天狗と骨董屋

吉良鳥一

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温泉旅行(下)

第一話

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 暫くゴロゴロした後、真尋は酔っ払った利音を置いてまた温泉に入りに言った。
 この時間は真尋の他に2人程いた。
 夜はまたライトアップなど昼間とは違ったロマンチックな風景に見惚れた。

 温泉に浸かりながら外を眺めていると、昼間よりも妖が活発になり、更に増えて景色がまるで妖のサファリパークのようだ。
 それでもダイダラボッチは人との共存を選んだのか、人を傷付けるような妖は排除しているのだと、昼間散策に行った時先程会った小鬼達に聞いていた。

 独特の生態系。
 人と妖が上手く共存しているように思う。
 温泉から上がり部屋に戻ると、いつの間にか食器などは片付けられており、布団が敷かれてその上に利音が既に寝ていた。

「利音さんもう寝るんですか?」

「寝る」

 折角の旅行なのに勿体無いと思うが仕方無い。
 秋人にまた夜の外の風景と自撮りした写真を送るとすぐに返信が来た。

『楽しんでいるようで何より。
素敵な写真をありがとう。
夜は湯冷めしないよう温かくして寝て下さいね』

 そう送られてきて、やっぱり利音ではなく秋人を誘えば良かったかなと今更ながら思う。
 秋人は仕事でこう言った旅館に泊まる事もあるようなので、わざわざ行かなくてもいいだろうと考えたが、来てみて思った。
 こう言うのは誰と行ったかだと。

 今までちゃんとお礼を言ってない。
 だから今度はちゃんと自分で稼いだお金で秋人を誘って、お礼をしたいと考える。  
 そう考えている間に真尋も眠くなり、布団に入って眠りについた。

 深い眠りについたと思ったが段々と寝苦しさに意識が浮上してくる。
 どうも身体の上に何か乗っているような息苦しさを感じる。
 寝苦しさで目が覚めて目を開けると、目の前に人の顔がどアップで映し出され、驚いて飛び起きると、誰かがイタッと尻餅をつく音がした。
 するとそこには着物を着た小さな子供がいた。
 髪が短いので男の子だろうか?

「あ、ごめ………
てか、え……誰………?」

 いきなり知らない子供が自分の上に乗って顔を覗き込んでいたことに少々パニックだ。
 しかしふと、最初に温泉に入った後の事を思い出した。 
 女性客がここの旅館は座敷わらしが出ると言う噂があると話していたのを立ち聞きしていた。

「座敷わらし……?」
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