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86.制裁
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「…スレイプニル…ウチ初めて見た…」
「おれも…」
「…僕も」
彼らは男2人女1人でリーダーがシュカ、もう1人の男子がメイズ、紅一点リラン。ゆっくり自己紹介する時間など無いので互いに名前だけ告げた。シュカたちは私の後ろを歩きながらサニーとサックスを見て呟いている。驚きはしたものの怖がったりしていなかった。
「あ、あそこです…」
男が示した山肌にはトンネルのような大きな穴が開いていた。深そうな穴の奥は暗くて見えない。
「スノウ、分かるか?」
(ひとは4でまものはいないの)
「よし、俺らは外に居る。お前は本来の予定通り中へ声を掛けろ。…緊急時の暗号を言う、みてえなマネはすんなよ?」
「は、はいぃ…」
私たちは二手に別れて入口外の左右に隠れた。男が声を張り上げる。
「リ、リーダー!来ました!」
「…今行く!」
中から返事が聞こえた途端レオンが男を引っ張って気絶させ、自分が持っていた縄の先をサックスに咥えさせた。すぐに中から4人の男が飛び出してくる。私たちはサッと扇状に広がって相手を取り囲んだ。
「――!?なんだてめえら!…チッ!」
リーダーらしき男が私たちを見回し、縛られた奴を見て舌打ちする。
「くくっ、作戦失敗だなぁ?」
瞬時に得物を構える4人に圧をかけながら凄むレオン。だが相手もさすがは上級ランク、見張りの男みたいにあからさまに震えるような事はなかった。
「さあ、どうする?多少は頭使えるみてえだから状況は分かんだろ?」
「…クソが…邪魔建てする気ならヤルまでだ!おい!やっちまえ!!」
「「「おう!!」」」
リーダーは顔を真っ赤にして怒り、仲間に号令をかける。どこの世界も悪者のセリフは同じパターンらしい。
「貴様ら!!」
男たちが攻撃に出る直前、レオンの怒声が飛ぶ。その迫力に敵がビクッと動きを止めた。
「俺らの命奪る気なら…生きて帰れねえと思え!!」
「グッ…!怯むな、行けッ!」
殺気と言ってもいいほどの気迫に気圧されてたじろぐメンバーに檄を飛ばすリーダー。自らも大剣を握り直してレオンに飛び掛かった。
私は大剣を構えて敵と対峙していた。槍を持ったツリ目の男がニヤリと笑う。
「あんたみたいな若い女が大剣扱えんのか?可哀そうだから教えてやるよ、剣と槍じゃ…」
ガキィン!
勝手にベラベラと話し始めたツリ目の槍を大剣で弾き飛ばし、キョトンとしている奴の方へ素早く踏み出しながら無詠唱で峰打ちを使った。これがマンガなら最後まで聞くのかもしれないけど現実はそんな筈無い。ツリ目は何が起きたか分からないうちに倒れた。
「【ミストカーテン】」
「くっ…【エアーカッター!】」
敵2人と相対していたエヴァントは自らの周囲に霧の幕を創り出す。即座に風が霧を吹き飛ばすが刃を受けるはずの相手は居ない。
「ど、どこ行った!?」
「おい、あっちだ!」
「【アイス】」
「どわっ!」
「うわッ!」
エヴァントはすでに移動済み。敵が離れた距離を縮めようと走り出すと足元に氷が出現して派手に転んだ。すかさず距離を詰めて魔法を放つ。
「【ウォーター】」
「クソ、なんなん…」
「ッ!ヤバい、避け…」
「【サンダー】」
バチッ!!
水と雷。どちらも初歩の魔法だがエヴァントは高魔力、その上ウォーターの後にサンダーという威力の増す方法での攻撃で敵は衝撃を受けた上に痺れて動けない。
「ぐ…」
「…うッ」
「はい、オヤスミ」
ドンッ!
