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王との会話

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 カラハグが鋭い眼光を煌めかせて言う。

「貴様、いや、貴様らは、我が部隊が迷わずここへ一直線に進行して来るのを不思議だとは思わなかったか?」

「......ああ、思ったかもしれないなぁ。それがどうかしたのか?」

 どう答えようか一瞬考えたがさほど重要性無しと判断し、惚けた感じで返した。

 飛鳥井はここら辺からカラス王の顔に微妙な変化が生じてていることに気付く。

 今は亡き者となったカラス軍幹部四人衆もそうだったけれど、カラス王カラハグの身は普通の人間の五体と比べても遜色なく進化していた。
 顔に限って云えばカラスのままで、人間の表情豊かなそれとは程遠いという印象だったのだが、今マジマジと眺めたカラハグの顔は羽毛が薄くなり、頬のあたりは赤みを帯びた皮膚が露出している部分があり動きが分かる。
 つまり、無表情なカラス面から表情に変化がある人面の造りに近づいているのであった。

「カカカッ。良い顔だ。賢い貴様は我の進化に気付いたようだな。そう、我の身体は覚醒を始めた日よりずっと止まることなく進化を続けているのだ。だがこの身体は何もせずに進化を続ける訳ではない無いらしいがな」

 カラハグが人間の言葉を使う話し方もより流暢になっている。
 飛鳥井はカラス王が単に自慢話を聞かせたいだけなのかと思い始め若干嫌気がさしたものの、元々は他のメンバーが戦闘大勢を整える時間稼ぎのためと、探りを入れるのが目的であったため粘り強く会話を続けることにした。

「ほうほう実に興味深い話だね~。まぁ進化するのはあんただけじゃないと思うが...それで何をすれば進化できるんだい?」

 カラスの王といえど王は王である。
 飛鳥井の無礼な態度と口調に腹を立てても不思議は無かったのだが、カラハグには全く気にする様子が無い。

「この世界に我に近しい存在がいるかもしれんが、そんなことはどうでも良い。我が進化を続けるための条件は『刺激』だ。特に戦闘により得た『刺激』が我をより進化させてくれるらしい」


「刺激ねぇ...んで、今のあんたは見た目以外に進化したとこがあるのかい?」

「カカカッ。無論だ。貴様らを探すうち新たに覚醒した能力が在る。それは2km離れた生物の居場所をも察知することができる『感知能力』だ」

「!?」

 「不味いな」。情報を聞き出した飛鳥井の心中は穏やかではいられなかった。
 生物の居場所が特定可能な「感知能力」を身につけてしまったのが事実であれば、建物に身を潜める行為が仇となってしまうケースがあるのでは?と考えたからである。
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