ギャペラ~獣の世界に落ちて~

吉良鳥一

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イギル

第一話

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 シルヴァの持ってるタバコのようなものにケイは激しく反応した。

「あれヤクか?媚薬?」

「ビヤク?
よく分からないが、あれはイギルだ」

「イギル……?」

 ケイの疑問にノイルが解説する。

「ネコ科にしか効かない、気持ちよくなるものだ。
こちらのセカイではネコ科ならよく嗜好品としてしばしば使う。
日本語では、何と言ったか………」

「マタタビ?」

「そうだ。マタタビだ」

 ネコ科にしか効かなくて、気持ちよくなると言えばマタタビしか思い付かない。

 なるほど、あれはマタタビだったのか……
まさかマタタビに反応してしまう日が来るとは……

 ケイは苦笑いを浮かべた。
 ノイル曰く、初めて使用するなら少々刺激が強いようだ慣れれば酒を飲むのと変わらないと言う。

 気持ち良く酔えて酒よりも依存性は少ないし、タバコ同様、香りや味も多種多様にあるのでネコ科には人気だ。

 因みに使用は16歳以上だそうだ。

「ケイ」

 するとシルヴァが何か含みのある笑みでケイにイギルを差し出した。

 そして次に発せられた言葉に唖然とする。

「イッショニドウダ?」

 はっきりとシルヴァが日本語を話したのだ。

「ドウシタ?コチラヘコイ。
イッショニ タノシモウ」

 そう笑みを浮かべながら言う彼にケイは呆然としている。

 だって発音に少々訛りがあるが、明らかに理解して喋っている。
 まだ出会ってそんなに経っていないにも関わらず、何故こんなに喋れるんだ?

「なんで………」

「*******」

 すると今度はこちらの言葉で話し始め、ノイルが訳する。

「研究所の者に習ったりしたそうだ。
と言ってもココマデ覚えられているとは俺も驚いた」

 ノイルもシルヴァの上達ぶりには感心していた。
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