にっこり笑って蹴りを入れると2人は揃って気絶した。
ヒュッ、と剣がレオハーヴェンの横すれすれを通過する。先ほどから何度斬り付けても掠りもしない。
「この…!てめえ!逃げてばっかじゃねえかよ!」
「くくっ…周りが見えてねえのか?」
「何だと!」
「残ってるのは貴様1人だぜ?」
「なッ!―――!?」
その言葉に唆されてチラッと目を逸らすリーダー。その瞬間、レオハーヴェンの拳が顔面にヒットする。
「ぐがッ…!」
リーダーはよろけるが倒れずに踏みとどまった。
「ほぉ、防御力はなかなかだな」
「…て、めえ…舐めやがって…」
「手加減されんのは癇に障るか?なら全力でやってやる」
「!!」
バッと飛び退いて距離を取った敵に瞬時に迫り、再び拳を振りかぶる。リーダーが両腕で顔をガードしてさらに後退した時、横っ腹に蹴りが炸裂してふっ飛ばされた。
「ぐ…う…」
地面に叩きつけられ、起き上がれずに這い蹲って苦痛で顔を歪ませる。壊れた金属の防具が衝撃の強さを物語っていた。レオハーヴェンが呻く男の頭を足で押さえつけ、踏みにじる。
「どうだ?土下座して許しでも請うか?」
「…へッ…だ、れが…」
「そうか…残念だ」
全然残念そうじゃない表情でそう言い、もう一発蹴りを入れる。
「ゴフッ…!」
リーダーは血を吐いて気を失った。
シュカたちは事前に言われていた通り戦いが始まったと同時に下がっていた。そして、オーガの時にも感じたレオハーヴェン達の圧倒的な強さに改めて驚嘆していた。
■
4人、いや、見張りの男も含めて5人全員を素っ裸にし、指一本動かないように縛り上げた。持ち物も取り上げてあるし解析持ちも居ないので男たちに抵抗する術はない。
林の入口付近まで戻ってきた私たちはリーダーだけ強制的に起こして話を聞くことに。
「て、めえら…覚えてろよ!必ずッ、仕返ししてやる…!」
「キサマ…自分の状況が分からねえのか…?」
「グッ…く…」
目覚めた途端喚く男にレオンが殺気をぶつけるとギリギリ歯噛みしながら黙った。
「…何故この方法を選んだ?」
この方法を考えられる頭があるなら、見張りなどバレる危険を孕んだ作戦以外にもやりようはあったはず。それに今まで相手を死に追いやるような事まではなかったとシュカたちも言っていた。それでもあえて今回この方法を選択したのには何か理由があるだろう。
ギルドへ引き渡してしまえばその理由が分からないまま収束する事もあり得る。襲われた当人たちには知る権利があるし、彼ら自身も知りたいと言ったのだ。
「てめえらが出てこなきゃ成功したんだよ!クソ生意気なそいつらを手を汚さず殺せた!邪魔しやがって!」
リーダーは興奮したまま叫ぶ。
「何故殺す」
「…力つけてきたからに決まってんだろ!上級ランクはこれ以上要らねえんだよ!それに女だ!そこの女!リラン!」
急に名指しで怒鳴られてビクッとするリラン。シュカとメイズがサッと彼女を隠す。
「おれの女にしてやるって言ったのに断りやがって!」
「まさか…振られた腹いせか?」
「…呆れたね」
レオンとエヴァは呆れ果てた表情で男を見る。するとますますヒートアップしてきた。
「うるせえ!おれの女にならないなら魔物にでも喰われりゃいいんだ!オーガは若い女だけは食うからな!女はみんな食われりゃいい!」
……はぁ?おれを振ったから魔物に食われればいい?
…何それ。
レオハーヴェンが男を黙らせようと一歩踏み出した時、声がかかった。キラだ。
「待ってレオン。私、言いたいことがあるの。ちょっとだけ時間頂戴?」
「あ?ああ…別に良いが…」
「キラ…?」
(でたの!すごくこわいきら!)
