貧乏αと金持ちΩ

吉良鳥一

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再会

第六話

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 バイトが終わり、着替えを済ませて帰宅の途に着く渚は、スマホを見ると何かメッセージが来ていることに気が付いた。
 開いてみると叶芽からで、『今日はありがとうございました。またカフェに行きますね。』とメッセージが来ていた。

 遅くなったが、渚もメッセージを返した。
『こちらこそお礼まで貰っちゃってありがとう。また来てね。
今度は絡まれないように気を付けて!!』

 そう返事を送ったら間も無くまたメッセージが届いた。
 『はい。今度は絡まれても軽くあしらえるようにします。』と返ってきたので、思わず笑ってしまった。

「そう言う事じゃないんだけど……」

 何故絡まれないようにと言って絡まれても軽くあしらえるように、なんてなるのか……
 少々天然な子なのかもしれないと、もっと彼を知りたくなってしまった。

「Ωか………」

 初めて会ったΩ。
 あの甘い香りは叶芽のフェロモンだったのだろうか?
 一週間前に会ったときも仄かに香ったが、今回はもっと強い香りだった。
 それはどうしてだろうか?

 正直Ωの事はよく知らない。
 知る必要も無いと思っていたから。
 だから彼の事を知るにはまずΩについて勉強しないとなと思った。
 そしてαの事も………

 自分自身αではあるが、カリスマ性に優れ、Ωを番に出来ると言う表面的な知識しか知らない。
 それこそ知る必要もなかった。
 だって普通で居たかったから。
 αだとか周りから色々言われるのが嫌で、いっそβのふりして生きようかとすら考えた。

 彼は、どう生きているのだろうか……?
 きっとΩで生きる事の方が遥かにしんどいだろうから……

「俺は、αの性から逃げてるのかな……」

 自分がαであることに耳を塞いでいた。
 本当にそれでいいのか……?

 そう自問自答しながら自宅に戻るのだった。    
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