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河童の手のミイラ(下)
第三話
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半妖のようだがと栗郷の母親に言われた真尋。
「いや俺ただの人間ですけど」
「お前また同じこと言ってんのかよ。
ただの人間がこんな妖気を纏わせてるワケねぇだろ」
大学で自分は人間だと言っていたのを栗郷は覚えている。
分かる人が見れば人と妖が混じっている事は明らかである。
しかし何人か半妖を知っているが何かが異なる。
上手くは言えないが、どうも彼は気配があやふやである。
「いやいやだって妖なのは高祖父だし半妖なのは曾祖父で俺は__」
「真尋!!」
喋っていた真尋を遮るように利音が彼の名前を呼ぶ。
「あんまベラベラ他人に余計な事喋らない」
ただでさえ真尋は隔世遺伝で能力を得た異例の存在。
しかも彼らは天明道に所属している一族なのに、プライバシーを話すなど危機感が無いと憤る。
ピリピリと張り詰めたこの重たい空気。
少しの間、沈黙が続いた。
この気まずい雰囲気を破ったのはロイだった。
「それはそうと志織ちゃん」
「なんだ?」
志織とは栗郷の母の名前だ。
「君社務所いたんじゃないの?」
「ああそうだ。
いつの間にかお前の姿も無いし、蓮も何処行ったのか探してたんだ。
こっちは仕事で忙しいと言うのにお前たちは………」
「OK,OK、ボクが行くよ」
母、志織はこの神社の宮司だ。
ロイに雑用をさせていたが、いつの間にかいなくなっていたので探していた。
「悪いけど俺は一応宗像の呪いをどうにかしねぇと。
だからさ、狐貸してくんね?」
「はぁ……好きにしろ」
志織は仕方無いとロイを連れて社務所へ戻った。
そして栗郷ははぁ~っと大きな溜め息を一つついて、行くかと立ち上がる。
二人も彼に続いて立ち上がり、一行は外に出る。
すると真尋が栗郷にこんなことを言う。
「そうだ、神社お参りしてきてもいいですか?
上手く行きますようにって」
神様にお願いすればもしかしたら力を貸してくれるのではと言う考えだ。
だが二人は気が進まないと言った様子だ。
「いや俺ただの人間ですけど」
「お前また同じこと言ってんのかよ。
ただの人間がこんな妖気を纏わせてるワケねぇだろ」
大学で自分は人間だと言っていたのを栗郷は覚えている。
分かる人が見れば人と妖が混じっている事は明らかである。
しかし何人か半妖を知っているが何かが異なる。
上手くは言えないが、どうも彼は気配があやふやである。
「いやいやだって妖なのは高祖父だし半妖なのは曾祖父で俺は__」
「真尋!!」
喋っていた真尋を遮るように利音が彼の名前を呼ぶ。
「あんまベラベラ他人に余計な事喋らない」
ただでさえ真尋は隔世遺伝で能力を得た異例の存在。
しかも彼らは天明道に所属している一族なのに、プライバシーを話すなど危機感が無いと憤る。
ピリピリと張り詰めたこの重たい空気。
少しの間、沈黙が続いた。
この気まずい雰囲気を破ったのはロイだった。
「それはそうと志織ちゃん」
「なんだ?」
志織とは栗郷の母の名前だ。
「君社務所いたんじゃないの?」
「ああそうだ。
いつの間にかお前の姿も無いし、蓮も何処行ったのか探してたんだ。
こっちは仕事で忙しいと言うのにお前たちは………」
「OK,OK、ボクが行くよ」
母、志織はこの神社の宮司だ。
ロイに雑用をさせていたが、いつの間にかいなくなっていたので探していた。
「悪いけど俺は一応宗像の呪いをどうにかしねぇと。
だからさ、狐貸してくんね?」
「はぁ……好きにしろ」
志織は仕方無いとロイを連れて社務所へ戻った。
そして栗郷ははぁ~っと大きな溜め息を一つついて、行くかと立ち上がる。
二人も彼に続いて立ち上がり、一行は外に出る。
すると真尋が栗郷にこんなことを言う。
「そうだ、神社お参りしてきてもいいですか?
上手く行きますようにって」
神様にお願いすればもしかしたら力を貸してくれるのではと言う考えだ。
だが二人は気が進まないと言った様子だ。
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