2人の夫は驚き、一度経験のあるスノウは後ろに居るサニーとサックスのところまで避難した。
キラは無表情のままユラユラと威圧を立ち昇らせ、地面に転がるリーダーに近付いて見下ろす。その表情は冷酷そのもので整っているだけに迫力があった。
「何だよこのアマ!」
「…アンタ何様?女を何だと思ってんの?思い通りにならないなら死ね?……ふざけんじゃない!!」
「ぐ、がッ…!な…」
滅多に怒鳴ることなどないキラの怒声が飛んだ途端、周囲に漂っていた圧が爆発的に膨れ上がった。男は震えながらもがき苦しむ。
「…女はアンタの玩具じゃない!!」
「うぐぅッ…!」
綺麗な外見からは想像も出来ない強大な威圧。それをモロに浴びたリーダーはガクガク痙攣して気絶した。しかも失禁付き。
……ハッ!!…あぁ…またやっちゃった…。しかもレオンとエヴァの目の前で。私こんなに怒りっぽかった?
怒られるかな、呆れられるかな、こんな怖い女イヤかも。そんな不安に駆られていると後ろから笑い声が。
「くくっ、なるほどな。これは漏らすな」
「フフ、まともに食らったらまず間違いないね」
「ああ」
振り向こうとした時両肩を抱かれた。
「良くやったぜキラ、さすがは俺らの妻だ」
「見事な威圧だったよ。冷たい君も凄く綺麗だった」
褒め言葉と共に頬にキスをくれる。私はホッとして顔を上げた。
「あの…とっても頭にきちゃって…つい言っちゃった。もう少しコントロール出来ないとだめだよね?」
「ん?まあな。だがこれは教えて判るもんじゃねえ」
「今度魔物相手に練習すると良いよ。大丈夫、キラならすぐ出来るよ」
「そうかな…」
「そうだ」
「そうだよ」
そう言って今度は唇にキスしてくれた。
「ツヨイ…」
「コワイ…」
「スゴイ…」
上からシュカ、メイズ、リランの呟いたセリフである。
漏らして気絶した男の前で美男美女がいちゃつく奇妙な光景を、未だに震えながら見つめる3人でした…。
「おれも…」
「…僕も」
彼らは男2人女1人でリーダーがシュカ、もう1人の男子がメイズ、紅一点リラン。ゆっくり自己紹介する時間など無いので互いに名前だけ告げた。シュカたちは私の後ろを歩きながらサニーとサックスを見て呟いている。驚きはしたものの怖がったりしていなかった。
「あ、あそこです…」
男が示した山肌にはトンネルのような大きな穴が開いていた。深そうな穴の奥は暗くて見えない。
「スノウ、分かるか?」
(ひとは4でまものはいないの)
「よし、俺らは外に居る。お前は本来の予定通り中へ声を掛けろ。…緊急時の暗号を言う、みてえなマネはすんなよ?」
「は、はいぃ…」
私たちは二手に別れて入口外の左右に隠れた。男が声を張り上げる。
「リ、リーダー!来ました!」
「…今行く!」
中から返事が聞こえた途端レオンが男を引っ張って気絶させ、自分が持っていた縄の先をサックスに咥えさせた。すぐに中から4人の男が飛び出してくる。私たちはサッと扇状に広がって相手を取り囲んだ。
「――!?なんだてめえら!…チッ!」
リーダーらしき男が私たちを見回し、縛られた奴を見て舌打ちする。
「くくっ、作戦失敗だなぁ?」
瞬時に得物を構える4人に圧をかけながら凄むレオン。だが相手もさすがは上級ランク、見張りの男みたいにあからさまに震えるような事はなかった。
「さあ、どうする?多少は頭使えるみてえだから状況は分かんだろ?」
「…クソが…邪魔建てする気ならヤルまでだ!おい!やっちまえ!!」
「「「おう!!」」」
リーダーは顔を真っ赤にして怒り、仲間に号令をかける。どこの世界も悪者のセリフは同じパターンらしい。
「貴様ら!!」
男たちが攻撃に出る直前、レオンの怒声が飛ぶ。その迫力に敵がビクッと動きを止めた。
「俺らの命奪る気なら…生きて帰れねえと思え!!」
「グッ…!怯むな、行けッ!」
殺気と言ってもいいほどの気迫に気圧されてたじろぐメンバーに檄を飛ばすリーダー。自らも大剣を握り直してレオンに飛び掛かった。
私は大剣を構えて敵と対峙していた。槍を持ったツリ目の男がニヤリと笑う。
「あんたみたいな若い女が大剣扱えんのか?可哀そうだから教えてやるよ、剣と槍じゃ…」
ガキィン!
