82 / 213
71.森へ
しおりを挟む
私は今、コテージで調合をしています。ヒュージクローチを退治する毒団子作りです。
ヒュージクローチとは…Gでした…。奴です、黒光ってて素早くておまけに飛ぶ、恐ろしい奴です。クローチはコックローチの事でしたよ。分からんわ!とツッコミを入れそうになりました。ヒュージというくらいですから、体長は2m前後、そして恐ろしいことに群れるそうですよ。1体いたら10体はいると思え、が常識だそうで…幸い奴らには毒が効くそうなので毒団子を作っています。
発見した冒険者の話によると、Gは迂回路となっている森の洞窟に新たな巣を作っているという。昼間だったのでここでは基本的に夜行性の奴らに気付かれずに帰ってこられたのだとか。だが稀に昼間でも活動することがある為安心出来ないし、放っておくと森のものを全て食らいつくされてしまう。殲滅しなければならないがGの群れは上級ランクのパーティーでなければ倒すのは困難、その上ムルには上級パーティーが居ない。ならばとこの先の街に協力を要請しようとしていた矢先に崖崩れで…という状況だった。何故協力要請がヴェスタじゃなかったかというと、ヴェスタの方が遠いから。片道2日、往復だと4日も違うのだ。雑食で食い意地が張っているGに襲われた村や街も多く、少しでも早く討伐する必要があったのだ。
何かに使えると思って毒草を採っておいて良かった。乾燥済みだから毒の匂いは無く、加えたはちみつの甘い香りがする。2人にも捏ねるのを手伝ってもらってリンゴ大の物を5つ作り、あとは複製の倍々方式で数を増やして160個揃えた。
「…出来た」
時計はもう0時を回り、日付けが変わってしまった。始めたのが遅かったから仕方ないのだが…さすがにちょっと疲れたかも。
「お疲れ様、キラ」
「お前にばかりやらせて悪いな。疲れただろう?」
作業を見つめながら待ってくれていた2人が労わってくれる。その夫たちに体を預けると暖かくてホッとした。スノウは途中まで作業を見ていて、おいしそうだと騒いでいたが眠ってしまった。
「ん…ちょっとだけ、でも手伝ってもらったし大丈夫。それにこの方法が上手くいけば戦わずして討伐できるもの」
「そう?」
「もう休もうぜ、明日も早い」
「うん…でもちょっと待って。解析してみたい」
【名前】毒団子
【種類】毒薬
【状態】最高
【備考】即効性・10gで致死量・取り扱い厳重注意
「「「…」」」
10gで致死量…自分で作ったくせにコワイです…。
「効き目は保証されたね」
「ああ。即死だな」
「ハハハ…」
乾いた笑いが部屋に響いた…
宿を取ったのにコテージで眠ってしまった私たちです。断りを入れては来ましたが。
■
翌朝。街の南門前にはアランさんとトールさんも来ていた。
「レックスの皆さん、よろしくお願いします」
「頼んだぞ」
「「よろしくお願いします!」」
挨拶を交わし、ギルマスに見送られて出発する。巣を発見した若い冒険者2人も一緒だ。歩きでも昼過ぎには着くそうなので馬は置いていく。この近さも街人を恐怖に陥れている原因なのだ。
「ね、ねえ。自分で歩けるから…」
「キラは寝不足だろ。体力温存だ」
「寝不足はレオンとエヴァだって同じじゃない」
「オレたちが寝不足くらいでバテるように見える?」
「そうじゃないけど…」
森に入るなり抵抗する間も無く子供抱っこされて数分、交渉してみるが敢え無く撃沈。
「俺らは慣れてるから大丈夫だ。心配すんな」
そう言って笑顔でちゅっ、とキスする。
「ちょ…」
「心配なら後で癒して?」
抗議しようとするとエヴァに遮られてまたキスされた。
「…もう」
この感じは何を言っても私を降ろす気など無い。それが分かって大人しくしておく事にした。さっきから後ろを気にしながら前を歩く案内役の2人には悪いけどね…。
森に入って2時間、エヴァの肩に止まっているスノウは、チラッと飛んでいっては戻ってを繰り返して森を満喫している。
おっきいくもがいたの!とか嬉しそうに叫んだり、むしとったの!と言ってでっかい蛾を小さな足で掴んで運んできたりしてはしゃいでいた。クモは捕ってこないでね。
(あっちにおーくとしるばうるふがいるの!)
また飛んで戻ってきたスノウの言葉に夫たちが顔を見合わせ、足を止める。
「どのくらい居た」
(いっぱい!)
