12 / 169
呪いの笛
第四話
しおりを挟む
犬神。
それは餓死寸前の犬の首を切り落とし、作られた犬の怨霊。
犬神は術者の願いを成就させる事も出来るが、その残酷さ故に怨念は深く一歩間違 えればその呪いは術者に跳ね返り、代々一族を祟る。
それを犬神憑きと言い、一族は破滅へと追い込まれてしまうとても危険な術で、そうした生き物を用いた呪術を「蠱毒」や「蠱術」と呼ぶ。
「調伏したばっかなんだよね。
可愛いでしょ?」
「まぁ、確かに可愛いですけど……
大丈夫なんですかそれ?」
見た目は確かに可愛いワンコだ。
だが犬神を使役することは大きなリスクを伴うことは妖の知識に乏しい真尋も知っていたし、第一この犬神はただならぬ妖気を放っている。
「問題ない。
ちゃんと躾けたし、丁度欲しかったんだよね。
使える式が」
よしよしと撫でる利音に犬神は尻尾を振りよくなついているように見える。
その様子に真尋は目の前の怨霊など忘れてしまったかのように「なでなでいいなぁ、自分も触りたい」なんて呑気な事を考えていた。
そうした状況下で忘れられかけている黒いモヤの怨霊は利音の束縛術の綱を一本ぶちりと破る。
「そろそろヤバいな。
真尋、これもって先に行け。
俺は後から追いかける」
そう言って投げ渡された呪いの笛。
飛んで行く方が早いでしょと勝手な事を言われるが、正直拒否したい思いでいっぱいだ。
しかし目の前の怨霊は考える暇を与えてくれそうになく、笛を受け取った真尋に照準を変えた。
「マジか……」
利音に言われるがまま背中から漆黒の大きな翼を出現させ、羽ばたかせると羽を舞わせながら体を宙に浮かせる。
「へぇ………」
初めて見る真尋の妖の部分に興味深そうに利音は僅かに口角を上げた。
それは餓死寸前の犬の首を切り落とし、作られた犬の怨霊。
犬神は術者の願いを成就させる事も出来るが、その残酷さ故に怨念は深く一歩間違 えればその呪いは術者に跳ね返り、代々一族を祟る。
それを犬神憑きと言い、一族は破滅へと追い込まれてしまうとても危険な術で、そうした生き物を用いた呪術を「蠱毒」や「蠱術」と呼ぶ。
「調伏したばっかなんだよね。
可愛いでしょ?」
「まぁ、確かに可愛いですけど……
大丈夫なんですかそれ?」
見た目は確かに可愛いワンコだ。
だが犬神を使役することは大きなリスクを伴うことは妖の知識に乏しい真尋も知っていたし、第一この犬神はただならぬ妖気を放っている。
「問題ない。
ちゃんと躾けたし、丁度欲しかったんだよね。
使える式が」
よしよしと撫でる利音に犬神は尻尾を振りよくなついているように見える。
その様子に真尋は目の前の怨霊など忘れてしまったかのように「なでなでいいなぁ、自分も触りたい」なんて呑気な事を考えていた。
そうした状況下で忘れられかけている黒いモヤの怨霊は利音の束縛術の綱を一本ぶちりと破る。
「そろそろヤバいな。
真尋、これもって先に行け。
俺は後から追いかける」
そう言って投げ渡された呪いの笛。
飛んで行く方が早いでしょと勝手な事を言われるが、正直拒否したい思いでいっぱいだ。
しかし目の前の怨霊は考える暇を与えてくれそうになく、笛を受け取った真尋に照準を変えた。
「マジか……」
利音に言われるがまま背中から漆黒の大きな翼を出現させ、羽ばたかせると羽を舞わせながら体を宙に浮かせる。
「へぇ………」
初めて見る真尋の妖の部分に興味深そうに利音は僅かに口角を上げた。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

おっ☆パラ
うらたきよひこ
キャラ文芸
こんなハーレム展開あり? これがおっさんパラダイスか!?
新米サラリーマンの佐藤一真がなぜかおじさんたちにモテまくる。大学教授やガテン系現場監督、エリートコンサル、老舗料理長、はたまた流浪のバーテンダーまで、個性派ぞろい。どこがそんなに“おじさん心”をくすぐるのか? その天賦の“モテ力”をご覧あれ!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
みちのく銀山温泉
沖田弥子
キャラ文芸
高校生の花野優香は山形の銀山温泉へやってきた。親戚の営む温泉宿「花湯屋」でお手伝いをしながら地元の高校へ通うため。ところが駅に現れた圭史郎に花湯屋へ連れて行ってもらうと、子鬼たちを発見。花野家当主の直系である優香は、あやかし使いの末裔であると聞かされる。さらに若女将を任されて、神使の圭史郎と共に花湯屋であやかしのお客様を迎えることになった。高校生若女将があやかしたちと出会い、成長する物語。◆後半に優香が前の彼氏について語るエピソードがありますが、私の実体験を交えています。◆第2回キャラ文芸大賞にて、大賞を受賞いたしました。応援ありがとうございました!
2019年7月11日、書籍化されました。
隣の家に住むイクメンの正体は龍神様でした~社無しの神とちびっ子神使候補たち
鳴澤うた
キャラ文芸
失恋にストーカー。
心身ともにボロボロになった姉崎菜緒は、とうとう道端で倒れるように寝てしまって……。
悪夢にうなされる菜緒を夢の中で救ってくれたのはなんとお隣のイクメン、藤村辰巳だった。
辰巳と辰巳が世話する子供たちとなんだかんだと交流を深めていくけれど、子供たちはどこか不可思議だ。
それもそのはず、人の姿をとっているけれど辰巳も子供たちも人じゃない。
社を持たない龍神様とこれから神使となるため勉強中の動物たちだったのだ!
食に対し、こだわりの強い辰巳に神使候補の子供たちや見守っている神様たちはご不満で、今の現状を打破しようと菜緒を仲間に入れようと画策していて……
神様と作る二十四節気ごはんを召し上がれ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる