ギャペラ～獣の世界に落ちて～

過去

第一話

｢君は私達に聞きたい事は無いかい？｣

 そうノーザンに問われ、少し考えて第一に浮かんだ質問をする。

｢俺は……
俺は、何で日本に飛ばされたんだ？｣

 彼らの話から推測するに、自分は両親が意図しない出来事で日本に辿り着いたと考える。

｢そうだね。
君は何も覚えて無いし、知りたいよね｣

 父、ラジェッドが答える。

｢だけど実は私達もよくは分からないんだ｣

｢え？｣

 分からない。
 以前、ノイルが話してくれた日本人が何故、どうやってこちらに来たのか分からないように、ケイが行き来出来た理由は謎のままである。

｢そっか……
あと俺の姿は特殊だって聞いた。
俺って何者なわけ？｣

 こちらの世界でも時たま視線を感じる事がある。
 それはケイがジャガーとライオンのハイブリッドてあるからだろう。
 その事についても知りたい。

｢すまない……
それについても資料があまりなく、分かってないんだ。｣

｢じゃあ俺だけが獣になれるのは？｣

｢ケモノ……？｣

 ラジェッドやノーザンの様子から獣の姿については何の事かも理解していないようだ。

 するとノイルは思い出したようにケイにこう言った。

｢悪い、お前がケモノの姿になる事は伝えていない｣

 獣と言う概念が無いこの世界で説明することも難しい為、伝えていなかった。

 なら手っ取り早く、見てもらった方が分かりやすいだろうとノイルに許可を取って、ジャグリオンの姿に変化した。

｢……………｣

 その真っ黒な四足歩行の生物にノイル以外の彼らは驚いて言葉も出なかった。

｢驚いた……
こんな姿は聞いたことがない。
お前が幼い頃もこの姿になったことがない。
すまない、何も力になってやれなくて……｣

 ラジェッドは何も分からない事を謝罪する。

｢他には聞きたい事は無いか？｣

 せめて答えられる事は答えたいと言う。
 ケイはギャペラの姿に戻り今度はこんな質問をした。

｢じゃあ、俺の小さい頃の話。
それと二人の事も知りたい｣

 せめて昔の自分や両親の事を知りたいと思った。

｢ありがとう、ケイ……
まずはどこから話そうか……｣

 ラジェッドは嬉しそうに顔を綻ばせながら想い出を振り返る。