「ということは10体以上だね」
まだ10以上の数字は苦手なのだ。
(たたかってたの)
「…オークを放っておくのは不味いな…」
「討伐しに行く?ねえ、ヒュージクローチの巣まで後どれくらい?」
「ま、まだ4、5時間はかかります」
エヴァに聞かれて戸惑いながら答える若い冒険者。
「4、5時間か…」
「時間的にはあまり余裕はないね」
「そうだな…よし、俺がオークを討伐してくる。お前らはこのまま進め」
そう言って私を降ろすレオン。
「大丈夫?合流できる?」
「ああ、スノウを連れてくから大丈夫だ」
「そう?気を付けてね?」
「ああ、ありがとう。…エヴァ、こっち頼んだ」
「了解」
「じゃあ行くぜ。スノウ、来い」
(はいなの!)
スノウにも声を掛け、2人を見送ってから再び歩き始めた。
レオンとスノウの2人と別れて30分ほど進んだ時、危機察知に反応があった。立ち止まって伝える。
「エヴァ、近くに何か居る」
「反応あった?」
「うん」
「…君たちも得物を構えていつでも攻撃できるようにして」
「「はい」」
エヴァに言われて若い冒険者も剣を構える。私もインベントリから大剣を出した。この大剣は片手でも持てるので魔法も放てる。それにローブを作り替えたので着たままで剣が振れるのだ。
警戒しながら再び進もうとしたとき、前方の茂みがガサッと揺れる。
「来るよ」
次の瞬間茂みから飛び出してきたのは4体の黒い狼。
「【スクリュー!】」
エヴァの両手から放たれた水流がそれぞれ狼を巻き込んで渦の中に閉じ込め、水の刃で体を引き裂く。彼の詠唱と同時に地を蹴った私は飛び掛かってくる黒い体を宙で斬り付けた。
「ギャインッ!!」
横っ腹をパックリ裂かれた狼が血を吹き出しながら地面に落ちる。エヴァが仕留めた2体もすでに息絶えていた。残る1体を見ると今まさに若い冒険者に飛び掛からんとしている。
「【サンダーショット!】」
エヴァの声が響き、雷を食らった魔物は感電して動きを止めた。
「止めを刺すんだ!」
「ッ!ヤアッ!」
狼は剣で地面に縫い付けられ、そのまま死んだ。
「皆ケガはないか?」
その問いに皆が頷くと彼は息を吐いた。
「ブラックウルフ…君たちはずっとムルにいたんだよね?今までこの森でブラックウルフに遭遇したことはあるかい?」
「いいえ…シルバーウルフは偶に出ましたけど…他はゴブリンとかくらいしか…」
「聞いたこともない?」
「はい。ただずっと奥の方は分かりませんが…」
「そうか…」
ブラックウルフはシルバーウルフと違って夜行性に近く、昼は殆ど活動しない。それに棲家も森の奥深くで人が通るような道へ出てくる事もまず無い。
エヴァは暫し考えていたがすぐに顔を上げた。
「とにかく魔物を回収して先へ進もう」
「はい」
「キラ、洗浄頼んでも良い?」
「うん」
私はウルフを回収した後血痕に洗浄と乾燥をかけて回った。
その光景を若い2人がポカンとして見ていた。
ヒュージクローチとは…Gでした…。奴です、黒光ってて素早くておまけに飛ぶ、恐ろしい奴です。クローチはコックローチの事でしたよ。分からんわ!とツッコミを入れそうになりました。ヒュージというくらいですから、体長は2m前後、そして恐ろしいことに群れるそうですよ。1体いたら10体はいると思え、が常識だそうで…幸い奴らには毒が効くそうなので毒団子を作っています。
発見した冒険者の話によると、Gは迂回路となっている森の洞窟に新たな巣を作っているという。昼間だったのでここでは基本的に夜行性の奴らに気付かれずに帰ってこられたのだとか。だが稀に昼間でも活動することがある為安心出来ないし、放っておくと森のものを全て食らいつくされてしまう。殲滅しなければならないがGの群れは上級ランクのパーティーでなければ倒すのは困難、その上ムルには上級パーティーが居ない。ならばとこの先の街に協力を要請しようとしていた矢先に崖崩れで…という状況だった。何故協力要請がヴェスタじゃなかったかというと、ヴェスタの方が遠いから。片道2日、往復だと4日も違うのだ。雑食で食い意地が張っているGに襲われた村や街も多く、少しでも早く討伐する必要があったのだ。
何かに使えると思って毒草を採っておいて良かった。乾燥済みだから毒の匂いは無く、加えたはちみつの甘い香りがする。2人にも捏ねるのを手伝ってもらってリンゴ大の物を5つ作り、あとは複製の倍々方式で数を増やして160個揃えた。
「…出来た」
時計はもう0時を回り、日付けが変わってしまった。始めたのが遅かったから仕方ないのだが…さすがにちょっと疲れたかも。
「お疲れ様、キラ」
「お前にばかりやらせて悪いな。疲れただろう?」
作業を見つめながら待ってくれていた2人が労わってくれる。その夫たちに体を預けると暖かくてホッとした。スノウは途中まで作業を見ていて、おいしそうだと騒いでいたが眠ってしまった。
「ん…ちょっとだけ、でも手伝ってもらったし大丈夫。それにこの方法が上手くいけば戦わずして討伐できるもの」
「そう?」
「もう休もうぜ、明日も早い」
「うん…でもちょっと待って。解析してみたい」
