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114.調合と制作
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結局ダンジョンへは魔剣が完成してから行くことになり、レオンとエヴァの2人は翌日から制作に取り掛かった。私は頼まれた聖水を調合することに。
聖水は状態が優良以上の水と白聖花という植物の花弁を使う。白聖花はサボテンのような多肉植物に咲く花で、緑の少ない南大陸でも比較的手に入りやすい。ここまでの道中で採取しておいて良かった。そして水の方は水質の良い場所で汲んだもの、もしくは中級以上の水魔法のものという事でエヴァに貰った。
それでは調合を始めますか。
―――数時間後
…出来た。2種類作ってみました。レシピ通りで魔力も抑え気味のものと、浄化した水に普段通り魔力を込めたもの。初挑戦にしては上手く調整出来たと思います。
さて解析。
【名前】聖水
【種類】聖水
【状態】優良
【備考】清め効果有り(大)・状態異常回復効果有り(大)・アンテッド系攻撃可能
【名前】聖水?
【種類】聖水?
【状態】最高
【備考】清め効果有り(最大)・状態異常完全治癒・アンテッド系10mlで即死
あぁ~…また"?"マークだ。まあいいか、今更だよね。…しかしこれを剣に仕込んだら状態異常回復はどうなるんだろう?
液晶画面を見て考えていると、外で遊んでいたスノウが入ってきた。
「きら~、スノウからだかゆいの」
テーブルの上で体を振ったり掻いたりと忙しなく動きながら訴える。痒いのが我慢できなくて戻ってきたらしい。
「おいで。綺麗にしてあげる」
「はいなの」
「…【浄化】」
スノウを手の平に乗せて浄化すると嬉しそうに羽をぱたぱたする。
「すっきりなの~。あとね、スノウおなかすいたの。ごはんまだ?」
「ふふ、そろそろ準備しようと思ってたところ」
「やったぁなの!スノウあじみするの」
「一口だけだよ?」
「はいなの!」
私は調合道具を片付けてキッチンへ向かった。
■
「よし。サラダも出来たし、後はピザが焼ければ…」
ドンドン
もう少しで昼食の仕度を終えようとしていた時、玄関の方からドアを叩く音がした。
『誰か居ないか?』
あれ?この声は確か…。玄関に行き、念のためドアを開ける前に声を掛ける。
「はい、どちら様ですか?」
「…冒険者ギルドのバートンだ」
やっぱり。私はギルマスの訪問を不思議に思いながら扉を開けた。
「はい。何でしょうか?」
「お……」
お?…えぇと、続きは?
ギルマスのバートンさんは私を見た瞬間に固まってしまった。…変な格好はしてないはずだけど。
今日は白Tシャツにオレンジ色のロング丈キャミワンピ。露出は少ないしスノウも谷間じゃなく肩の上。うん、大丈夫。
「バートンさん?何か御用だったんじゃ…」
「…は?あ?い、いや、用というか何というか…」
「?」
何故か言い淀む彼の顔は色黒でも分かるほど赤くなった。気を付けの姿勢を維持したまま、両手首から先だけもちゃもちゃ動かしている。
あの手が気になるな…昨日ギルドで自己紹介した時は威厳があったんだけど…別人みたい。
「あの、夫たちを呼んでくるので待ってていただけますか?」
そう言った時ちょうどリビングの方からレオンとエヴァがやってきた。
「…何の用だ?」
「ギルマス自らが来るなんて…相当重要な要件なんでしょう?」
2人が左右から私の肩を抱く。
「キラ、オーブン大丈夫?ここはもう良いから見ておいで」
「…うん、分かった」
確かにそろそろピザが焼ける頃だ。私は言われた通りキッチンへと戻った。
2人はキラがキッチンへ行ったのを見届けてからリビングのドアを閉め、バートンに向き直る。
「あんた…突然訪ねてきて人の女房に何するつもりだ?」
「そ、そんなつもりは…」
「無い、とでも言うつもりですか?ならそのおかしな手つきは何です?顔も真っ赤ですよ」
「ス、スマン…仕事以外で女性を目の前にすると馬鹿に緊張してな…しかも他大陸のあんな美人…ふぅ…」
