R18、アブナイ異世界ライフ

くるくる

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1. ここはどこ

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 手紙を見てから一頻り騒いでみたが差し出し人から返事があるはずもなく、暫し呆然とする。でもいつまでもこうしているわけにいかない。とりあえず現状把握が先決だよね。クリアしたゲームにソックリの世界…っていっても沢山あるんだよ。タイトル書いてくれればいいのに。ひとりでブツブツ言いながらまずはステータスを確認。念じてみると頭の中に文字が浮かぶ不思議な感覚がした。

   名前   ソニア
  年齢   28才
   性別   女
   種族   ハーフ(魔人・白兎)

  固有魔法  白

  固有能力  魔眼 

  所持金   834,200リム

 子女神の加護


  ・・・魔人・・・白兎・・ハーフ???子女神???

  青と黄、2つの月と魔人、白兎。通貨単位のリム。これらが出てくるゲームはある。

  今私の頭に浮かんでいるのは、1週間ほど前にクリアした某18禁乙女ゲーム。

  そのゲーム、登場人物が主人公以外全て人ではない事と、乙女ゲームとは思えないハードなエッチが売りだったがシナリオがいまいちだった。無理やりな展開がしばしばあって、よくこれで発売まで漕ぎ着けたな、というのが素直な感想だった。キャラは好みだったし、スチルも美麗だったのにもったいないと思ったものだ。

  主人公は異世界転移した20才の女子大生。恋人候補は6人で、最初にどこへ向かうかで相手が変わる。珍しい異世界人という事で注目を浴び、色々な事に巻き込まれながらストーリーが進んでいく。

  この世界は獣人と魔人で構成され、魔法も魔物も存在するが獣人は種族の固有魔法しか使えない。身体能力も種族によって異なるので、魔物と全く戦えない者もいる。獣人といっても頭の上に耳があったりお尻に尻尾が生えてたりする程度だ。その耳や尻尾も大人になれば出し入れ自在になる。

  魔人は外見は人と変わらないが獣人にはない固有能力がある。その能力は千差万別で個人差も激しい。1つの能力に特化した者もいればオールマイティに熟す者もいる。魔法は固有ではなく、平均1、2属性使える。獣人に比べて魔力が強く、身体能力の高い者も多い。だが魔人は全体の2割ほどしかいない。そしてその強さ故、尊敬と畏怖の入り混じった眼差しで見られる。

  他に私が知っている事といえば、寿命は魔力に比例して長くなる事と魔人に女は居ない事くらい。

  だからハーフも知らないし、魔人の血が入っているのに女なのも訳が分からない。…っていうか、私魔人になったの!?慌てて自分の身体を見るが普通の女性だ。魔人は必ず身体の何処かに印がある筈だけど…見える箇所にはない。白兎の血も混じっているようだけど耳も尻尾も無い。

  ……まあ分からないことを考えても仕方がない。他も確認しなきゃ。

  固有魔法は白。これは知ってる。白兎の固有で違う言い方をすれば光魔法。回復がメインだ、ありがたい。次、固有能力の魔眼。これは魔人の能力だか詳しくは知らない。異世界物のスキルとかでよくあるよね?2つとも検証は後にしよう。

  所持金はおそらく貯蓄だ。最近やっと80万貯まった所だった。後は財布に入ってたのがこのくらいだった気がする。頑張って貯めたお金が無駄にならなかったのは有り難い。大切に使おう。

  後は子女神の加護…子女神って何?まだ子供って事?それなら手紙の幼い文章も納得がいくか。加護の効果は分からないけど貰える物は貰っておこう。なんてったってミスでこんな事になったんだし!

  さて、これからどうしよう…持っているのは小さなポーチに入っているお金だけ。周りも全然見た事ない景色だし。だだっ広い草原。身を隠すものもないが魔物が来てもすぐわかる。魔物が出たら全力で逃げよう。

  はぁ、と溜息を吐いて夜空を見上げる。満天の星に明るい月、これがあのゲームに似た世界なら、月の位置で季節や方角が分かる。おそらく北であろう方の遠くに森が見える。なら逆に進んでみよう。

  私は行く当てもないまま歩き始めた。 
 
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