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縄張り争い(上)
第十四話
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キャンと悲鳴を上げて壁に叩き付けられたネコ。
しかしネコに噛まれた左腕は流石に使い物にならなくなったようで、ダラリと垂れ、血が滴り落ちる。
その大天狗、風楽に利音は畳み掛けるように術を繰り出す。
「百鬼絶破」
大きな障壁が大天狗を襲う。
「舐めるなよ小僧!!」
そう言って風楽は右手だけでその障壁を受け止め、利音の術を消し去った。
そして一瞬にして利音の目の前へ詰め寄る。
「利音さん!!」
右腕を利音に伸ばしたその直後だった……
シャキンと鈍い音を立てて血が吹き出し、そして、風楽の右手がボトリと落ちた。
「………っ!?」
舞い散る血の向こうに見える利音の鋭い目付き。
彼のその手には鬼神が作ったと言う小刀が握られていた。
「なっ………!?」
四人掛かりでも苦戦していたあの大天狗を利音は一人で深手を負わせた。
「風楽様!!」
烏天狗が風楽を助けようと背後から利音に襲い掛かる。
「風ノ刃」
するとそこに真尋が加勢して烏天狗を押さえる。
そして利音と背中合わせになるように立つ。
「後ろは俺に任せて下さい!!」
「……それめちゃくちゃ不安なんだけど」
真尋に背中を預けるなんて自殺行為に等しいと言われ、そんなこと無いと反論する。
一方風楽は両腕からドバドバと血を流しているが、それでも倒れる様子はない。
利音に手首を斬られた事で激昂し、妖気が一層大きく、濃くなる。
「小僧共めが!!
この風楽に傷を負わせたこと、後悔させてやるわっ!!」
「風楽様!!」
怒り心頭の風楽だが、血が止まらず烏天狗達はこのままではマズいと、ここは撤退すべきだと考えるが、風楽は全く退くつもりが無いようだ。
そんな最中に遠くから何やら気配を感じた。
妖ではない、人の霊力が多数感じられる。
こちらへ近付いてくる人達の中の数人を見て、利音は眉を顰めた。
「………真尋、ここから逃げるよ」
「は?」
この状況で何を言っているのか?
しかし利音はこう続ける。
「あれ多分天明道の連中だよ」
「え?」
「ネコ、緋葉!!」
利音はネコを呼び背中に乗ると、力を使い果たした緋葉もネコの背に乗せ、状況をイマイチ理解していない真尋と共に逃げるようにここから飛び去った。
しかしネコに噛まれた左腕は流石に使い物にならなくなったようで、ダラリと垂れ、血が滴り落ちる。
その大天狗、風楽に利音は畳み掛けるように術を繰り出す。
「百鬼絶破」
大きな障壁が大天狗を襲う。
「舐めるなよ小僧!!」
そう言って風楽は右手だけでその障壁を受け止め、利音の術を消し去った。
そして一瞬にして利音の目の前へ詰め寄る。
「利音さん!!」
右腕を利音に伸ばしたその直後だった……
シャキンと鈍い音を立てて血が吹き出し、そして、風楽の右手がボトリと落ちた。
「………っ!?」
舞い散る血の向こうに見える利音の鋭い目付き。
彼のその手には鬼神が作ったと言う小刀が握られていた。
「なっ………!?」
四人掛かりでも苦戦していたあの大天狗を利音は一人で深手を負わせた。
「風楽様!!」
烏天狗が風楽を助けようと背後から利音に襲い掛かる。
「風ノ刃」
するとそこに真尋が加勢して烏天狗を押さえる。
そして利音と背中合わせになるように立つ。
「後ろは俺に任せて下さい!!」
「……それめちゃくちゃ不安なんだけど」
真尋に背中を預けるなんて自殺行為に等しいと言われ、そんなこと無いと反論する。
一方風楽は両腕からドバドバと血を流しているが、それでも倒れる様子はない。
利音に手首を斬られた事で激昂し、妖気が一層大きく、濃くなる。
「小僧共めが!!
この風楽に傷を負わせたこと、後悔させてやるわっ!!」
「風楽様!!」
怒り心頭の風楽だが、血が止まらず烏天狗達はこのままではマズいと、ここは撤退すべきだと考えるが、風楽は全く退くつもりが無いようだ。
そんな最中に遠くから何やら気配を感じた。
妖ではない、人の霊力が多数感じられる。
こちらへ近付いてくる人達の中の数人を見て、利音は眉を顰めた。
「………真尋、ここから逃げるよ」
「は?」
この状況で何を言っているのか?
しかし利音はこう続ける。
「あれ多分天明道の連中だよ」
「え?」
「ネコ、緋葉!!」
利音はネコを呼び背中に乗ると、力を使い果たした緋葉もネコの背に乗せ、状況をイマイチ理解していない真尋と共に逃げるようにここから飛び去った。
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