勝手にベラベラと話し始めたツリ目の槍を大剣で弾き飛ばし、キョトンとしている奴の方へ素早く踏み出しながら無詠唱で峰打ちを使った。これがマンガなら最後まで聞くのかもしれないけど現実はそんな筈無い。ツリ目は何が起きたか分からないうちに倒れた。
「【ミストカーテン】」
「くっ…【エアーカッター!】」
敵2人と相対していたエヴァントは自らの周囲に霧の幕を創り出す。即座に風が霧を吹き飛ばすが刃を受けるはずの相手は居ない。
「ど、どこ行った!?」
「おい、あっちだ!」
「【アイス】」
「どわっ!」
「うわッ!」
エヴァントはすでに移動済み。敵が離れた距離を縮めようと走り出すと足元に氷が出現して派手に転んだ。すかさず距離を詰めて魔法を放つ。
「【ウォーター】」
「クソ、なんなん…」
「ッ!ヤバい、避け…」
「【サンダー】」
バチッ!!
水と雷。どちらも初歩の魔法だがエヴァントは高魔力、その上ウォーターの後にサンダーという威力の増す方法での攻撃で敵は衝撃を受けた上に痺れて動けない。
「ぐ…」
「…うッ」
「はい、オヤスミ」
ドンッ!
にっこり笑って蹴りを入れると2人は揃って気絶した。
ヒュッ、と剣がレオハーヴェンの横すれすれを通過する。先ほどから何度斬り付けても掠りもしない。
「この…!てめえ!逃げてばっかじゃねえかよ!」
「くくっ…周りが見えてねえのか?」
「何だと!」
「残ってるのは貴様1人だぜ?」
「なッ!―――!?」
その言葉に唆されてチラッと目を逸らすリーダー。その瞬間、レオハーヴェンの拳が顔面にヒットする。
「ぐがッ…!」
リーダーはよろけるが倒れずに踏みとどまった。
「ほぉ、防御力はなかなかだな」
「…て、めえ…舐めやがって…」
「手加減されんのは癇に障るか?なら全力でやってやる」
「!!」
バッと飛び退いて距離を取った敵に瞬時に迫り、再び拳を振りかぶる。リーダーが両腕で顔をガードしてさらに後退した時、横っ腹に蹴りが炸裂してふっ飛ばされた。
「ぐ…う…」
地面に叩きつけられ、起き上がれずに這い蹲って苦痛で顔を歪ませる。壊れた金属の防具が衝撃の強さを物語っていた。レオハーヴェンが呻く男の頭を足で押さえつけ、踏みにじる。
「どうだ?土下座して許しでも請うか?」
「…へッ…だ、れが…」
「そうか…残念だ」
全然残念そうじゃない表情でそう言い、もう一発蹴りを入れる。
「ゴフッ…!」
リーダーは血を吐いて気を失った。
シュカたちは事前に言われていた通り戦いが始まったと同時に下がっていた。そして、オーガの時にも感じたレオハーヴェン達の圧倒的な強さに改めて驚嘆していた。
■
4人、いや、見張りの男も含めて5人全員を素っ裸にし、指一本動かないように縛り上げた。持ち物も取り上げてあるし解析持ちも居ないので男たちに抵抗する術はない。
林の入口付近まで戻ってきた私たちはリーダーだけ強制的に起こして話を聞くことに。
「て、めえら…覚えてろよ!必ずッ、仕返ししてやる…!」
「キサマ…自分の状況が分からねえのか…?」
「グッ…く…」
目覚めた途端喚く男にレオンが殺気をぶつけるとギリギリ歯噛みしながら黙った。
「…何故この方法を選んだ?」
この方法を考えられる頭があるなら、見張りなどバレる危険を孕んだ作戦以外にもやりようはあったはず。それに今まで相手を死に追いやるような事まではなかったとシュカたちも言っていた。それでもあえて今回この方法を選択したのには何か理由があるだろう。
