84 / 169
河童の手のミイラ(上)
第十一話
しおりを挟む
友人がいるいない論争なんてバカバカしいと利音は一蹴した。
「その割りにバカにしたような目してやがったが?」
栗郷が言う。
「だって、パパに指摘されて顔を真っ赤にして恥ずかしがる君が面白いから」
「………」
あのプライドの高そうな栗郷が恥ずかしがる姿は見ていて気分が良いと意地の悪い事を言って彼を煽る。
反対に眉間に皺を寄せて腹を立てる栗郷。
この二人を見て真尋は仲がいいのか悪いのか分からないと心の中で呟く。
「ホラホラ何してるの?
早く入って」
中々家に入らない彼らに栗郷の父が促す。
「あ、お邪魔します」
促され先に家に入った真尋に二人も続く。
中は外観に違わず古い和風の造りだ。
栗郷の父が外国人なのでもっと洋風なのかと真尋は思ったらそうではなくて少し驚いた。
和室の客室に通された二人は中央にあるテーブルの前の座布団に並んで座り、栗郷は彼らの前の席に胡座をかく。
「んで、早速だがその腕見せてみろ」
上から目線に言う彼に腹が立ちながらも腕を見せる。
ぱっと見、何も無いように見える。
しかし視える者から見たら異常なのは明らかだ。
彼の腕からは黒いモヤのような物を醸し出している。
「………これは何だ?
蠱毒……いや違うか……
何か動物か妖を使ってるな。
そう言や大蝦蟇に追い掛けられてるっつったな。
で、誰かが遠くで操ってる?」
「さあね。
でも俺を狙ってたとは思う」
それが誰なのか見当もつかない。
そしてこの呪いの解き方も分からない。
「ま、何にせよこの呪いは多分その大蝦蟇の血を使ってんだろうよ。
呪術でよく使われている手段だな」
血と言うのは穢れだ。
呪いはその穢れが強い程より力を発揮する。
そして妖の血となると、強い妖程より強力な呪いとなるので、恐らくこの呪詛は同業者によるものだろうと予想する。
「兎に角術者を見つけ出すのが先決だろう。
その為にはこの呪詛の元を辿らなければならない」
呪詛の元を辿るには血の持ち主の大蝦蟇を介さなければならない。
「そして術者は必ず近くにいるだろうな」
栗郷はそう断言する。
利音が見たと言う怪しい人物。
ならば利音が死ぬのを見届ける筈であると判断した。
「その割りにバカにしたような目してやがったが?」
栗郷が言う。
「だって、パパに指摘されて顔を真っ赤にして恥ずかしがる君が面白いから」
「………」
あのプライドの高そうな栗郷が恥ずかしがる姿は見ていて気分が良いと意地の悪い事を言って彼を煽る。
反対に眉間に皺を寄せて腹を立てる栗郷。
この二人を見て真尋は仲がいいのか悪いのか分からないと心の中で呟く。
「ホラホラ何してるの?
早く入って」
中々家に入らない彼らに栗郷の父が促す。
「あ、お邪魔します」
促され先に家に入った真尋に二人も続く。
中は外観に違わず古い和風の造りだ。
栗郷の父が外国人なのでもっと洋風なのかと真尋は思ったらそうではなくて少し驚いた。
和室の客室に通された二人は中央にあるテーブルの前の座布団に並んで座り、栗郷は彼らの前の席に胡座をかく。
「んで、早速だがその腕見せてみろ」
上から目線に言う彼に腹が立ちながらも腕を見せる。
ぱっと見、何も無いように見える。
しかし視える者から見たら異常なのは明らかだ。
彼の腕からは黒いモヤのような物を醸し出している。
「………これは何だ?
蠱毒……いや違うか……
何か動物か妖を使ってるな。
そう言や大蝦蟇に追い掛けられてるっつったな。
で、誰かが遠くで操ってる?」
「さあね。
でも俺を狙ってたとは思う」
それが誰なのか見当もつかない。
そしてこの呪いの解き方も分からない。
「ま、何にせよこの呪いは多分その大蝦蟇の血を使ってんだろうよ。
呪術でよく使われている手段だな」
血と言うのは穢れだ。
呪いはその穢れが強い程より力を発揮する。
そして妖の血となると、強い妖程より強力な呪いとなるので、恐らくこの呪詛は同業者によるものだろうと予想する。
「兎に角術者を見つけ出すのが先決だろう。
その為にはこの呪詛の元を辿らなければならない」
呪詛の元を辿るには血の持ち主の大蝦蟇を介さなければならない。
「そして術者は必ず近くにいるだろうな」
栗郷はそう断言する。
利音が見たと言う怪しい人物。
ならば利音が死ぬのを見届ける筈であると判断した。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
月下のヴェアヴォルフ
幽零
キャラ文芸
先の大戦で活躍した、超人部隊。
その英雄達も平和な時代の到来で、用済みになった。
平和な時代が到来した某国「アトラ」では、政府関係者達が次々殺害される事件が発生していた。
英雄は、影の執行者へ……
イラスト 十六夜 様
MIDNIGHT
邦幸恵紀
キャラ文芸
【現代ファンタジー/外面のいい会社員×ツンデレ一見美少年/友人以上恋人未満】
「真夜中にはあまり出歩かないほうがいい」。
三月のある深夜、会社員・鬼頭和臣は、黒ずくめの美少年・霧河雅美にそう忠告される。
未成年に説教される筋合いはないと鬼頭は反発するが、その出会いが、その後の彼の人生を大きく変えてしまうのだった。
◆「第6回キャラ文芸大賞」で奨励賞をいただきました。ありがとうございました。
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。

ぼくらのおいなりさん
維社頭 影浪
キャラ文芸
ーーーとある稲荷神社を巡る、ものがたり。
その稲荷神社には、さまざまな人がやってきた。
近所の子どもから、旅行のついでに立ち寄る他県の人……そして、時に『狐憑き』に悩む人が訪れる。
そんな人々を、必ず一人の若い神主が出迎える。
これは前世から縁があるイケメン神主と狐が、人々の心を解きほぐす優しい物語。
ーーーーーー
第8回キャラ文芸大賞 参加します!
コメントは励みになります!
面白ければ、応援よろしくお願いします。
和菓子屋たぬきつね
ゆきかさね
キャラ文芸
1期 少女と白狐の悪魔が和菓子屋で働く話です。 2018年4月に完結しました。
2期 死んだ女と禿鷲の悪魔の話です。 2018年10月に完結しました。
3期 妻を亡くした男性と二匹の猫の話です。 2022年6月に完結しました。
4期 魔女と口の悪い悪魔の話です。 連載中です。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる