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正体

第六話

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「まぁ、あれだ……
俺らにとって必需品だ」

 スマホの上手い説明が出来ないため、最後にそうまとめた。

「必需品……
30年程前に捕まえたニンゲンはこんな物持ってなかったな」

「そりゃその時代にスマホなんてねぇしな。
その頃と今じゃ全然違う」

 そもそも30年前はガラケーすら存在していなかった筈だ。

「たった30年で?
やはりニンゲンの持つ技術は我々ギャペラより進んでいるのか」

 まだチラッとしかこちらの世界を見ていないが、向こうの世界よりも技術的な物は劣っているように感じる。

 それにしても彼は日本語能力が高い。
 もしかして彼が捕まえた人間と言うのはノイルが言っていた人と同一人物なのか?

「なぁアンタ、言葉はその人間に習ったのか?」

「そうだ。
我々は研究者だ。
知らない事は何でも知らないと気が済まない質だからな、言葉も理解しないと異世界の事も理解出来ないだろう」

「ふ~ん……
軍人のノイルって奴も日本語話せたけど、そいつもその人間に教わったってことか?」

「ノイル……?
ああ、そう言えばそんな警備員いたな。
そのニンゲンの見張りをずっとさせていたから言葉を覚えたようだ。」

 やはりそうか……
 そしてノイルとこのネズミが知り合いとすれば自分はノイルに売られたのだと思った。

 何もしないと言いながら結局ケイを研究者に渡す為に吐いた戯れ言だったのだ。

 ギャペラを信用してはいけない。


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