【名前】毒団子
【種類】毒薬
【状態】最高
【備考】即効性・10gで致死量・取り扱い厳重注意
「「「…」」」
10gで致死量…自分で作ったくせにコワイです…。
「効き目は保証されたね」
「ああ。即死だな」
「ハハハ…」
乾いた笑いが部屋に響いた…
宿を取ったのにコテージで眠ってしまった私たちです。断りを入れては来ましたが。
■
翌朝。街の南門前にはアランさんとトールさんも来ていた。
「レックスの皆さん、よろしくお願いします」
「頼んだぞ」
「「よろしくお願いします!」」
挨拶を交わし、ギルマスに見送られて出発する。巣を発見した若い冒険者2人も一緒だ。歩きでも昼過ぎには着くそうなので馬は置いていく。この近さも街人を恐怖に陥れている原因なのだ。
「ね、ねえ。自分で歩けるから…」
「キラは寝不足だろ。体力温存だ」
「寝不足はレオンとエヴァだって同じじゃない」
「オレたちが寝不足くらいでバテるように見える?」
「そうじゃないけど…」
森に入るなり抵抗する間も無く子供抱っこされて数分、交渉してみるが敢え無く撃沈。
「俺らは慣れてるから大丈夫だ。心配すんな」
そう言って笑顔でちゅっ、とキスする。
「ちょ…」
「心配なら後で癒して?」
抗議しようとするとエヴァに遮られてまたキスされた。
「…もう」
この感じは何を言っても私を降ろす気など無い。それが分かって大人しくしておく事にした。さっきから後ろを気にしながら前を歩く案内役の2人には悪いけどね…。
森に入って2時間、エヴァの肩に止まっているスノウは、チラッと飛んでいっては戻ってを繰り返して森を満喫している。
おっきいくもがいたの!とか嬉しそうに叫んだり、むしとったの!と言ってでっかい蛾を小さな足で掴んで運んできたりしてはしゃいでいた。クモは捕ってこないでね。
(あっちにおーくとしるばうるふがいるの!)
また飛んで戻ってきたスノウの言葉に夫たちが顔を見合わせ、足を止める。
「どのくらい居た」
(いっぱい!)
「ということは10体以上だね」
まだ10以上の数字は苦手なのだ。
(たたかってたの)
「…オークを放っておくのは不味いな…」
「討伐しに行く?ねえ、ヒュージクローチの巣まで後どれくらい?」
「ま、まだ4、5時間はかかります」
エヴァに聞かれて戸惑いながら答える若い冒険者。
「4、5時間か…」
「時間的にはあまり余裕はないね」
「そうだな…よし、俺がオークを討伐してくる。お前らはこのまま進め」
そう言って私を降ろすレオン。
「大丈夫?合流できる?」
「ああ、スノウを連れてくから大丈夫だ」
「そう?気を付けてね?」
「ああ、ありがとう。…エヴァ、こっち頼んだ」
「了解」
「じゃあ行くぜ。スノウ、来い」
(はいなの!)
スノウにも声を掛け、2人を見送ってから再び歩き始めた。
レオンとスノウの2人と別れて30分ほど進んだ時、危機察知に反応があった。立ち止まって伝える。
「エヴァ、近くに何か居る」
「反応あった?」
「うん」
「…君たちも得物を構えていつでも攻撃できるようにして」
「「はい」」
エヴァに言われて若い冒険者も剣を構える。私もインベントリから大剣を出した。この大剣は片手でも持てるので魔法も放てる。それにローブを作り替えたので着たままで剣が振れるのだ。
警戒しながら再び進もうとしたとき、前方の茂みがガサッと揺れる。
「来るよ」
次の瞬間茂みから飛び出してきたのは4体の黒い狼。
「【スクリュー!】」
エヴァの両手から放たれた水流がそれぞれ狼を巻き込んで渦の中に閉じ込め、水の刃で体を引き裂く。彼の詠唱と同時に地を蹴った私は飛び掛かってくる黒い体を宙で斬り付けた。
「ギャインッ!!」
横っ腹をパックリ裂かれた狼が血を吹き出しながら地面に落ちる。エヴァが仕留めた2体もすでに息絶えていた。残る1体を見ると今まさに若い冒険者に飛び掛からんとしている。
「【サンダーショット!】」
エヴァの声が響き、雷を食らった魔物は感電して動きを止めた。
「止めを刺すんだ!」
「ッ!ヤアッ!」
狼は剣で地面に縫い付けられ、そのまま死んだ。
「皆ケガはないか?」
その問いに皆が頷くと彼は息を吐いた。
「ブラックウルフ…君たちはずっとムルにいたんだよね?今までこの森でブラックウルフに遭遇したことはあるかい?」
「いいえ…シルバーウルフは偶に出ましたけど…他はゴブリンとかくらいしか…」
「聞いたこともない?」
「はい。ただずっと奥の方は分かりませんが…」
「そうか…」
ブラックウルフはシルバーウルフと違って夜行性に近く、昼は殆ど活動しない。それに棲家も森の奥深くで人が通るような道へ出てくる事もまず無い。
エヴァは暫し考えていたがすぐに顔を上げた。
「とにかく魔物を回収して先へ進もう」
「はい」
「キラ、洗浄頼んでも良い?」
「うん」
私はウルフを回収した後血痕に洗浄と乾燥をかけて回った。
その光景を若い2人がポカンとして見ていた。
33
お気に入りに追加
4,888
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?
