天狗と骨董屋

河童の手のミイラ(上)

第六話

　何とか大蝦蟇を撒いた二人。
　すると利音の左腕の痛みは治まっていた。

｢やっぱ原因あれか……｣

｢あれって大蝦蟇ですか？
どう言う事ですか？｣

　左腕が突然激痛に襲われたのは大蝦蟇が原因だと言う。

｢あの大蝦蟇、左手が無かった。
多分それが起因してるんだと思うけど……｣

　左手が無かった大蝦蟇。
　それが何かしら関係があるのだと思うが、どう言った関係があるのかがまだ分からない。
　それが分かればこの呪いの全容も分かるのだろうが、一体これからどうするのか……

　それに大蝦蟇もきっとまた追ってくる。
　そうなればまた左腕の痛みで戦うことすら困難だ。

｢参ったな……｣

　隣で聞いていた真尋はポツリとじゃあとこんな提案をしてきた。

｢取り敢えず秋人さんに来て貰おうと思うんですけど｣

｢秋人さんに？｣

｢そう、だって利音さん役に立たないですし、他に頼れる人いないですもん｣

　役に立たない……
　それを真尋に言われる屈辱ったらありゃしない。

　そんな心情を他所に真尋はスマホを取り出して秋人に電話を掛け始めた。

｢もしもし秋人さん今大丈夫？｣

　真尋は現状を話し、助けを求めるが秋人の声色は渋いものだった。

｢今沖縄の石垣島にいるんだよ｣

｢石垣島!?｣

　何故そんな遠い島にいるのかと聞くと仕事だと言う。
　天明道の依頼で竜樹と他の祓い屋とやって来ていて、依頼を済ませ帰るまでに数日掛かるかもしれないとの事だった。

｢ダメです。こっち来れそうに無いっぽい……｣

　シュンと凹む真尋に利音はもういいと歩き出した。

｢ちょっと何処行くんですか？｣

｢ここにいたらまた見つかる。
取り敢えず今は逃げながら考える｣

｢ああ、そっか……｣

　あの感じでは大蝦蟇は何処までも利音を追って来るだろう。
　今は見つからないようにしながら対策を考えるしかないとまた大型化したネコに跨がり、真尋と共に移動する。