ギャペラ～獣の世界に落ちて～

王宮

第四話

 風呂から上がると如何にも王族と言うような、豪華な服が用意されていた。
 どうにも慣れないその服を仕方なく着て、待機していたのであろうノイルと元の部屋に戻ると、シルヴァが待っていた。

 それからノイルの通訳を介して色々と会話をした。
 まぁ主にシルヴァがケイに質問するばかりだったが……

 趣味や思考、向こうの世界について等、結構質問攻めを食らったと思う。
 おかげで喋り疲れた。
 いや、それを言うならノイルの方がよっぽど疲れただろうが一切そう言った疲労は見せなかった。
 さすが軍人。タフだ。

『そう言えばさっき……
食事の時様子が変だったが、ガビラビの肉は嫌いだったか？』

 シルヴァがそんな質問をした。
 何の肉かと聞いたとき明らかに食べるペースが落ちた。

｢ああ、いや……そうじゃない……
ただ、トカゲとか食べ慣れて無いから……
気持ち悪いって思っただけ。
味は美味かった｣

『そうか……
ならばこれからは違う肉を出そう』

｢え、いや、いいって!!
俺が食わず嫌いだっただけでちゃんと食べるし｣

 そもそもガビラビの肉以外に何の肉があるのかすら分からないし、ガビラビより見た目がグロテスクだった場合最早肉なんて食べられなくなる。

『ケイは、むこうの世界では何の肉を食ってる？』

 シルヴァがそう聞いてきた。

｢え、何の……
豚とか牛、鶏……｣

｢え?｣

 ケイの話にまず反応したのは言葉の分かるノイルだった。
 四つ足動物の獣が存在しないこの世界で豚、牛などと言ったら真っ先にギャペラを思い浮かべてしまう。
 その為、ノイルの頭の中には共食いが思い浮かんだ。

｢あ、いや、そうじゃなくて……
むこうの世界では、俺が変身したみたいな四本足の動物のことで……｣

 ノイルが考えていることを察し、慌てて否定した。