天狗と骨董屋

吉良鳥一

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河童の手のミイラ(上)

第九話

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 利音が受けた呪詛を取り祓うのを手伝おうかと言う栗郷は勝ち誇ったような顔に対して、利音は心底嫌そうな顔をする。

「必要ない。
自分でどうにかする」

「ほう……大蝦蟇に追われてる身でどうにかなると?
呪いは俺の専門分野だぜ?」

 そう、栗郷の家系は呪術に詳しい。
 だからこそのこの勝ち誇った顔で、人に恩を売る事を嫌う利音は彼と関わるのを嫌がったのだ。

 しかしながら彼の呪術に対する知識は確かなのは一緒に仕事をしたことのある利音はよく知っていた。
 なのでここで断る事は賢明とは言えず、更に真尋が呪術に詳しいと聞いて後押ししてくるのでもう逃げられなくなり、彼の家に着いていく事になった。

 そして着いた先は………

「え、ここって……」

 彼らの目の前には立派な鳥居が聳え立っている。

「ウチは神社なんだよ。
だから半端な魔物は入れない」

 神社には清い空間が広がっているので、陰の存在は入れない。

「それ、この子大丈夫なワケ?」

 すると利音が真尋を指差してそう聞いた。
    
 妖の血が入った真尋はこの清い空間に果たして耐えられるのか………

「ま、大丈夫だろ。
居心地はあんま良く無いだろうが、一応コイツからは邪気は感じられねぇからな」

 妖は入れないとは言ってもここは人成らざるものも存在するので、邪な妖気を持っていなければ存在は出来る。

 神社に入っていく二人の後ろを意を決して着いていく。
 一歩鳥居の向こうに足を踏み入れると、身体中ゾワッと鳥肌が立つような感じがしたが、体調が悪くなることは無さそうだった。

 だけどどうも居心地が良くない。 
 身体を縛られているような圧迫感がある。

「大丈夫?」

「はい……」

 真尋に気遣う言葉を掛ける利音。
 多少なりとも影響を受けているようだが、取り敢えず彼の身体を傷付ける事は無さそうだと判断した彼は一安心した。

 そのまま栗郷に着いていくと、本殿の方とは全く違う方向に進んでいく。
 神社なので一応参拝したいと思う真尋の思いとは裏腹に、だいぶ離れた裏の方にやって来た。

 するとそこには一軒の家が現れる。

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