そう言ってホッとしたように息を吐くバートンを見て、レオハーヴェンとエヴァントは顔を見合わせた。
「…あんた結婚は?」
「し、してない…」
「女性恐怖症ですか?」
「いや、そこまではいかない。仕事で職員や依頼者と話す分には大丈夫なんだ」
どうやら本当に女性が苦手なだけだと分かった2人は話を変える。
「変わった奴だな…で、要件は?」
「何かありました?」
「街のすぐそばに急に立派な木の家が建ったと門番から報告があってな、おかしなことが無いかちょっと確かめに…どうやって一瞬で家を建てたんだ?しかも木で」
「インベントリに入れて持ち歩いてる。それを出しただけだ」
「…は?」
あっさり答えたレオハーヴェンの言葉に目を丸くしたバートンでした。
■
「…それで確かめに来たの?ギルマス自ら?」
「そうらしいよ」
昼食後、バートンさんが来た理由を聞いた私は思わず聞き返した。だってわざわざギルマスが出張ってくるほどのことでもない気がしたんですよ。
「南大陸は木材が少ないからね。今まで通ってきた街に木の家も無かったし驚いたんじゃない?」
「あ、そうか」
「まあ…街中なら勝手に建てりゃ違反だが外だしな。それに確認は済んだんだからもう誰も来ねえだろ。それより聖水の方はどうだ?」
「うん、2種類作ってみたよ」
ビンに入った聖水を2本出して解析し、画面を見せた。
「1つは普通に高品質の聖水だね」
「いつもの事だがもう1つは凄えな」
「だね、10mlって一口にも満たないよ。1ビンで何体倒せるかな」
「くくっ…これを上手く仕込めたら、斬らなくてもちょいと突くだけで即死だぜ?」
「正に瞬殺。毒と睡眠薬バージョンも創る?」
「良いな、一本に仕込めればなお良い。恐ろしい武器が出来る」
2人はニヤニヤしながら話を進める。
…私も毒とか調合しておこうかな。
聖水は状態が優良以上の水と白聖花という植物の花弁を使う。白聖花はサボテンのような多肉植物に咲く花で、緑の少ない南大陸でも比較的手に入りやすい。ここまでの道中で採取しておいて良かった。そして水の方は水質の良い場所で汲んだもの、もしくは中級以上の水魔法のものという事でエヴァに貰った。
それでは調合を始めますか。
―――数時間後
…出来た。2種類作ってみました。レシピ通りで魔力も抑え気味のものと、浄化した水に普段通り魔力を込めたもの。初挑戦にしては上手く調整出来たと思います。
さて解析。
【名前】聖水
【種類】聖水
【状態】優良
【備考】清め効果有り(大)・状態異常回復効果有り(大)・アンテッド系攻撃可能
【名前】聖水?
【種類】聖水?
【状態】最高
【備考】清め効果有り(最大)・状態異常完全治癒・アンテッド系10mlで即死
あぁ~…また"?"マークだ。まあいいか、今更だよね。…しかしこれを剣に仕込んだら状態異常回復はどうなるんだろう?
液晶画面を見て考えていると、外で遊んでいたスノウが入ってきた。
「きら~、スノウからだかゆいの」
テーブルの上で体を振ったり掻いたりと忙しなく動きながら訴える。痒いのが我慢できなくて戻ってきたらしい。
「おいで。綺麗にしてあげる」
「はいなの」
「…【浄化】」
スノウを手の平に乗せて浄化すると嬉しそうに羽をぱたぱたする。
「すっきりなの~。あとね、スノウおなかすいたの。ごはんまだ?」
「ふふ、そろそろ準備しようと思ってたところ」
「やったぁなの!スノウあじみするの」
「一口だけだよ?」
「はいなの!」
私は調合道具を片付けてキッチンへ向かった。
■
「よし。サラダも出来たし、後はピザが焼ければ…」
ドンドン
もう少しで昼食の仕度を終えようとしていた時、玄関の方からドアを叩く音がした。
『誰か居ないか?』
あれ?この声は確か…。玄関に行き、念のためドアを開ける前に声を掛ける。
「はい、どちら様ですか?」
「…冒険者ギルドのバートンだ」
やっぱり。私はギルマスの訪問を不思議に思いながら扉を開けた。
「はい。何でしょうか?」
「お……」
お?…えぇと、続きは?