ギルドへ引き渡してしまえばその理由が分からないまま収束する事もあり得る。襲われた当人たちには知る権利があるし、彼ら自身も知りたいと言ったのだ。
「てめえらが出てこなきゃ成功したんだよ!クソ生意気なそいつらを手を汚さず殺せた!邪魔しやがって!」
リーダーは興奮したまま叫ぶ。
「何故殺す」
「…力つけてきたからに決まってんだろ!上級ランクはこれ以上要らねえんだよ!それに女だ!そこの女!リラン!」
急に名指しで怒鳴られてビクッとするリラン。シュカとメイズがサッと彼女を隠す。
「おれの女にしてやるって言ったのに断りやがって!」
「まさか…振られた腹いせか?」
「…呆れたね」
レオンとエヴァは呆れ果てた表情で男を見る。するとますますヒートアップしてきた。
「うるせえ!おれの女にならないなら魔物にでも喰われりゃいいんだ!オーガは若い女だけは食うからな!女はみんな食われりゃいい!」
……はぁ?おれを振ったから魔物に食われればいい?
…何それ。
レオハーヴェンが男を黙らせようと一歩踏み出した時、声がかかった。キラだ。
「待ってレオン。私、言いたいことがあるの。ちょっとだけ時間頂戴?」
「あ?ああ…別に良いが…」
「キラ…?」
(でたの!すごくこわいきら!)
2人の夫は驚き、一度経験のあるスノウは後ろに居るサニーとサックスのところまで避難した。
キラは無表情のままユラユラと威圧を立ち昇らせ、地面に転がるリーダーに近付いて見下ろす。その表情は冷酷そのもので整っているだけに迫力があった。
「何だよこのアマ!」
「…アンタ何様?女を何だと思ってんの?思い通りにならないなら死ね?……ふざけんじゃない!!」
「ぐ、がッ…!な…」
滅多に怒鳴ることなどないキラの怒声が飛んだ途端、周囲に漂っていた圧が爆発的に膨れ上がった。男は震えながらもがき苦しむ。
「…女はアンタの玩具じゃない!!」
「うぐぅッ…!」
綺麗な外見からは想像も出来ない強大な威圧。それをモロに浴びたリーダーはガクガク痙攣して気絶した。しかも失禁付き。
……ハッ!!…あぁ…またやっちゃった…。しかもレオンとエヴァの目の前で。私こんなに怒りっぽかった?
怒られるかな、呆れられるかな、こんな怖い女イヤかも。そんな不安に駆られていると後ろから笑い声が。
「くくっ、なるほどな。これは漏らすな」
「フフ、まともに食らったらまず間違いないね」
「ああ」
振り向こうとした時両肩を抱かれた。
「良くやったぜキラ、さすがは俺らの妻だ」
「見事な威圧だったよ。冷たい君も凄く綺麗だった」
褒め言葉と共に頬にキスをくれる。私はホッとして顔を上げた。
「あの…とっても頭にきちゃって…つい言っちゃった。もう少しコントロール出来ないとだめだよね?」
「ん?まあな。だがこれは教えて判るもんじゃねえ」
「今度魔物相手に練習すると良いよ。大丈夫、キラならすぐ出来るよ」
「そうかな…」
「そうだ」
「そうだよ」
そう言って今度は唇にキスしてくれた。
「ツヨイ…」
「コワイ…」
「スゴイ…」
上からシュカ、メイズ、リランの呟いたセリフである。
漏らして気絶した男の前で美男美女がいちゃつく奇妙な光景を、未だに震えながら見つめる3人でした…。
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