104 / 169
報酬
第一話
しおりを挟む
件の事件が解決し、後始末も終えた栗郷は約束の報酬を頂きに宗像骨董店へやって来た。
店の前に立っていると中から真尋が気付いてすぐに出迎えた。
「いらっしゃい。
利音さん今蔵にいるんですよ。
早速ですけど一緒に来てくれます?」
「ああ……さっさと済ませたい」
真尋は裏庭にある蔵へ栗郷を連れていった。
そこにある蔵はとても立派な物だ。
利音は中で何やらごそごそと作業している。
「利音さん、栗郷さん来ましたよ」
「ん~……」
利音は栗郷が来たと分かるとこっち来てと彼を呼び寄せる。
恐る恐る中に入る栗郷。
蔵の中は色んな気配が入り交じっており、正直気味が悪い。
「はいコレ」
そう言って出された一振の刀。
妖気を纏う黒光りするその刀は正しく妖刀と呼ぶに相応しい。
栗郷はその刀を手に取ると、その刀は精神を乗っ取ろうとするかのように身体の奥底に刀の気が潜り込んでくる。
精神の奥の暗い場所に独り置かれた栗郷の前に現れた般若の面を付けた鬼神。
『旨そうだ……
我が喰ってやろう……』
手を伸ばしてくる鬼神だが、それに動じることは無い。
「鬼神よ、俺の物になれ。
そうすれば喰うより面白いものを見せてやる」
そう言うと鬼神はクツクツと笑い、良かろうと言葉を残し消る。
目を覚ますように栗郷は目を開くとその刀は彼を認めるように手に馴染んだ。
「交渉成立かな?」
うっすらと笑みを浮かべた栗郷を見て利音がそう言った。
「ああ、報酬はこれでいい」
これで無事取り引きを終えた。
しかし改めて蔵の中を見ると掛け軸やら人形やら古めかしい物がずらりと並べられており、しかもそれらは皆意思がある。
「よくもまぁこれだけ集められたよな」
「あ、栗郷さん興味あるなら他に何か持って行きます?」
他の品を見ていたら真尋がそんな提案をしてきた。
「ちょっと、何勝手なこと言ってんの?」
すると利音が慌ててそれを止める。
「だって流石に増えすぎでしょ。
貰ってくれるならその方がいいじゃないですか」
最近コレクションが増え置き場に困っており、利音が倉庫を増やそうかななんて言い出したのでそれは何とか止めたかった。
「ここは俺の家なんだから君が口出しする権利は無い!!」
「権利は無くともゴミ屋敷になるのを止める責任はあります!!」
これ以上庭を圧迫したくない。
折角綺麗な庭なのに倉庫を作るなんて勿体ない。
「あのさ、ケンカなら俺が帰った後にしてくんね?
つーか俺は刀だけでいい」
栗郷が口を挟み言い合いは取り敢えず収まった。
店の前に立っていると中から真尋が気付いてすぐに出迎えた。
「いらっしゃい。
利音さん今蔵にいるんですよ。
早速ですけど一緒に来てくれます?」
「ああ……さっさと済ませたい」
真尋は裏庭にある蔵へ栗郷を連れていった。
そこにある蔵はとても立派な物だ。
利音は中で何やらごそごそと作業している。
「利音さん、栗郷さん来ましたよ」
「ん~……」
利音は栗郷が来たと分かるとこっち来てと彼を呼び寄せる。
恐る恐る中に入る栗郷。
蔵の中は色んな気配が入り交じっており、正直気味が悪い。
「はいコレ」
そう言って出された一振の刀。
妖気を纏う黒光りするその刀は正しく妖刀と呼ぶに相応しい。
栗郷はその刀を手に取ると、その刀は精神を乗っ取ろうとするかのように身体の奥底に刀の気が潜り込んでくる。
精神の奥の暗い場所に独り置かれた栗郷の前に現れた般若の面を付けた鬼神。
『旨そうだ……
我が喰ってやろう……』
手を伸ばしてくる鬼神だが、それに動じることは無い。
「鬼神よ、俺の物になれ。
そうすれば喰うより面白いものを見せてやる」
そう言うと鬼神はクツクツと笑い、良かろうと言葉を残し消る。
目を覚ますように栗郷は目を開くとその刀は彼を認めるように手に馴染んだ。
「交渉成立かな?」
うっすらと笑みを浮かべた栗郷を見て利音がそう言った。
「ああ、報酬はこれでいい」
これで無事取り引きを終えた。
しかし改めて蔵の中を見ると掛け軸やら人形やら古めかしい物がずらりと並べられており、しかもそれらは皆意思がある。
「よくもまぁこれだけ集められたよな」
「あ、栗郷さん興味あるなら他に何か持って行きます?」
他の品を見ていたら真尋がそんな提案をしてきた。
「ちょっと、何勝手なこと言ってんの?」
すると利音が慌ててそれを止める。
「だって流石に増えすぎでしょ。
貰ってくれるならその方がいいじゃないですか」
最近コレクションが増え置き場に困っており、利音が倉庫を増やそうかななんて言い出したのでそれは何とか止めたかった。
「ここは俺の家なんだから君が口出しする権利は無い!!」
「権利は無くともゴミ屋敷になるのを止める責任はあります!!」
これ以上庭を圧迫したくない。
折角綺麗な庭なのに倉庫を作るなんて勿体ない。
「あのさ、ケンカなら俺が帰った後にしてくんね?
つーか俺は刀だけでいい」
栗郷が口を挟み言い合いは取り敢えず収まった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

オレは視えてるだけですが⁉~訳ありバーテンダーは霊感パティシエを飼い慣らしたい
凍星
キャラ文芸
幽霊が視えてしまうパティシエ、葉室尊。できるだけ周りに迷惑をかけずに静かに生きていきたい……そんな風に思っていたのに⁉ バーテンダーの霊能者、久我蒼真に出逢ったことで、どういう訳か、霊能力のある人達に色々絡まれる日常に突入⁉「オレは視えてるだけだって言ってるのに、なんでこうなるの??」霊感のある主人公と、彼の秘密を暴きたい男の駆け引きと絆を描きます。BL要素あり。
アイドル⇔スパイ
AQUA☆STAR
キャラ文芸
【現在、更新停止中】
アイドルとスパイの日常が入れ替わる⁉︎
ソロアイドルとして人気絶好調の凛花(天然、超幸運体質)、表は普通の女子高校生『白波瀬凛花』として生活していた彼女は、校内で『自分と瓜二つの人間が現れる』という都市伝説を耳にする。
その日、いつもの様に学校から自宅へと帰宅していたリンカは、黒ずくめの怪しい男たちに襲われる。そんな彼女を助けたのは、自分と瓜二つの顔をするカリンと名乗る少女だった。
「私は通りすがりのスパイよ」
アイドルに憧れる凄腕スパイ。
非日常に刺激を求める天然アイドル。
混ぜるな危険。二人の少女による華麗な輪舞曲、『アイドル』と『スパイ』略して『アイスパ』ここに開演。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる