わたしの弟子は超絶カワ(・∀・)イイ!!天才美少女魔法使い!

KT

文字の大きさ
上 下
12 / 60
第一章 わたしと弟子の王立魔法学園入学試験

第12話 後悔はしていない

しおりを挟む
「師匠、何か弁明はありますか?」

「むしゃくしゃしてやりました。後悔はしてないです」

 控室から出て早々、通路でわたしを待ち構えていたミナリーに正座させられた。

「私には手加減するように言っておきながら、自分は相手に見せ場を作ることなく一瞬で勝負を終わらせるなんて。あれではあの人合格できないかもですよ?」

「だってムカついたんだもん。わたし悪くないもーん」

「子供ですか……。というか、お知り合いだったんですか?」

「うーん、まあ、色々とね」

 もう済んだことだからミナリーに喋っても大丈夫かな? ミナリーを出迎える前にドラコくんから言われたことを、ミナリーにも掻い摘んで説明する。

「なるほど、そういう事情があったんですね。わかりました、ちょっと息の根を止めてきます」

「ミナリーすとーぷっ! もう終わったことだから! ほら、ちゃんとコテンパンにやっつけたの見てたでしょ!? あれ以上やると本当に死んじゃうって!」

「ですが、師匠を馬鹿にされたのに弟子として黙っていられません」

「そう思ってくれるのは嬉しいけどね? 貴族社会も色々あるし、さすがに息の根まで止めちゃったら後々面倒なことになりかねないから、ね?」

「……わかりました」

 ミナリーは渋々といった様子で納得してくれた。ミナリーに話す前に自分で片を付けておいて正解だったよ。いやぁ、師匠想いの弟子を持てて幸せ者だなぁ。

「……ごめんなさい、師匠」

「ふぇ? どうしてミナリーが謝るの?」

「私が王立魔法学園の入学試験を受けるなんて言わなければ、師匠に嫌な思いをさせることはありませんでした」

「あー……、そう考えちゃうか。ミナリーは優しいなぁ、まったくもぅ」

 わたしは正座から立ち上がると、ミナリーをギュッと抱きしめる。ミナリーは本当に優しい子だ。優しすぎて、相手よりも自分を責めてしまう所がある。それはミナリーの長所でもあって、短所。自分を責めすぎるあまり卑屈にはなって欲しくない。

「ミナリーのせいじゃないよ。これは貴族の責務から逃げ出したわたしへの罰だから。ミナリーと一緒に王立魔法学園の入学試験を受験するって決めた日から、覚悟していた事でもあるの」

「ですが……」

「ミナリー、わたし今とっても嬉しいんだぁ。ミナリーと一緒に、諦めていた王立魔法学園の入学試験を受けることができて、とっても幸せなの。ミナリーが名前を書き足してくれたおかげだよ?」

「き、気づいてたんですか……?」

「うん。でもまさか、そのまま通されるとは思ってなかったけどね」

 ミナリーの偽造技術が相当高かったのか、それとも偽造を発見する魔道具が壊れていたのか。なんにせよ、こうしてミナリーと一緒に入学試験を受けられている今がとっても幸せだった。

「二人で一緒に合格できるといいね、ミナリー」

「師匠なら、きっと大丈夫ですよ」

「あ、自分はもう合格したつもりで居るでしょ?」

「そんなことないです」

「ホントかなぁ?」

 ミナリーはそっぽを向いてひゅる~ひゅるる~と下手くそな口笛を吹く。唇を尖らせる弟子の可愛らしい表情に、わたしは思わず吹き出してしまった。

「そうだ、ミナリー! 合格者発表までまだまだ時間があるし、ちょっと学園を抜け出して王都を散策しようよ! 師匠こう見えてシティガールだから、王都の色々な所を案内してあげられるよ?」

「それは楽しそうですね。でも、勝手に抜け出して大丈夫でしょうか?」

「試験官の先生に確認してみようよ。行こ、ミナリー!」

 そう言ってミナリーの腕を引いて歩きだした、その直後だった。

「あれ……?」

 視界の隅に何かが映って立ち止まる。

「どうしたんですか、師匠?」

 不思議そうに尋ねてくるミナリーに、わたしは通路の隅を指さした。魔力灯の光も届かない薄暗い通路の隅。資材の陰に隠れるように誰かが座り込んでいる。

「あそこに居るの、さっきの女の子じゃないかな?」

 確か名前は試験官の先生が言ってたような……。そう、ニーナ・アマルフィアちゃん。魔力測定の時に魔力水晶の欠陥で失格になりかけて、ミナリーのアドバイスで逆転合格を勝ち取った女の子だ。

「あんな所で何をしているんでしょうか?」

「話しかけてみよっか」

「そうですね」

 ミナリーと頷き合って、わたしたちは王都散策をひとまず延期にしてニーナちゃんに近づく。

「こんにちは」

「ひゃいっ!?」

 わたしが声をかけると、ニーナちゃんは素っ頓狂な声を出して飛び上がった。

「あ、その、ごめっ、ごめんなさいっ! ちょっと道に迷ってしまって入っちゃいけないところだと思わなくてすみませんすみませんっ!!」

 どうやらわたしたちを注意しに来た試験官の先生と勘違いしちゃったみたい。
「ご、ごめんね。わたしたちは注意しに来たわけじゃないよ」

「こんな所で何をしていたんですか?」

「へっ? あ、あーっ! あなたは、さっきの!」

 ミナリーを黒髪の隙間から覗く茶色の瞳が大きく見開かれる。ニーナちゃんの方もミナリーのことを覚えてくれていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

私と先輩のキス日和

壽倉雅
恋愛
出版社で小説担当の編集者をしている山辺梢は、恋愛小説家・三田村理絵の担当を新たにすることになった。公に顔出しをしていないため理絵の顔を知らない梢は、マンション兼事務所となっている理絵のもとを訪れるが、理絵を見た途端に梢は唖然とする。理絵の正体は、10年前に梢のファーストキスの相手であった高校の先輩・村田笑理だったのだ。笑理との10年ぶりの再会により、二人の関係は濃密なものになっていく。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

如月さんは なびかない。~クラスで一番の美少女に、何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

神様のミスで女に転生したようです

結城はる
ファンタジー
 34歳独身の秋本修弥はごく普通の中小企業に勤めるサラリーマンであった。  いつも通り起床し朝食を食べ、会社へ通勤中だったがマンションの上から人が落下してきて下敷きとなってしまった……。  目が覚めると、目の前には絶世の美女が立っていた。  美女の話を聞くと、どうやら目の前にいる美女は神様であり私は死んでしまったということらしい  死んだことにより私の魂は地球とは別の世界に迷い込んだみたいなので、こっちの世界に転生させてくれるそうだ。  気がついたら、洞窟の中にいて転生されたことを確認する。  ん……、なんか違和感がある。股を触ってみるとあるべきものがない。  え……。  神様、私女になってるんですけどーーーー!!!  小説家になろうでも掲載しています。  URLはこちら→「https://ncode.syosetu.com/n7001ht/」

とある元令嬢の選択

こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...