貧乏αと金持ちΩ

吉良鳥一

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二人の関係性

第十二話

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 突然のキス……
 戸惑いを隠せない二人……

 自分でキスしておいて何故キスしたのかと驚く渚は頭を整理したいので帰ると立ち上がり部屋を出ていこうとすると叶芽が慌てて後を追う。

「ナギ!!」

「………ごめん、今日は帰る。
また連絡するから……
ちょっと頭が混乱してて整理したいから、ホントごめん……」

 渚は叶芽の顔を見ずに出ていってしまった。
 ゆっくりと閉まるドアが静かになった部屋にガチャリとやけに大きな音を立てて余計に寂しさを増長させた。

 慌ただしく過ぎ去って何が起こったのかまだ理解出来ない叶芽は玄関でへたり込んでしまった。
 そしてキスされた唇を触れる。
 まだ生暖かい感触が残っていて、今更ながら思い出して顔が熱くなってくる。

 一体どう言うつもりでキスしてきたのか……
 彼自身も混乱した様子だった。
 もしこれでもう会えないなんて言われたらどうしよう。
 色々な事が叶芽の頭の中を廻って整理しきれない。

 このガランとした広いマンションで寂しく残された叶芽は暫くこのままぼーっとした後1人帰路に着いた。

 一方マンションを飛び出した渚は体調不良もあって真っ直ぐ家に帰った。

「ただいま……」

「お帰り」

 リビングでワイワイ騒ぐ弟妹とキッチンで洗い物をしている母には目も暮れず寝室へ一直線に向かった。
 それを見ていた母がいつもと違う渚に気付いて洗い物を止め寝室へ様子を見に来た。

「渚、アンタどうかしたの?」

「……ん、ちょっと…キツい……」

 明らかに顔色が悪そうな渚の額に手を当てるが、熱は無さそうだ。

「アンタ無理し過ぎなんじゃない?」

「…………」

「バイトも掛け持ちして家の事もして……
まぁ、お母さんが言うなよって言われるんだろうけど、長男だからって頑張り過ぎよ」

 5人兄弟で長男である渚には負担を掛けすぎていると分かりつつ、αでなんでもこなしてしまう渚に頼りきっていたのは事実。
 もう少しちゃんと見て上げてたらよかったと反省した。
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