わんた
ファンタジー
DVの父から母を守って死ぬと、異世界の住民であるイオディプスの体に乗り移って目覚めた。
ここは、男女比率が1対99に偏っている世界だ。
しかもスキルという特殊能力も存在し、イオディプスは最高ランクSSのスキルブースターをもっている。
他人が持っているスキルの効果を上昇させる効果があり、ブースト対象との仲が良ければ上昇率は高まるうえに、スキルが別物に進化することもある。
本来であれば上位貴族の夫(種馬)として過ごせるほどの能力を持っているのだが、当の本人は自らの価値に気づいていない。
贅沢な暮らしなんてどうでもよく、近くにいる女性を幸せにしたいと願っているのだ。
そんな隙だらけの男を、知り合った女性は見逃さない。
家で監禁しようとする危険な女性や子作りにしか興味のない女性などと、表面上は穏やかな生活をしつつ、一緒に冒険者として活躍する日々が始まった。
序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。 え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし
水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑
★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位!
★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント)
「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」
『醜い豚』
『最低のゴミクズ』
『無能の恥晒し』
18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。
優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。
魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。
ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。
プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。
そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。
ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。
「主人公は俺なのに……」
「うん。キミが主人公だ」
「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」
「理不尽すぎません?」
原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。
※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
車輪屋男爵~異世界から来たピンク髪で巨乳の女の子が冷蔵庫とかシャワーとか良く分からないことを言ってるので訳してもらっていいッスか?
くさなぎ
ファンタジー
『車輪』、それは神代文字……カタカムナ。
郵便馬車で始まった車輪屋は異世界文化の流入と同時に次第に変化していった。
斜陽を迎え、崩壊と混乱へと向かいつつある巨大な『帝国』世界。
元も辺境に位置する弱小貴族のアレキサンダー男爵の当主エドアードこと、三流魔術師クローリー。
彼は、|賢者《セージ》を名乗る異世界から召喚されてきた小太りの青年から伝え聞いたバブル時代の日本の豊かさと平和に憧れた。
世界を変えようとまでは思わない。
自分と自分の周り、つまり小さな自分の領地の中だけでも豊かにしたかった。
優れた領主というわけではない。
人望もあまりない。
みんなで食料に困らず、今よりちょっと豊かに、今よりちょっと楽ができる世界。
それがクローリーの妄想する世界だった。
混乱する帝国では各諸侯たちが暗躍する。
異世界から異能の力を持ったバランスブレイカーを召喚して戦略兵器としてキャスティングボードを握ろうとしていた。
そのために次々と異世界から召喚されるが、その多くは平凡な人物だった。
彼らは『ハズレ』と呼ばれゴミのように捨てられた。
だが、そのような存在こそクローリーの望むもの。
能力よりも豊かな異世界の文化の知識を必要としていたのだ。
例えば塾講師、例えばテロリスト……。
例えば胸の大きい女子中学生。
後で考えればその巨乳ロリ中学生の沙那を拾ったことが全ての始まりだったのかもしれない。
「なにこれ、美味しくないーい!味しなーい!」「お風呂とシャワーはー?」「街の中がトイレの臭いするー。くっさーい!」
物怖じしない超アクティブなJCに振り回されつつ、クローリーの野望は現実化していく……のだが!
世界は混沌としていくばかり。
クローリーの箱庭のような領地にも次々と難題が襲い掛かる。、
何で攻めてくるやつらがいるの?
荒波の中の小舟のように揺れるクローリーたちの明日はどっちだ!?
(この作品は下書きみたいなものなので、いずれは再構成版をアップしたいと思います)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる