156 / 169
縄張り争い(下)
第五話
しおりを挟む
目が覚めた翌日、秋人は病院を後にした。
半妖故に傷の治りも桁違いに早いのもあるし、それに聞けば妖力を与えてくれた妖が真尋と居たとの事で、そのお陰でより回復も早まった。
色々と真尋に聞きたいこともあるので、周りからはもう少し休めと言われたが早々に退院し、自宅に帰った。
そして真尋と連絡を取り、自宅に来るようにと伝えた。
真尋が家を出て数ヶ月。
それからまだ一度もこの家に帰ってきていない。
そんな中、ピンポンと真尋が訪れたと言う合図のインターフォンが鳴って秋人はすぐに玄関へと向かう。
ドアを開けると真尋と、その後ろに見知らぬ長身の男が立っていた。
「お帰り真尋。
………そちらの方は?」
人の姿をしているが妖気が感じられ、人ではないと秋人は身構える。
「えっとこちらは烏天狗の緋葉」
すると緋葉は人から烏天狗へと姿を変えた。
その姿を見た秋人は一瞬目を見開き、眉間に深く皺を寄せた。
そんな秋人を見て真尋はよく知らない妖を連れてきて怪しんでると慌てて緋葉との出会いの経緯を説明する。
しかしながら秋人の表情は変わらない。
そもそも緋葉がここに居るのは彼が真尋の護衛と称して着いてきたからだ。
未だ逃げた天狗達が何処にいるのかも分からない。
先の出来事で真尋の顔は天狗に割れてしまっているので緋葉は心配で大学までも着いてくるのだ。
とは言っても烏の姿になって上空から真尋を見守っているだけなのだが、今回は一緒に着いていくと聞かなかった。
「まぁいい。
二人とも早く入りなさい」
困っている真尋を見て仕方無いと二人共家に入れた。
「ただいま~。
…………ああ、なんも変わってない」
中に入ると家を出る前とほとんど何も変わっておらず、安心した。
やはり住み慣れたこの家は落ち着く。
「真尋、座ってなさい」
そう言うと秋人はキッチンの棚からグラスと冷蔵庫から麦茶を出してテーブルへ持っていく。
家を出る前からの定位置の席に真尋は座る。
「緋葉も座りなよ」
「いえ、お構い無く」
真尋にそう促されるが、緋葉は真尋の傍に立っていて座ろうとはしなかった。
半妖故に傷の治りも桁違いに早いのもあるし、それに聞けば妖力を与えてくれた妖が真尋と居たとの事で、そのお陰でより回復も早まった。
色々と真尋に聞きたいこともあるので、周りからはもう少し休めと言われたが早々に退院し、自宅に帰った。
そして真尋と連絡を取り、自宅に来るようにと伝えた。
真尋が家を出て数ヶ月。
それからまだ一度もこの家に帰ってきていない。
そんな中、ピンポンと真尋が訪れたと言う合図のインターフォンが鳴って秋人はすぐに玄関へと向かう。
ドアを開けると真尋と、その後ろに見知らぬ長身の男が立っていた。
「お帰り真尋。
………そちらの方は?」
人の姿をしているが妖気が感じられ、人ではないと秋人は身構える。
「えっとこちらは烏天狗の緋葉」
すると緋葉は人から烏天狗へと姿を変えた。
その姿を見た秋人は一瞬目を見開き、眉間に深く皺を寄せた。
そんな秋人を見て真尋はよく知らない妖を連れてきて怪しんでると慌てて緋葉との出会いの経緯を説明する。
しかしながら秋人の表情は変わらない。
そもそも緋葉がここに居るのは彼が真尋の護衛と称して着いてきたからだ。
未だ逃げた天狗達が何処にいるのかも分からない。
先の出来事で真尋の顔は天狗に割れてしまっているので緋葉は心配で大学までも着いてくるのだ。
とは言っても烏の姿になって上空から真尋を見守っているだけなのだが、今回は一緒に着いていくと聞かなかった。
「まぁいい。
二人とも早く入りなさい」
困っている真尋を見て仕方無いと二人共家に入れた。
「ただいま~。
…………ああ、なんも変わってない」
中に入ると家を出る前とほとんど何も変わっておらず、安心した。
やはり住み慣れたこの家は落ち着く。
「真尋、座ってなさい」
そう言うと秋人はキッチンの棚からグラスと冷蔵庫から麦茶を出してテーブルへ持っていく。
家を出る前からの定位置の席に真尋は座る。
「緋葉も座りなよ」
「いえ、お構い無く」
真尋にそう促されるが、緋葉は真尋の傍に立っていて座ろうとはしなかった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
お昼寝カフェ【BAKU】へようこそ!~夢喰いバクと社畜は美少女アイドルの悪夢を見る~
保月ミヒル
キャラ文芸
人生諦め気味のアラサー営業マン・遠原昭博は、ある日不思議なお昼寝カフェに迷い混む。
迎えてくれたのは、眼鏡をかけた独特の雰囲気の青年――カフェの店長・夢見獏だった。
ゆるふわおっとりなその青年の正体は、なんと悪夢を食べる妖怪のバクだった。
昭博はひょんなことから夢見とダッグを組むことになり、客として来店した人気アイドルの悪夢の中に入ることに……!?
夢という誰にも見せない空間の中で、人々は悩み、試練に立ち向かい、成長する。
ハートフルサイコダイブコメディです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる