ギャペラ～獣の世界に落ちて～

過去

第三話

 変わった見た目のケイは研究所に興味を持たれた。

｢このままでは安寧が犯されてしまう。
なんの解決にもならないが、田舎へ移り住む方がサージェスも少しは落ち着いて過ごせるかもしれない｣

 王都にいるよりも田舎の方が隠れて過ごせるかもとラジェッドは思った。
 まぁそれも一時的なものだろうが、少しの間だけでも今後について考える時間が欲しかった。

 ミーシェもそれを了承してくれたので、一家でノーザンのコネで田舎の地主として移り住んだ。

 広く、緑豊かな環境で伸び伸び過ごしていたケイだが、それはある日突然に起こった。

｢ぱぱ～まま～はやく～｣

｢待ってサージェス、勝手に先に行っちゃダメ｣

 この日親子三人で近くの川原に遊びに行った。
 王都にいると触れられない自然豊かなこの場所はケイのお気に入りでもある。

 いつものようにケイは走って先を行くと突然ザワリと木々や空気が揺れた。

｢なんだ？｣

 その違和感にラジェッドとミーシェは立ち止まった。
 だがケイはその違和感には気付かず早くいつも遊んでいるところへ行きたいと一人突き進む。

｢サージェス待って、止まって｣

 ミーシェが呼び止めると同時にケイの周辺だけの景色が歪んだと思ったら一瞬にしてケイが飲み込まれるように消え去り、歪んだ景色も元通りになった。

｢サー……ジェス……？｣

 まるで最初から何事もなかったかのように………