がある。今は中継点であるタラン村に向かっている最中だ。
村を出て2日目の夜。たき火の前で地図を広げ、現在地を確認する。月の他に星も方向を知るうえで重要な手がかりになる。地球での北極星に似た星が存在するのだ。順調に進んでいるのを確かめて魔石鞄に仕舞う。
魔石鞄はその名の通り鞄に魔石を仕込んで容量を増やし、ある程度保存も効くようにした鞄だ。重量も一定以上にはならない。沢山物を入れるので、少々値が張る良い物を買って正解だった。
ランタンに火を灯し、たき火を消してテントに入る。魔除香はすでに焚いてある。昨夜は野宿初日で中々寝付けなくて困ったが、今夜はちゃんと寝ないと明日身体が辛い。まだ慣れない寝袋に入って目を閉じる。大丈夫、寝るんだ!女は度胸!
疲れていたのか、私は30分も経たないうちに眠りに落ちた。
次の日、長い耳を澄まして水場を探しながら歩く。魔石水筒は沢山入るのでまだ大丈夫だが、もし水場を見つけられたら水浴びがしたい。白耳は対策としてフードの付いたローブを羽織っている。
そして午後、見つからない水場を諦めてテントを張る場所を探していると水音が聞こえた。音のする方へ進むと、小さな滝があった。滝の下は泉になっていて溢れた水が細い流れになっている。水も綺麗で街道からも見えない。
私は早速服を脱ぎ棄てて水浴びする。少し冷たいが気持ちイイ。手早く身体や髪も洗ってさっぱりしてついでに服も洗う。ロープを木に結んで干し、その近くでたき火をする。
夜、寝る頃には服もほとんど乾いたのでしまってから寝る。さすがに干しっ放しには出来ない。
夜を外で過ごすという意味ではこの世界に来た日と同じだが、今は気持ちが全然違った。旅支度も出来ているし目標もある。魔物に遭わないのも大きい。それに元来の性格もあるだろう。何かあっても、待つより動いていたいタイプ。常に前向きでいる事、それが私のモットーだ。異世界に来てから忘れていたが、旅を始めて思い出した。よし、明日からも頑張ろう。
今夜も方向を確認し、眠りについた。
◇
ゴア村を発って6日目、中継点であるタラン村に到着。
やっと見覚えのある光景に出会えた。国の端にあるゴア村よりは大きいが、店の品揃えはまだまだ少ない。
村を見ながら店に立ち寄り、足りなくなりそうな物を補充する。今夜は宿に泊まり、明日の朝早くに発つ事にしてある宿へ向かった。
そこは少しお高めだがお風呂がある宿。今の私が欲しているもの、それは癒し!湯船に浸かってまったりしたい!この村に着いたらここに泊まろうと思っていたのだ。
「いらっしゃいませ」
「あの、1泊したいんですが部屋は空いてますか?」
「はい。お一人ですか?」
「そうです。洗濯したいんですが貸してもらえますか?」
「分かりました。洗濯場は浴場の隣です。名前を付けておきますので、終わったら返してください」
「はい」
大抵の宿では洗濯場を貸してもらえる。自分で洗って干し、翌朝には回収するのだ。
宿帳に記入してカギを受け取り、食事などの説明を受けてから部屋へ入った。
部屋は6畳ほどでベッドやサイドテーブルがあるだけの簡素な造りだが、テントの寝袋よりは大分マシである。
私は早速お風呂へ行く。楽しみ!
脱衣所で窮屈な服を脱ぐ。動きやすい服を選んだつもりだったが、腰は緩くて胸はキツイ、という感じで何とも落ち着かなかった。ひっ詰めていた髪も解いて開放感を味わっていると、やけに視線を感じる。
…耳とか出てないよね?ちょっと不安になって近くにあった大きな鏡を見た。そこに映ったのは。
・・・・・。
くっきり二重に通った鼻筋、ぷっくりとした唇は完璧なバランス。胸の下まであるはちみつ色の髪は、耳元から緩くウェーブしていてふわっと揺れる。その髪の間から覗く胸は形が良く、腰は締まっていて小さめのお尻はきゅっと上を向いている。手足もすらっと長い、メリハリの利いた8頭身ボディ。
・・・・・ダレコレ。・・・ワタシ?
髪をいじってみたり、横を向いてみたりする。
・・・そういえばちゃんとした鏡で全身見たの初めて・・・。いや・・胸が大きくなったな~、とは思ってた。けどここまでとは・・・。身長とか線の細さは前と似てる。でも雰囲気は正反対。前はどちらかというと男っぽくて、まな板な胸と性格が相まって宝塚の男役のようだと言われていた。らしい(人伝に聞いた)。
・・・美人。これが自分だなんてまるで実感がないが・・これは見られても仕方ないかも。今のところ耳とか隠せてるけど、ちゃんと気を付けないとだめだね。珍しいはトラブルの種、しかも危険な方向の。主人公がいい例だ。私は同じ轍は踏まない。平和に暮らしてやるんだ!
