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第二章 わたしの妹は超絶カワ(・∀・)イイ!!ツンデレ魔法使い!
第21話 入学式
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そうこうしている内に入学式の時間になった。演劇などでも利用される大劇場に移動したわたしたちは、成績順に着席して式に臨む。といっても基本的には座って学校関係者や来賓の貴族の話を聞くだけで、退屈な時間だけが過ぎていく。
もう何人目かもわからない貴族のおじさまが、前四人くらいとほぼ同じ内容の話を長々と続けている。隣のロザリィ様をちらりと見れば、背筋をピンと伸ばして表情には笑みを張り付けていた。さすがロザリィ様、こういう場面には慣れているご様子。
一方、ロザリィ様の隣に座るミナリーは完全に舟を漕いでいた。何なら時折ロザリィ様の肩に頭を置いて眠っちゃっている。そのせいでロザリィ様が頬をぴくぴくと痙攣させていた。あ、あとでわたしから謝っておかなきゃ……。
しばらくしてようやく来賓貴族の挨拶が終わり、続いて壇上に上がったのは白髪に白い髭を蓄えた初老の男性。わたしがよく知る人物だった。
「新入生の諸君、まずは入学おめでとう。王立魔法学園学園長のアルバス・メイじゃ」
アルバス先生。近衛魔法師団の元団長で、王立魔法学園で長らく学園長を務める傍ら、わたしやロザリィ様、妹のアリシアに魔法を教えてくれた先生だ。もう随分と会っていなかったけど、やっぱりお年を召されたと感じるなぁ。
「……かなりの魔力量ですね」
いつの間にか起きていたミナリーが先生を見て呟く。ミナリーがそう口にするということは、かつて王国最強の魔法使いと呼ばれていた先生の魔力は衰え知らずってことなのかな。それを聞いてちょっと安心した。
「諸君らは偉大なる大魔法王マグナ・フィーリス様の遺した魔法によって、王国全土から集められた将来有望な魔法使い候補生、その中から入学試験を勝ち抜いた実力者たちじゃ。今年は随分と粒揃いであったと聞いておる。〈魔力開放〉に至った者が二人、〈五系統魔法使い〉が二人もおる。これは学園創設以降初めてのことじゃ。上級生たちはさぞ焦っていることじゃろうな。そうでなければ儂が困るぞ?」
式に出席していた上級生たちの席から笑いが起きる。先生はその後もユーモアを交えながら、わたしたち新入生に学園生活での諸注意や魔法使いに必要な心構えを語ってくれた。
来賓の貴族の挨拶よりもずっと聞きやすくて、体感時間であっという間に先生の話が終わる。
続いて在校生を代表して生徒会長の挨拶。壇上に上がった女子生徒を見て、わたしは椅子から飛び上がってしまいそうなくらいに驚いた。
「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。私はこの王立魔法学園の生徒会長を務めています、アリシア・オクトーバーです」
あ、アリシア……っ!?
壇上で挨拶をしているのは間違いなくわたしの妹のアリシアだった。王立魔法学園に入学したとは思っていたけど、それがまさか生徒会長になっているなんて!
最後に出会った時よりも背が伸びて、キリっとした目元なんかはお母様にそっくり。髪は後ろで纏められていて、童顔なわたしとは違って、アリシアはとても大人びて見える美人さんになっていた。
「アリスさまが居なくなってから、アリシアは魔法の鍛錬に打ち込んで王立魔法学園に首席で合格しました。それからも努力を続けてこの春からは生徒会長に就任したんですわよ。アリスさま、どうかアリシアの姿をしっかりと見てあげてくださいましね」
「うん。うんっ、……うっ、ぐすっ、えぐっ」
アリシアを近くで見てくれていただろうロザリィ様の言葉に涙腺が崩壊する。
「ちょっ!?」
壇上からちらりとわたしの方を見たアリシアは、泣きべそかくわたしを見てギョッとした様子で目を見開いて言葉を詰まらせた。急にどうしたのかとざわめきが起こる中アリシアは咳払いをして挨拶を続ける。
「あ、改めてこの度はご入学おめでとうございます。在校生一同、皆さんを心より歓迎します。ようこそ、王立魔法学園へ。皆さんと一緒に学園生活を送れることを、とても楽しみにしていました」
アリシアは朗らかな笑みを浮かべ、滑らかな口調で在校生挨拶を進めていく。その立派な姿にお姉ちゃんの涙腺はもうガバガバユルユル鼻水すびすびだった。
さすがにミナリーとロザリィ様がドン引きした様子でわたしを見てくるし、嗚咽が漏れてしまって壇上のアリシアも「嘘でしょ……?」と言いたげな顔をわたしに向けてくる。だ、だって妹がこんな立派に成長してるって知らなかったんだもん! 感動しちゃうよ、お姉ちゃんなんだから!
