天狗と骨董屋

吉良鳥一

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片割れは傍らに在り(上)

第十一話

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 真尋を気遣うメッセージに返したのはスタンプ一つと言う、今時の若者。
  これもジェネレーションギャップと言う物か……

「あの人も仕事忙しい筈なのに長々送って来なくてもいいのにって思いますけどね」

 真尋の曽祖父を気遣っているのか愚痴を言っているのか分からない発言は利音は受け流した。

「仕事って何かしてるの?」

「ああ、はい。
えっと何だっけ……?
妖関連の、てん…て…ん…」

「天明道?」

「そう、それです!!
知ってるんですか?」

 天明道の言葉に利音の眉間に皺が寄った。

「そりゃ、この界隈に居れば知らないわけ無いでしょ。
君は知らないの?」

「ん~曽祖父に聞いたと思いますけど、普通に人の世界で生きていく予定だったので右から左へ~な感じです」

 ようは話を全然聞いていないだけだ。
 こうもマイペースだと曽祖父も大変だったろうなと利音はそちらに同情した。

「天明道は祓い屋のコミュニティみたいなもん。
他人とか名門一家とかともたまにランダムに仕事するから、横の繋がりは結構あるけど実際はあの人はどうだとか、あの家はどうだとか、互いを見張るために作られたとしか思えないね。
面倒な組織だよ」

 嫌悪感丸出しで語る利音はまるで以前そこにいたみたいだと感じる。

「その…天明道?にいたんですか?」

 すると利音は一瞬沈黙するが、ゆっくりとこう答えた。

「ナイショ」

 何故内緒にするのかよく分からないが言いたくないんだなと、なんとなく伝わってくる。

 二人が会話をしている間ネコは臭いを嗅いだり、時折キョロキョロと辺りを見渡したりして妖気を探っていた。
 しかし立ち止まっては首を傾げたり元の方向に戻ったりと、どうも上手く見つけられないでいる。

「なんかネコも無理そうですけど……」

「………」

 ネコの様子をじっと観察する利音はネコの前にしゃがむ。

「なんか、迷ってんのかな?」

「迷ってる?」

 利音曰くネコは妖気に反応しているが、それが高速で移動しているのか、或いは複数箇所に散らばっているかして目標が定まって無いのではと言う。
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