天狗と骨董屋

吉良鳥一

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拾い物

第五話

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 それから利音は緋葉に仕事を教える。
 デジタルは全く無理だがアナログで数字を扱う事や、力があるのと長身なので品を運んだりする事にはとても長けていた。
 パソコンなど扱えないのと接客以外は真尋より使えるかもしれない。

「あ~疲れた、休憩………」

 事務作業に疲れた真尋は早々にお茶を淹れにキッチンへ行く。
 彼は最近だと仕事に飽きるとすぐに休憩に入るようになった。
 これが他のバイトならばクビであろう。
 その点一切文句も愚痴も言わない緋葉は良い。

「緋葉もお茶する?」

「いえ、まだ仕事が残っている故………」

 緋葉は真尋とは違い、真面目だ。

「真尋君さぁ、そんなんじゃ就職してもすぐクビよ?」

 利音がそう言う。

「じゃあ大学卒業したらここに正社員として雇って下さい」

 そう呑気にお願いしてくるので、利音は絶対嫌だと拒否した。
 全く、ここをなんだと思っているのか……
 段々と遠慮が無くなってきた真尋を嘆く。
 
 仕事が一段落した緋葉がお茶を啜る真尋の前に座った。

「時に真尋殿……」

「何?」

「いえ、その………」

 何やら緋葉は真尋に聞きたそうな事があるらしいが、やはり何でもないですと聞くのを止めてしまう。
 だが聞いておいて黙られるのもモヤモヤするのでもう一度質問を聞く。

「……では失礼して、真尋殿は混血でいらっしゃるようだが、その血は天狗か?」

 どうやら緋葉は真尋が天狗の血が入っているのかと聞きたかったらしい。
 まぁ、同じ種族の妖なので気になるのも分かる。

「うん、まあね」

 利音からあまり自分の事を他人にペラペラ喋るなと言われているので混血であると言うことだけを肯定した。
 すると緋葉はやはりそうかと納得するのと、驚きの感情を含んだ反応も示した。
 真尋はその驚きの反応が少し気になったので、そんなに驚くことかと聞く。

「真尋殿は天狗をどの程度知っていらっしゃるかは存じませぬが、天狗、特に大天狗の方々は自尊心が高く己の血に誇りを持ってる故、人と交わることを極端に嫌う。
それ故に天狗との混血は少ない」

「そう、なの……?」

 妖との混血は元々少ないが、天狗との混血となると余計に珍しい。
 

 
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