アリシアの在校生挨拶が滞りなく終わると、式の出席者からは拍手が沸き起こる。その中でわたしは誰よりも大きな拍手をしていた。何ならわたしが拍手をしたから拍手が沸き起こったまである。頬を赤く染めたアリシアに睨まれちゃった。
続いて今度は新入生代表挨拶。壇上に上がるのはもちろん、入学試験で主席合格だったニーナちゃんだ。
壇上に上がったメイ先生の前まで、ニーナちゃんはぎこちない足取りで歩いていく。
「同じ方の手と足が同時に出てます」
「緊張しているのがまるわかりですわ……」
ロザリィ様が嘆く中、
「お、穏や、穏やかにゃはりゅのおとじゅれととみょに、わ、わたしたちごじゅうに人は由ちょあるこのっ――」
ニーナちゃんの噛みっ噛みな新入生代表挨拶が始まった。
隣に座るロザリィ様が頭を抱えたのは言うまでもない。
もう何人目かもわからない貴族のおじさまが、前四人くらいとほぼ同じ内容の話を長々と続けている。隣のロザリィ様をちらりと見れば、背筋をピンと伸ばして表情には笑みを張り付けていた。さすがロザリィ様、こういう場面には慣れているご様子。
一方、ロザリィ様の隣に座るミナリーは完全に舟を漕いでいた。何なら時折ロザリィ様の肩に頭を置いて眠っちゃっている。そのせいでロザリィ様が頬をぴくぴくと痙攣させていた。あ、あとでわたしから謝っておかなきゃ……。
しばらくしてようやく来賓貴族の挨拶が終わり、続いて壇上に上がったのは白髪に白い髭を蓄えた初老の男性。わたしがよく知る人物だった。
「新入生の諸君、まずは入学おめでとう。王立魔法学園学園長のアルバス・メイじゃ」
アルバス先生。近衛魔法師団の元団長で、王立魔法学園で長らく学園長を務める傍ら、わたしやロザリィ様、妹のアリシアに魔法を教えてくれた先生だ。もう随分と会っていなかったけど、やっぱりお年を召されたと感じるなぁ。
「……かなりの魔力量ですね」
いつの間にか起きていたミナリーが先生を見て呟く。ミナリーがそう口にするということは、かつて王国最強の魔法使いと呼ばれていた先生の魔力は衰え知らずってことなのかな。それを聞いてちょっと安心した。
「諸君らは偉大なる大魔法王マグナ・フィーリス様の遺した魔法によって、王国全土から集められた将来有望な魔法使い候補生、その中から入学試験を勝ち抜いた実力者たちじゃ。今年は随分と粒揃いであったと聞いておる。〈魔力開放〉に至った者が二人、〈五系統魔法使い〉が二人もおる。これは学園創設以降初めてのことじゃ。上級生たちはさぞ焦っていることじゃろうな。そうでなければ儂が困るぞ?」
式に出席していた上級生たちの席から笑いが起きる。先生はその後もユーモアを交えながら、わたしたち新入生に学園生活での諸注意や魔法使いに必要な心構えを語ってくれた。
来賓の貴族の挨拶よりもずっと聞きやすくて、体感時間であっという間に先生の話が終わる。
続いて在校生を代表して生徒会長の挨拶。壇上に上がった女子生徒を見て、わたしは椅子から飛び上がってしまいそうなくらいに驚いた。
「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。私はこの王立魔法学園の生徒会長を務めています、アリシア・オクトーバーです」
あ、アリシア……っ!?
壇上で挨拶をしているのは間違いなくわたしの妹のアリシアだった。王立魔法学園に入学したとは思っていたけど、それがまさか生徒会長になっているなんて!
最後に出会った時よりも背が伸びて、キリっとした目元なんかはお母様にそっくり。髪は後ろで纏められていて、童顔なわたしとは違って、アリシアはとても大人びて見える美人さんになっていた。
「アリスさまが居なくなってから、アリシアは魔法の鍛錬に打ち込んで王立魔法学園に首席で合格しました。それからも努力を続けてこの春からは生徒会長に就任したんですわよ。アリスさま、どうかアリシアの姿をしっかりと見てあげてくださいましね」
「うん。うんっ、……うっ、ぐすっ、えぐっ」
アリシアを近くで見てくれていただろうロザリィ様の言葉に涙腺が崩壊する。
「ちょっ!?」
壇上からちらりとわたしの方を見たアリシアは、泣きべそかくわたしを見てギョッとした様子で目を見開いて言葉を詰まらせた。急にどうしたのかとざわめきが起こる中アリシアは咳払いをして挨拶を続ける。
「あ、改めてこの度はご入学おめでとうございます。在校生一同、皆さんを心より歓迎します。ようこそ、王立魔法学園へ。皆さんと一緒に学園生活を送れることを、とても楽しみにしていました」
アリシアは朗らかな笑みを浮かべ、滑らかな口調で在校生挨拶を進めていく。その立派な姿にお姉ちゃんの涙腺はもうガバガバユルユル鼻水すびすびだった。
さすがにミナリーとロザリィ様がドン引きした様子でわたしを見てくるし、嗚咽が漏れてしまって壇上のアリシアも「嘘でしょ……?」と言いたげな顔をわたしに向けてくる。だ、だって妹がこんな立派に成長してるって知らなかったんだもん! 感動しちゃうよ、お姉ちゃんなんだから!
アリシアの在校生挨拶が滞りなく終わると、式の出席者からは拍手が沸き起こる。その中でわたしは誰よりも大きな拍手をしていた。何ならわたしが拍手をしたから拍手が沸き起こったまである。頬を赤く染めたアリシアに睨まれちゃった。
続いて今度は新入生代表挨拶。壇上に上がるのはもちろん、入学試験で主席合格だったニーナちゃんだ。
壇上に上がったメイ先生の前まで、ニーナちゃんはぎこちない足取りで歩いていく。
「同じ方の手と足が同時に出てます」
「緊張しているのがまるわかりですわ……」
ロザリィ様が嘆く中、
「お、穏や、穏やかにゃはりゅのおとじゅれととみょに、わ、わたしたちごじゅうに人は由ちょあるこのっ――」
ニーナちゃんの噛みっ噛みな新入生代表挨拶が始まった。
隣に座るロザリィ様が頭を抱えたのは言うまでもない。
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