私は気合を入れなおし、まずはお風呂を堪能した。
村を出て2日目の夜。たき火の前で地図を広げ、現在地を確認する。月の他に星も方向を知るうえで重要な手がかりになる。地球での北極星に似た星が存在するのだ。順調に進んでいるのを確かめて魔石鞄に仕舞う。
魔石鞄はその名の通り鞄に魔石を仕込んで容量を増やし、ある程度保存も効くようにした鞄だ。重量も一定以上にはならない。沢山物を入れるので、少々値が張る良い物を買って正解だった。
ランタンに火を灯し、たき火を消してテントに入る。魔除香はすでに焚いてある。昨夜は野宿初日で中々寝付けなくて困ったが、今夜はちゃんと寝ないと明日身体が辛い。まだ慣れない寝袋に入って目を閉じる。大丈夫、寝るんだ!女は度胸!
疲れていたのか、私は30分も経たないうちに眠りに落ちた。
次の日、長い耳を澄まして水場を探しながら歩く。魔石水筒は沢山入るのでまだ大丈夫だが、もし水場を見つけられたら水浴びがしたい。白耳は対策としてフードの付いたローブを羽織っている。
そして午後、見つからない水場を諦めてテントを張る場所を探していると水音が聞こえた。音のする方へ進むと、小さな滝があった。滝の下は泉になっていて溢れた水が細い流れになっている。水も綺麗で街道からも見えない。
私は早速服を脱ぎ棄てて水浴びする。少し冷たいが気持ちイイ。手早く身体や髪も洗ってさっぱりしてついでに服も洗う。ロープを木に結んで干し、その近くでたき火をする。
夜、寝る頃には服もほとんど乾いたのでしまってから寝る。さすがに干しっ放しには出来ない。
夜を外で過ごすという意味ではこの世界に来た日と同じだが、今は気持ちが全然違った。旅支度も出来ているし目標もある。魔物に遭わないのも大きい。それに元来の性格もあるだろう。何かあっても、待つより動いていたいタイプ。常に前向きでいる事、それが私のモットーだ。異世界に来てから忘れていたが、旅を始めて思い出した。よし、明日からも頑張ろう。
今夜も方向を確認し、眠りについた。
◇
ゴア村を発って6日目、中継点であるタラン村に到着。
やっと見覚えのある光景に出会えた。国の端にあるゴア村よりは大きいが、店の品揃えはまだまだ少ない。
村を見ながら店に立ち寄り、足りなくなりそうな物を補充する。今夜は宿に泊まり、明日の朝早くに発つ事にしてある宿へ向かった。
そこは少しお高めだがお風呂がある宿。今の私が欲しているもの、それは癒し!湯船に浸かってまったりしたい!この村に着いたらここに泊まろうと思っていたのだ。
「いらっしゃいませ」
「あの、1泊したいんですが部屋は空いてますか?」
「はい。お一人ですか?」
「そうです。洗濯したいんですが貸してもらえますか?」
「分かりました。洗濯場は浴場の隣です。名前を付けておきますので、終わったら返してください」
「はい」
大抵の宿では洗濯場を貸してもらえる。自分で洗って干し、翌朝には回収するのだ。
宿帳に記入してカギを受け取り、食事などの説明を受けてから部屋へ入った。
部屋は6畳ほどでベッドやサイドテーブルがあるだけの簡素な造りだが、テントの寝袋よりは大分マシである。
私は早速お風呂へ行く。楽しみ!
脱衣所で窮屈な服を脱ぐ。動きやすい服を選んだつもりだったが、腰は緩くて胸はキツイ、という感じで何とも落ち着かなかった。ひっ詰めていた髪も解いて開放感を味わっていると、やけに視線を感じる。
…耳とか出てないよね?ちょっと不安になって近くにあった大きな鏡を見た。そこに映ったのは。
・・・・・。
くっきり二重に通った鼻筋、ぷっくりとした唇は完璧なバランス。胸の下まであるはちみつ色の髪は、耳元から緩くウェーブしていてふわっと揺れる。その髪の間から覗く胸は形が良く、腰は締まっていて小さめのお尻はきゅっと上を向いている。手足もすらっと長い、メリハリの利いた8頭身ボディ。
・・・・・ダレコレ。・・・ワタシ?
髪をいじってみたり、横を向いてみたりする。
・・・そういえばちゃんとした鏡で全身見たの初めて・・・。いや・・胸が大きくなったな~、とは思ってた。けどここまでとは・・・。身長とか線の細さは前と似てる。でも雰囲気は正反対。前はどちらかというと男っぽくて、まな板な胸と性格が相まって宝塚の男役のようだと言われていた。らしい(人伝に聞いた)。
・・・美人。これが自分だなんてまるで実感がないが・・これは見られても仕方ないかも。今のところ耳とか隠せてるけど、ちゃんと気を付けないとだめだね。珍しいはトラブルの種、しかも危険な方向の。主人公がいい例だ。私は同じ轍は踏まない。平和に暮らしてやるんだ!
私は気合を入れなおし、まずはお風呂を堪能した。
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