64 / 169
真尋の過去
第二話
しおりを挟む
「え……」
真っ赤に染まった地面を見てゾッとした。
一体何が起こったのか、母が答えた。
そこで聞かされたのは真尋は高さ凡そ10メートル上の崖から落ちたこと、そして急いで駆けつけ救急車を呼ぼうとしたところで、たった今真尋が起き上がった事を説明された。
頭を思いっきり打ったようだが、実際痛みは全く無い。
それどころか、傷口すら見当たらない。
念のため救急車を呼び病院で検査を受けたが、どこにも異常は見つからなかった。
病院でも不思議そうに、本当に落ちて怪我したのかと聞かれるくらいだったが、結果オーライならそれでいいと母と家に帰った。
だがこの日を境に真尋は異変を感じるようになっていた。
「うわっ!!」
「どうした真尋?」
「そこに何かいる」
6つ上の姉と5つ上の兄のいる末っ子の真尋。
子供部屋は二つあり、真尋は兄一緒に使用していたのだが、その部屋の隅の天井に何やら黒い塊がフワフワと浮いている不気味なものを見つけ指をさす。
「え、どこ?
何もいないよ」
「え?」
兄と姉、それと父、母に言っても何も無いと、まるで真尋だけが見えているようだった。
事故を境に見えないものが見えるようになった真尋。
流石に家族も気味悪がり、あまり関わろうとしなくなった。
ただ一人母だけは変わらず真尋の味方でいてくれたが、次第に父と険悪になっていった。
「お前のせいで家族の雰囲気が悪くなった」
兄にそんなことを言われ家に居づらくなり、休みの日は公園で一人居るようになった。
一人でいるときも化け物を見るようになり、その場から逃げようとしたときに真尋の背から翼が現れた。
その時は逃げるのに必死で、飛んでいることすら気付かなかったが、我に返って自分は一体どうしてしまったのかと怖かった。
そこでふと思い出した、親戚達が話していた天狗の話し。
自分の姿を見て本当だったのだと確信した。
そんな中である日の夕方、誰も居なくなる公園で時折泣くこともあったそんな時、ブランコに乗る真尋の頭上に誰かの気配がする。
真っ赤に染まった地面を見てゾッとした。
一体何が起こったのか、母が答えた。
そこで聞かされたのは真尋は高さ凡そ10メートル上の崖から落ちたこと、そして急いで駆けつけ救急車を呼ぼうとしたところで、たった今真尋が起き上がった事を説明された。
頭を思いっきり打ったようだが、実際痛みは全く無い。
それどころか、傷口すら見当たらない。
念のため救急車を呼び病院で検査を受けたが、どこにも異常は見つからなかった。
病院でも不思議そうに、本当に落ちて怪我したのかと聞かれるくらいだったが、結果オーライならそれでいいと母と家に帰った。
だがこの日を境に真尋は異変を感じるようになっていた。
「うわっ!!」
「どうした真尋?」
「そこに何かいる」
6つ上の姉と5つ上の兄のいる末っ子の真尋。
子供部屋は二つあり、真尋は兄一緒に使用していたのだが、その部屋の隅の天井に何やら黒い塊がフワフワと浮いている不気味なものを見つけ指をさす。
「え、どこ?
何もいないよ」
「え?」
兄と姉、それと父、母に言っても何も無いと、まるで真尋だけが見えているようだった。
事故を境に見えないものが見えるようになった真尋。
流石に家族も気味悪がり、あまり関わろうとしなくなった。
ただ一人母だけは変わらず真尋の味方でいてくれたが、次第に父と険悪になっていった。
「お前のせいで家族の雰囲気が悪くなった」
兄にそんなことを言われ家に居づらくなり、休みの日は公園で一人居るようになった。
一人でいるときも化け物を見るようになり、その場から逃げようとしたときに真尋の背から翼が現れた。
その時は逃げるのに必死で、飛んでいることすら気付かなかったが、我に返って自分は一体どうしてしまったのかと怖かった。
そこでふと思い出した、親戚達が話していた天狗の話し。
自分の姿を見て本当だったのだと確信した。
そんな中である日の夕方、誰も居なくなる公園で時折泣くこともあったそんな時、ブランコに乗る真尋の頭上に誰かの気配がする。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
MIDNIGHT
邦幸恵紀
キャラ文芸
【現代ファンタジー/外面のいい会社員×ツンデレ一見美少年/友人以上恋人未満】
「真夜中にはあまり出歩かないほうがいい」。
三月のある深夜、会社員・鬼頭和臣は、黒ずくめの美少年・霧河雅美にそう忠告される。
未成年に説教される筋合いはないと鬼頭は反発するが、その出会いが、その後の彼の人生を大きく変えてしまうのだった。
◆「第6回キャラ文芸大賞」で奨励賞をいただきました。ありがとうございました。
みちのく銀山温泉
沖田弥子
キャラ文芸
高校生の花野優香は山形の銀山温泉へやってきた。親戚の営む温泉宿「花湯屋」でお手伝いをしながら地元の高校へ通うため。ところが駅に現れた圭史郎に花湯屋へ連れて行ってもらうと、子鬼たちを発見。花野家当主の直系である優香は、あやかし使いの末裔であると聞かされる。さらに若女将を任されて、神使の圭史郎と共に花湯屋であやかしのお客様を迎えることになった。高校生若女将があやかしたちと出会い、成長する物語。◆後半に優香が前の彼氏について語るエピソードがありますが、私の実体験を交えています。◆第2回キャラ文芸大賞にて、大賞を受賞いたしました。応援ありがとうございました!
2019年7月11日、書籍化されました。
隣の家に住むイクメンの正体は龍神様でした~社無しの神とちびっ子神使候補たち
鳴澤うた
キャラ文芸
失恋にストーカー。
心身ともにボロボロになった姉崎菜緒は、とうとう道端で倒れるように寝てしまって……。
悪夢にうなされる菜緒を夢の中で救ってくれたのはなんとお隣のイクメン、藤村辰巳だった。
辰巳と辰巳が世話する子供たちとなんだかんだと交流を深めていくけれど、子供たちはどこか不可思議だ。
それもそのはず、人の姿をとっているけれど辰巳も子供たちも人じゃない。
社を持たない龍神様とこれから神使となるため勉強中の動物たちだったのだ!
食に対し、こだわりの強い辰巳に神使候補の子供たちや見守っている神様たちはご不満で、今の現状を打破しようと菜緒を仲間に入れようと画策していて……
神様と作る二十四節気ごはんを召し上がれ!
オレは視えてるだけですが⁉~訳ありバーテンダーは霊感パティシエを飼い慣らしたい
凍星
キャラ文芸
幽霊が視えてしまうパティシエ、葉室尊。できるだけ周りに迷惑をかけずに静かに生きていきたい……そんな風に思っていたのに⁉ バーテンダーの霊能者、久我蒼真に出逢ったことで、どういう訳か、霊能力のある人達に色々絡まれる日常に突入⁉「オレは視えてるだけだって言ってるのに、なんでこうなるの??」霊感のある主人公と、彼の秘密を暴きたい男の駆け引きと絆を描きます。BL要素あり。
おっ☆パラ
うらたきよひこ
キャラ文芸
こんなハーレム展開あり? これがおっさんパラダイスか!?
新米サラリーマンの佐藤一真がなぜかおじさんたちにモテまくる。大学教授やガテン系現場監督、エリートコンサル、老舗料理長、はたまた流浪のバーテンダーまで、個性派ぞろい。どこがそんなに“おじさん心”をくすぐるのか? その天賦の“モテ力”をご覧あれ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる