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片割れは傍らに在り(上)
第九話
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盗まれたぬいぐるみを探す為に寺を後にした真尋と利音。
しかしいくら防犯カメラに犯人が映っていたとしても、夜だし鮮明に映っている訳では無いので、追うのは中々難しい。
「利音さんどうするんですか?」
隣にいる利音に聞くが彼は何やらネコに話し掛けている。
因みにネコは寺にいる間は利音に霊体に変化し、守護霊のように憑いていた。
「何してるんですか?」
「ネコにぬいぐるみの妖気を覚え込ませてんの」
小瓶を手にしており、そこから妖気が漏れ出ている。
「その瓶は……」
「妖気を少しだけど閉じ込めて置ける奴」
妖気を少量だが入れられると言う一風変わった利音のコレクションの一つだ。
「ネコに妖気を追わせるって事ですか?
そんなこと出来るんですね」
「そ、意外と便利だよね犬神って。
ついでにバッグ持たせて俺は手ぶらでいいし」
そう言ってネコにハーネスに代えた腰バッグに小瓶をしまった。
完全にネコを使いッパシリにしている事に真尋は同情した。
「可哀想に……
いいように利用されて。
おいでおいで」
真尋は両手を広げておいでと呼ぶと、ネコは尻尾を振って真尋へ飛び込んだ。
「よしよーし、可愛いなお前は」
相変わらず動物好きな真尋にネコはよく懐いている。
本来犬神が人に懐くなどあまりない。
あくまでも妖だからだ。
残忍な方法で人に殺されたのだから人への怨念は深い筈なのだ。
利音だって隙を見せれば喰われると気を張っていると言うのに……
本人は頑なに認めないが妖同士、ネコには人への感情とは少し違う感情を抱いているのではと利音は考える。
それに真尋の妖力は大きい物を感じる。
ヒエラルキーでもネコは彼を上だと認識しているのだろう。
まぁ、寺でも言ったように真尋自身力を使いきれていないので、今の時点ではまだ弱い。
そう言えば彼はずっと人として育って、家族や親戚も天狗の力は受け継いでいないと言った。
では妖の知識や天狗の技は誰に習った?
しかしいくら防犯カメラに犯人が映っていたとしても、夜だし鮮明に映っている訳では無いので、追うのは中々難しい。
「利音さんどうするんですか?」
隣にいる利音に聞くが彼は何やらネコに話し掛けている。
因みにネコは寺にいる間は利音に霊体に変化し、守護霊のように憑いていた。
「何してるんですか?」
「ネコにぬいぐるみの妖気を覚え込ませてんの」
小瓶を手にしており、そこから妖気が漏れ出ている。
「その瓶は……」
「妖気を少しだけど閉じ込めて置ける奴」
妖気を少量だが入れられると言う一風変わった利音のコレクションの一つだ。
「ネコに妖気を追わせるって事ですか?
そんなこと出来るんですね」
「そ、意外と便利だよね犬神って。
ついでにバッグ持たせて俺は手ぶらでいいし」
そう言ってネコにハーネスに代えた腰バッグに小瓶をしまった。
完全にネコを使いッパシリにしている事に真尋は同情した。
「可哀想に……
いいように利用されて。
おいでおいで」
真尋は両手を広げておいでと呼ぶと、ネコは尻尾を振って真尋へ飛び込んだ。
「よしよーし、可愛いなお前は」
相変わらず動物好きな真尋にネコはよく懐いている。
本来犬神が人に懐くなどあまりない。
あくまでも妖だからだ。
残忍な方法で人に殺されたのだから人への怨念は深い筈なのだ。
利音だって隙を見せれば喰われると気を張っていると言うのに……
本人は頑なに認めないが妖同士、ネコには人への感情とは少し違う感情を抱いているのではと利音は考える。
それに真尋の妖力は大きい物を感じる。
ヒエラルキーでもネコは彼を上だと認識しているのだろう。
まぁ、寺でも言ったように真尋自身力を使いきれていないので、今の時点ではまだ弱い。
そう言えば彼はずっと人として育って、家族や親戚も天狗の力は受け継いでいないと言った。
では妖の知識や天狗の技は誰に習った?
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