152 / 169
縄張り争い(下)
第一話
しおりを挟む
一方大天狗に追い詰められている栗郷。
大天狗の薙刀の切っ先が目の前に迫るその瞬間。
横から何かが現れ、大天狗に襲い掛かる。
見ると大きな動物のような妖が大天狗の薙刀をバキッと噛み砕いた。
「大丈夫?」
「………?」
艶やかな女性の声が栗郷に投げ掛けられ後ろを見ると、そこには和服姿の鹿北真奈がいた。
「アンタ、なんで………」
「私はこちらに応援に行けと命を受けましたの」
そう言うと彼女の後ろから続々と天明道の者が現れる。
そして大天狗は動物の妖から逃れ空へ舞い上がった。
するとその動物の妖は鹿北の元へやって来て、すりすりと身体を寄せた。
「私の式の化け猫です」
栗郷を寸前で助けたのは鹿北の式、化け猫だった。
白い体毛に黄色に光る鋭い目付きの化け猫はとても可愛いとは言えない程近くで見ると威圧感がある。
先程まで圧倒的にこちらの方が人数が少なかったのに、一気に人数が増えた上に、栗郷達が眷属の天狗を減らしたことで相手の方が不利となった。
「下劣な人間共めが………
ふん……まぁ良い、退屈しのぎにはなったしの……
また会おうぞ……」
「待て!!」
大天狗は眷属らと共にゆらりと消え去った。
何とかこの戦いから生き延びられたものの、任務は大天狗を殺す事だったので、任務は失敗となる。
栗郷は悔しさに唇を噛んだ。
そんな彼らを他所に天明道本部の敷地の奥にある屋敷に天明道会長の京道と、会員達に指示を出す最高幹部6人がいた。
「京道会長、今回の作戦の事で皆から不満が出ております」
京道にそう切り出した壮年の男性幹部だ。
今回の事は場当たり的だと天明道のあちらこちらから不満が聞こえてくる。
「黙れ、那由多様直々の指示であるぞ」
「それはそうですが………」
「貴様も那由多様に不満だと?」
「滅相もない」
「ならば黙っておけ」
京道は無理矢理意見を押し込めた。
そしてこれ以上は無意味と京道は席を立った。
その後ろを若い女性のお付きが着いていき、この屋敷の最奥の部屋の襖の前へやって来た。
「那由多様………」
京道はポツリと呟き、襖へそっと手を添える。
そして手を話すと踵を返し、その場から離れていった。
その襖の奥に引かれたカーテンには、髪の長い人の影が映し出され、カーテンの奥で吐息を漏らすその人は居た。
大天狗の薙刀の切っ先が目の前に迫るその瞬間。
横から何かが現れ、大天狗に襲い掛かる。
見ると大きな動物のような妖が大天狗の薙刀をバキッと噛み砕いた。
「大丈夫?」
「………?」
艶やかな女性の声が栗郷に投げ掛けられ後ろを見ると、そこには和服姿の鹿北真奈がいた。
「アンタ、なんで………」
「私はこちらに応援に行けと命を受けましたの」
そう言うと彼女の後ろから続々と天明道の者が現れる。
そして大天狗は動物の妖から逃れ空へ舞い上がった。
するとその動物の妖は鹿北の元へやって来て、すりすりと身体を寄せた。
「私の式の化け猫です」
栗郷を寸前で助けたのは鹿北の式、化け猫だった。
白い体毛に黄色に光る鋭い目付きの化け猫はとても可愛いとは言えない程近くで見ると威圧感がある。
先程まで圧倒的にこちらの方が人数が少なかったのに、一気に人数が増えた上に、栗郷達が眷属の天狗を減らしたことで相手の方が不利となった。
「下劣な人間共めが………
ふん……まぁ良い、退屈しのぎにはなったしの……
また会おうぞ……」
「待て!!」
大天狗は眷属らと共にゆらりと消え去った。
何とかこの戦いから生き延びられたものの、任務は大天狗を殺す事だったので、任務は失敗となる。
栗郷は悔しさに唇を噛んだ。
そんな彼らを他所に天明道本部の敷地の奥にある屋敷に天明道会長の京道と、会員達に指示を出す最高幹部6人がいた。
「京道会長、今回の作戦の事で皆から不満が出ております」
京道にそう切り出した壮年の男性幹部だ。
今回の事は場当たり的だと天明道のあちらこちらから不満が聞こえてくる。
「黙れ、那由多様直々の指示であるぞ」
「それはそうですが………」
「貴様も那由多様に不満だと?」
「滅相もない」
「ならば黙っておけ」
京道は無理矢理意見を押し込めた。
そしてこれ以上は無意味と京道は席を立った。
その後ろを若い女性のお付きが着いていき、この屋敷の最奥の部屋の襖の前へやって来た。
「那由多様………」
京道はポツリと呟き、襖へそっと手を添える。
そして手を話すと踵を返し、その場から離れていった。
その襖の奥に引かれたカーテンには、髪の長い人の影が映し出され、カーテンの奥で吐息を漏らすその人は居た。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
デリバリー・デイジー
SoftCareer
キャラ文芸
ワケ有りデリヘル嬢デイジーさんの奮闘記。
これを読むと君もデリヘルに行きたくなるかも。いや、行くんじゃなくて呼ぶんだったわ……あっ、本作品はR-15ですが、デリヘル嬢は18歳にならないと呼んじゃだめだからね。
※もちろん、内容は百%フィクションですよ!
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
百合系サキュバス達に一目惚れされた
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
MIDNIGHT
邦幸恵紀
キャラ文芸
【現代ファンタジー/外面のいい会社員×ツンデレ一見美少年/友人以上恋人未満】
「真夜中にはあまり出歩かないほうがいい」。
三月のある深夜、会社員・鬼頭和臣は、黒ずくめの美少年・霧河雅美にそう忠告される。
未成年に説教される筋合いはないと鬼頭は反発するが、その出会いが、その後の彼の人生を大きく変えてしまうのだった。
◆「第6回キャラ文芸大賞」で奨励賞をいただきました。ありがとうございました。
ニンジャマスター・ダイヤ
竹井ゴールド
キャラ文芸
沖縄県の手塚島で育った母子家庭の手塚大也は実母の死によって、東京の遠縁の大鳥家に引き取られる事となった。
大鳥家は大鳥コンツェルンの創業一族で、裏では日本を陰から守る政府機関・大鳥忍軍を率いる忍者一族だった。
沖縄県の手塚島で忍者の修行をして育った大也は東京に出て、忍者の争いに否応なく巻き込まれるのだった。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる