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7.旅支度
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翌朝、目が覚めたのは6時。一昨日は完徹だったので昨夜は瞬く間に眠ってしまった。
ベッドに起き上がって体を伸ばす。数日ぶりに抑えつける物がなかった大きな胸も充分開放感を味わった。着替えを終え、2階にある宿泊者用の洗面台で顔を洗う。ふとそこにあった鏡を見ると、そこには見知らぬ女性が。
長い銀髪、白い肌、涼しげでくっきり二重の瞳は蒼く、睫毛も長い。通った鼻筋にぷっくりした可愛らしい唇。小さな顔のパーツはまさに黄金比。綺麗なのに笑うとちょっと甘く可愛い雰囲気でふんわりとした色香が漂う。
…あれ?ちょっと待って…これ、鏡だよね?…ということは?
自分の頬に手をやると、鏡の女性も同じく頬に手をやる。
これ、もしかして私?え?ウソォ…。いや、私も銀髪だけど…ホントに?
その後何度も確かめてみて漸くこれが今の自分だと理解できた。私は異世界生活4日目でやっと自分の顔を確認できたのだ。
■
朝食後ギルドへやってきた私は裏の倉庫へ呼ばれた。呼んだのは解体と査定を頼んだベンさん。
「オークの肉1体分はこれだ。食える部分だけ取っといたがそれで良いだろ?」
彼がコンテナに入っていた肉を取り出して布が敷かれた台の上に置く。もっとグロテスクな肉塊だと思って覚悟していたのだが、大きさと形が多少違うくらいでちゃんとブタバラブロックやロースブロックだった。小間切れや脂も取ってある。
「はい、ありがとうございました」
布も持ってって良いという事だったのでお礼を言い、そのまま包んでインベントリに仕舞う。
「良いインベントリを持ってるな。あれだけの魔物が入ったんだ、余程容量があるんだろ?」
「…そうでもないですよ、魔物に中を占領されて困ってたんです」
別に隠す事でも無いのかもしれないが、何となく嫌で適当に誤魔化した。
「ふぅん?…まあいい。金はカウンターで受け取れ」
「はい」
私は一言だけ返してギルドへ戻った。
カウンターで代金を受け取って表へ出る。
オークの代金は 17,250ギルだったので、現在の所持金は18,460ギルだ。これでどのくらい必需品が揃えられるか分からない、取り敢えず値段を見て回って優先順位の高いものから買おう。そう決めて早速店へ向かった。
只今の残金、2,550ギル。15,910ギル使いました。日本円にすると約16万、だいぶ使ったなぁ。でも色々ものは揃った。
服上下、下着、土鍋、フライパン、スープ皿、皿、スプーン、ナイフ、ソルト、スパイス、コンソメ、タライ、桶、タオル、石鹸、ブラシ、水瓶、竹皮ならぬ木皮、下級回復薬、魔除け香、毛皮、毛布、ロープ、布袋、そしてお米と少量の野菜。
アイテムバッグは高くて無理だったが他は全て買えた。お米は30キロくらいで500ギルだったのでパンよりだいぶ安上がり。ホーンラビットとオークの肉もあるし、これでしばらく食事に困らない。それだけでも随分安心だ。
さて。お米が手に入ったので、明日からの食事に備えてご飯を大量に炊いておにぎりを作っておきたいと思います。
この村に辿り着くまでに焚き木や使えそうな石を拾いながら歩いてきた。
これでカマドが組めると良いけど。
村の隅の目立たない場所に移動し、昔の記憶を掘り起こして作業を進める。結婚直前までいった彼はアウトドアが大好きで、よく一緒に行って色々教えてもらった。何が何処で役に立つか分からないものです。
その後何とかカマドを組み、焚き木を燃やしてお米を磨ぎ、土鍋で炊きにかかる。
はじめチョロチョロ中ぱっぱ、赤子泣いても蓋とるな。ってね。よし、そろそろかな。
蒸らし終えた土鍋を開ける。ふわっとご飯の香りはしたがやはり日本のお米とは違う。ツヤもないしちょっと固めだ。でもおにぎりに出来なくはないのでちゃっちゃと握って第2弾へ。
第2弾はギリギリ及第点。第3弾はまあまあ。
第3弾まで終える頃には日が暮れて来たのでこれで終了。片付けの最後、試しにカマドを崩さずにしまってみてインベントリを確認。すると予想通りリストにカマドの文字があった。これで一々カマドを組まなくてすむ。
私は満足して宿へ戻った。
■
夜、夕食も行水も済ませてから宿の部屋で複製に挑戦していた。
まずは回復薬。この回復効果をスキルとして複製出来ないか試したのだがダメだった。なので回復薬自体をやってみるとそれは成功した。この感じなら石鹸やタオルは大丈夫そうだから、綺麗なうちに複製しておこう。
今夜は回復薬と石鹸、タオルを複製して終わりにし、明日から寝る前に複製のカウントをゼロにする事にした。使えばランクも上がるし、上がれば出来る事も増えるだろう。
これでよしっと、おやすみなさい。
ベッドに起き上がって体を伸ばす。数日ぶりに抑えつける物がなかった大きな胸も充分開放感を味わった。着替えを終え、2階にある宿泊者用の洗面台で顔を洗う。ふとそこにあった鏡を見ると、そこには見知らぬ女性が。
長い銀髪、白い肌、涼しげでくっきり二重の瞳は蒼く、睫毛も長い。通った鼻筋にぷっくりした可愛らしい唇。小さな顔のパーツはまさに黄金比。綺麗なのに笑うとちょっと甘く可愛い雰囲気でふんわりとした色香が漂う。
…あれ?ちょっと待って…これ、鏡だよね?…ということは?
