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疲弊する

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「カァーーーッ!カァ!カァカァーーッ!」

 その間に十数羽の化け物カラスが奇声をあげ八神を狙い一斉に急降下した。
 
 襲いくる化け物カラスの群れを黒光りした十の鉄の大蛇が向かい撃つ!

「ヴンヴヴン!!ビィッシャーッ!!シャシャシャーーーッ!」

「ギャッ!ギャギャッ!ギャギャギャッ!」

 鉄の錬金術で作られた鉄の鞭が、その見た目とは裏腹に皮でできた鞭のようなしなりを見せ、逆に破壊力は攻撃を直に受けた化け物カラスの悲惨な様子から見てとれた。

 当たりどころが悪ければ一撃で血飛沫をあげ絶命し、一撃目で何とか生き残ったとしても第二撃三撃と連続して鉄の大蛇が襲い次々に絶命していく。

 もはやどちらが数で優っているのか分からない状況!?否、化け物カラスの群れを圧倒したのは完全に迎撃する側の八神であった。

 八神の加勢をしようとした飛鳥井がその凄まじい光景を目の当たりにして呟く。

「八神さんのそれって悪魔的強さだな...加勢をしようなんて烏滸がましい考えだったかもしれないねぇ...じゃあ俺は地道に一羽ずつ素早く叩き落とすとしますか」

「ヴン!」

 柴門と八神の戦い振りに頼もしさを感じた飛鳥井が瞬間移動し、群れの外側にパラパラと飛び回る化け物カラスを一羽、また一羽と的確に馴染んできた刀によって斬り伏せていった。

 その頃、結月と美琴の二人とカラス王カラハグとの睨み合いは幸いにして続いていた。

 メンバーの中で唯一カラハグの動きを止めることに成功した結月の「プリズンロック」。

 発動してからもうすぐ7分を経過しようとしており、技をを維持することの難しさを結月の表情から十分に読み取れる。
 美琴のサイコキネシスによるフォローのお陰で少しは楽になっていたとはいえ、カラス王を牢獄に幽閉し続ける技の精神的消耗は激しく、結月は額から冷や汗が出るほど疲弊し始めていた。

 そんな結月の様子を察している美琴が横から声をかける。

「結月ちゃん。色々考えを練っているんだけれど、これ以上何もしてあげられそうにないわ...不甲斐なくてごめんね」

 申し訳なさそうな美琴の顔を見た結月が返す。

「謝らないで美琴さん。予想してたより消耗が激しいけれどわたしは大丈夫。美琴さんのフォローがなければ今頃気を失ってたかもしれない。飛鳥井さん達が帰って来るまでは絶対にもたせて見せる!」

 そんな二人のやりとりを牢獄に座り込み眺めていたカラハグが嘲笑する。

「カッカッカッ!精々頑張るんだな小娘。この牢獄から出た暁には貴様を真っ先に殺してやるゆえ覚悟しておくがいい」
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