ギルマスのバートンさんは私を見た瞬間に固まってしまった。…変な格好はしてないはずだけど。
今日は白Tシャツにオレンジ色のロング丈キャミワンピ。露出は少ないしスノウも谷間じゃなく肩の上。うん、大丈夫。
「バートンさん?何か御用だったんじゃ…」
「…は?あ?い、いや、用というか何というか…」
「?」
何故か言い淀む彼の顔は色黒でも分かるほど赤くなった。気を付けの姿勢を維持したまま、両手首から先だけもちゃもちゃ動かしている。
あの手が気になるな…昨日ギルドで自己紹介した時は威厳があったんだけど…別人みたい。
「あの、夫たちを呼んでくるので待ってていただけますか?」
そう言った時ちょうどリビングの方からレオンとエヴァがやってきた。
「…何の用だ?」
「ギルマス自らが来るなんて…相当重要な要件なんでしょう?」
2人が左右から私の肩を抱く。
「キラ、オーブン大丈夫?ここはもう良いから見ておいで」
「…うん、分かった」
確かにそろそろピザが焼ける頃だ。私は言われた通りキッチンへと戻った。
2人はキラがキッチンへ行ったのを見届けてからリビングのドアを閉め、バートンに向き直る。
「あんた…突然訪ねてきて人の女房に何するつもりだ?」
「そ、そんなつもりは…」
「無い、とでも言うつもりですか?ならそのおかしな手つきは何です?顔も真っ赤ですよ」
「ス、スマン…仕事以外で女性を目の前にすると馬鹿に緊張してな…しかも他大陸のあんな美人…ふぅ…」
そう言ってホッとしたように息を吐くバートンを見て、レオハーヴェンとエヴァントは顔を見合わせた。
「…あんた結婚は?」
「し、してない…」
「女性恐怖症ですか?」
「いや、そこまではいかない。仕事で職員や依頼者と話す分には大丈夫なんだ」
どうやら本当に女性が苦手なだけだと分かった2人は話を変える。
「変わった奴だな…で、要件は?」
「何かありました?」
「街のすぐそばに急に立派な木の家が建ったと門番から報告があってな、おかしなことが無いかちょっと確かめに…どうやって一瞬で家を建てたんだ?しかも木で」
「インベントリに入れて持ち歩いてる。それを出しただけだ」
「…は?」
あっさり答えたレオハーヴェンの言葉に目を丸くしたバートンでした。
■
「…それで確かめに来たの?ギルマス自ら?」
「そうらしいよ」
昼食後、バートンさんが来た理由を聞いた私は思わず聞き返した。だってわざわざギルマスが出張ってくるほどのことでもない気がしたんですよ。
「南大陸は木材が少ないからね。今まで通ってきた街に木の家も無かったし驚いたんじゃない?」
「あ、そうか」
「まあ…街中なら勝手に建てりゃ違反だが外だしな。それに確認は済んだんだからもう誰も来ねえだろ。それより聖水の方はどうだ?」
「うん、2種類作ってみたよ」
ビンに入った聖水を2本出して解析し、画面を見せた。
「1つは普通に高品質の聖水だね」
「いつもの事だがもう1つは凄えな」
「だね、10mlって一口にも満たないよ。1ビンで何体倒せるかな」
「くくっ…これを上手く仕込めたら、斬らなくてもちょいと突くだけで即死だぜ?」
「正に瞬殺。毒と睡眠薬バージョンも創る?」
「良いな、一本に仕込めればなお良い。恐ろしい武器が出来る」
2人はニヤニヤしながら話を進める。
…私も毒とか調合しておこうかな。
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