自分の頬に手をやると、鏡の女性も同じく頬に手をやる。
これ、もしかして私?え?ウソォ…。いや、私も銀髪だけど…ホントに?
その後何度も確かめてみて漸くこれが今の自分だと理解できた。私は異世界生活4日目でやっと自分の顔を確認できたのだ。
■
朝食後ギルドへやってきた私は裏の倉庫へ呼ばれた。呼んだのは解体と査定を頼んだベンさん。
「オークの肉1体分はこれだ。食える部分だけ取っといたがそれで良いだろ?」
彼がコンテナに入っていた肉を取り出して布が敷かれた台の上に置く。もっとグロテスクな肉塊だと思って覚悟していたのだが、大きさと形が多少違うくらいでちゃんとブタバラブロックやロースブロックだった。小間切れや脂も取ってある。
「はい、ありがとうございました」
布も持ってって良いという事だったのでお礼を言い、そのまま包んでインベントリに仕舞う。
「良いインベントリを持ってるな。あれだけの魔物が入ったんだ、余程容量があるんだろ?」
「…そうでもないですよ、魔物に中を占領されて困ってたんです」
別に隠す事でも無いのかもしれないが、何となく嫌で適当に誤魔化した。
「ふぅん?…まあいい。金はカウンターで受け取れ」
「はい」
私は一言だけ返してギルドへ戻った。
カウンターで代金を受け取って表へ出る。
オークの代金は 17,250ギルだったので、現在の所持金は18,460ギルだ。これでどのくらい必需品が揃えられるか分からない、取り敢えず値段を見て回って優先順位の高いものから買おう。そう決めて早速店へ向かった。
只今の残金、2,550ギル。15,910ギル使いました。日本円にすると約16万、だいぶ使ったなぁ。でも色々ものは揃った。
服上下、下着、土鍋、フライパン、スープ皿、皿、スプーン、ナイフ、ソルト、スパイス、コンソメ、タライ、桶、タオル、石鹸、ブラシ、水瓶、竹皮ならぬ木皮、下級回復薬、魔除け香、毛皮、毛布、ロープ、布袋、そしてお米と少量の野菜。
アイテムバッグは高くて無理だったが他は全て買えた。お米は30キロくらいで500ギルだったのでパンよりだいぶ安上がり。ホーンラビットとオークの肉もあるし、これでしばらく食事に困らない。それだけでも随分安心だ。
さて。お米が手に入ったので、明日からの食事に備えてご飯を大量に炊いておにぎりを作っておきたいと思います。
この村に辿り着くまでに焚き木や使えそうな石を拾いながら歩いてきた。
これでカマドが組めると良いけど。
村の隅の目立たない場所に移動し、昔の記憶を掘り起こして作業を進める。結婚直前までいった彼はアウトドアが大好きで、よく一緒に行って色々教えてもらった。何が何処で役に立つか分からないものです。
その後何とかカマドを組み、焚き木を燃やしてお米を磨ぎ、土鍋で炊きにかかる。
はじめチョロチョロ中ぱっぱ、赤子泣いても蓋とるな。ってね。よし、そろそろかな。
蒸らし終えた土鍋を開ける。ふわっとご飯の香りはしたがやはり日本のお米とは違う。ツヤもないしちょっと固めだ。でもおにぎりに出来なくはないのでちゃっちゃと握って第2弾へ。
第2弾はギリギリ及第点。第3弾はまあまあ。
第3弾まで終える頃には日が暮れて来たのでこれで終了。片付けの最後、試しにカマドを崩さずにしまってみてインベントリを確認。すると予想通りリストにカマドの文字があった。これで一々カマドを組まなくてすむ。
私は満足して宿へ戻った。
■
夜、夕食も行水も済ませてから宿の部屋で複製に挑戦していた。
まずは回復薬。この回復効果をスキルとして複製出来ないか試したのだがダメだった。なので回復薬自体をやってみるとそれは成功した。この感じなら石鹸やタオルは大丈夫そうだから、綺麗なうちに複製しておこう。
今夜は回復薬と石鹸、タオルを複製して終わりにし、明日から寝る前に複製のカウントをゼロにする事にした。使えばランクも上がるし、上がれば出来る事も増えるだろう。
これでよしっと、おやすみなさい。
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