78 / 169
河童の手のミイラ(上)
第五話
しおりを挟む
低い唸り声を上げる巨大なそれの姿が顕になる。
茶色い巨体のその形は蛙のように見える。
「大蝦蟇か……?」
利音がそう呟く。
まだ左腕の激しい痛みが治まらないようで冷や汗をかき、息遣いも荒い。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫なように見える?」
正直この状態で戦うのは厳しい。
この蛙の妖、大蝦蟇はかなり強力な妖気を放っている。
真尋だけでは祓えるとは思えない。
すると大蝦蟇は狙いを利音に定め、勢いよくジャンプする。
「利音さん!!」
利音の真上に飛び上がる大蝦蟇にすぐさまネコが飛びかかり、利音のすぐ横に二匹とも叩き落される。
しかし傷を負って崩れるネコに対し、大蝦蟇は無傷だ。
そして再び利音に狙いを定める。
「焼き払え、炎舞」
真尋が錫杖でタンッと地面を付くと炎が渦を巻き大蝦蟇を攻撃する。
だが大蝦蟇は口から思いっきり水を吐き出し、真尋の炎は鎮火してしまう。
「あっ……」
「君バカなの?
どう考えたってあれ水属性でしょ!!」
「煩いですね。
立つことすら出来ない役立たずの癖に!!」
痛みで身動き出来ない利音に悪態を付く。
しかしこの大蝦蟇、左手が無い。
それに大蝦蟇が近づいてきてから利音は左腕が強い痛みに襲われた。
なにか関連性があるのだろうかと、真尋とネコが応戦している間に辺りを見渡した。
すると遠くのビルの屋上に人影が見える。
その人影の周りには何か禍々しい気配を感じた。
「あそこかっ!!ネコ来い!」
利音はネコを呼ぶとその巨大化した背に乗る。
「真尋、お前もここから離れろ!!」
「え?」
「そいつと戦うなって言ってんの。
あそこに誰かいる。
そいつがあれを操っている可能性がある。」
利音の指差す方にはたしかに誰かいる。
「じゃあそいつをとっ捕まえ__」
「いや、今は逃げる。
そいつがどんな奴か分からないのにこの状況じゃリスクが高い」
利音が動けない以上、兎に角今は大蝦蟇から逃げるしかなさそうだ。
そして利音の合図で真尋は羽扇で大蝦蟇に攻撃を仕掛け、それに対処している隙きに飛び立ち、ネコに乗った利音と逃げる。
だが大蝦蟇はすぐに追ってくる。
幸い、飛行するこちらよりもスピードは遅いので、飛んだまま攻撃を仕掛けて大蝦蟇を足止めしながら逃げた。
茶色い巨体のその形は蛙のように見える。
「大蝦蟇か……?」
利音がそう呟く。
まだ左腕の激しい痛みが治まらないようで冷や汗をかき、息遣いも荒い。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫なように見える?」
正直この状態で戦うのは厳しい。
この蛙の妖、大蝦蟇はかなり強力な妖気を放っている。
真尋だけでは祓えるとは思えない。
すると大蝦蟇は狙いを利音に定め、勢いよくジャンプする。
「利音さん!!」
利音の真上に飛び上がる大蝦蟇にすぐさまネコが飛びかかり、利音のすぐ横に二匹とも叩き落される。
しかし傷を負って崩れるネコに対し、大蝦蟇は無傷だ。
そして再び利音に狙いを定める。
「焼き払え、炎舞」
真尋が錫杖でタンッと地面を付くと炎が渦を巻き大蝦蟇を攻撃する。
だが大蝦蟇は口から思いっきり水を吐き出し、真尋の炎は鎮火してしまう。
「あっ……」
「君バカなの?
どう考えたってあれ水属性でしょ!!」
「煩いですね。
立つことすら出来ない役立たずの癖に!!」
痛みで身動き出来ない利音に悪態を付く。
しかしこの大蝦蟇、左手が無い。
それに大蝦蟇が近づいてきてから利音は左腕が強い痛みに襲われた。
なにか関連性があるのだろうかと、真尋とネコが応戦している間に辺りを見渡した。
すると遠くのビルの屋上に人影が見える。
その人影の周りには何か禍々しい気配を感じた。
「あそこかっ!!ネコ来い!」
利音はネコを呼ぶとその巨大化した背に乗る。
「真尋、お前もここから離れろ!!」
「え?」
「そいつと戦うなって言ってんの。
あそこに誰かいる。
そいつがあれを操っている可能性がある。」
利音の指差す方にはたしかに誰かいる。
「じゃあそいつをとっ捕まえ__」
「いや、今は逃げる。
そいつがどんな奴か分からないのにこの状況じゃリスクが高い」
利音が動けない以上、兎に角今は大蝦蟇から逃げるしかなさそうだ。
そして利音の合図で真尋は羽扇で大蝦蟇に攻撃を仕掛け、それに対処している隙きに飛び立ち、ネコに乗った利音と逃げる。
だが大蝦蟇はすぐに追ってくる。
幸い、飛行するこちらよりもスピードは遅いので、飛んだまま攻撃を仕掛けて大蝦蟇を足止めしながら逃げた。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
高校からの帰り道、錬金術が使えるようになりました。
マーチ・メイ
ファンタジー
女子校に通う高校2年生の橘優奈は学校からの帰り道、突然『【職業】錬金術師になりました』と声が聞こえた。
空耳かと思い家に入り試しにステータスオープンと唱えるとステータスが表示された。
しばらく高校生活を楽しみつつ家で錬金術を試してみることに 。
すると今度はダンジョンが出現して知らない外国の人の名前が称号欄に現れた。
緩やかに日常に溶け込んでいく黎明期メインのダンジョン物です。
小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
どうやら私は二十歳で死んでしまうようです
ごろごろみかん。
キャラ文芸
高二の春。
皆本葉月はある日、妙な生き物と出会う。
「僕は花の妖精、フラワーフープなんだもん。きみが目覚めるのをずっと待っていたんだもん!」
変な語尾をつけて話すのは、ショッキングピンクのうさぎのぬいぐるみ。
「なんだこいつ……」
葉月は、夢だと思ったが、どうやら夢ではないらしい。
ぬいぐるみ──フラワーフープはさらに言葉を続ける。
「きみは20歳で死んじゃうんだもん。あまりにも不憫で可哀想だから、僕が助けてあげるんだもん!」
これは、寂しいと素直に言えない女子高生と、その寂しさに寄り添った友達のお話。
短い怖い話 (怖い話、ホラー、短編集)
本野汐梨 Honno Siori
ホラー
あなたの身近にも訪れるかもしれない恐怖を集めました。
全て一話完結ですのでどこから読んでもらっても構いません。
短くて詳しい概要がよくわからないと思われるかもしれません。しかし、その分、なぜ本文の様な恐怖の事象が起こったのか、あなた自身で考えてみてください。
たくさんの短いお話の中から、是非お気に入りの恐怖を見つけてください。
100000累計pt突破!アルファポリスの収益 確定スコア 見込みスコアについて
ちゃぼ茶
エッセイ・ノンフィクション
皆様が気になる(ちゃぼ茶も)収益や確定スコア、見込みスコアについてわかる範囲、推測や経験談も含めて記してみました。参考になれればと思います。
【書籍化進行中】魔法のトランクと異世界暮らし
猫野美羽
ファンタジー
※書籍化進行中です。
曾祖母の遺産を相続した海堂凛々(かいどうりり)は原因不明の虚弱体質に苦しめられていることもあり、しばらくは遺産として譲り受けた別荘で療養することに。
おとぎ話に出てくる魔女の家のような可愛らしい洋館で、凛々は曾祖母からの秘密の遺産を受け取った。
それは異世界への扉の鍵と魔法のトランク。
異世界の住人だった曾祖母の血を濃く引いた彼女だけが、魔法の道具の相続人だった。
異世界、たまに日本暮らしの楽しい二拠点生活が始まる──
◆◆◆
ほのぼのスローライフなお話です。
のんびりと生活拠点を整えたり、美味しいご飯を食べたり、お金を稼いでみたり、異世界旅を楽しむ物語。
※カクヨムでも掲載予定です。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる