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油断大敵

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「ギャア!?カァ!?ギョッ!?」

 「ヒートランス無双」、そう云って差し支えはないであろう。

 灼熱の鉄の槍が縦横無人に空中を暴れまわり、化け物カラス達の身体を貫き焼いて行き、たまらず叫び声を上げて絶命して行く!

「鉄錬金!アイアンウィップ!」

「ヴァシッ!ヴァシッ!ヴァシッ!」

「ギャッ!ガッ!?ビャッ!?」

 攻撃を続ける美琴を発見した化け物カラスの一部が近づいたものの、二人を守ることに徹する八神が強力な鉄の鞭でそれらを八つ裂きにして行った!

「さっすが八神さん♪ありがとうございます♪........でも攻撃に参加できなくてごめんなさい...」

 葵が礼を言ったあと、戦力になっていないことを謝った。
 メンバーで唯一ヒーリング能力を操る彼女だったが、攻撃に関する技は一つも身についておらず、自分を不甲斐なく思っているらしい。

「大丈夫だよ葵ちゃん。チームにはそれぞれ役割ってものがあるんだから気にしない方が良い。君は僕達が傷ついた時の切り札なんだから無事でいてくれるだけで心強いんだ」

 元科学者で戦闘とはかけ離れた生活を送って来た八神が、なんとも逞しく男らしい言葉を掛けた。

「うん、わかったぁ♪ありがと八神さん♪」

 八神の励ましで葵は笑顔を取り戻した...

 一方の柴門。

「おらおらおらおらおらーーーっ!てめぇら全部落ちてしまえーーっ!」

 美琴のヒートランスと共に化け物カラスへ向け攻撃を続ける柴門がさも楽しそうに無双する。
 司令塔のヴォルガを喪失した化け物カラスの群は正に烏合の衆となり、最も容易く倒されて行った。

 が、視界に入っている化け物カラスを夢中で撃ち落とす彼の背後は隙だらけ。
 実は一羽の化け物カラスがいつの間にか彼の死角に回り込み、背後から襲おうと飛び掛かっていた。

「ギャッ!?」

 その狡猾な化け物カラスの奇襲が柴門に届かんとする寸前、悲痛な叫び声を上げ絶命して失敗に終わる。

「なんだ!?」

 背後の悲鳴に気付いた柴門が慌てて後ろを振り向く。

「チッチッチッ。油断大敵だよ~柴門。戦闘ってのは最後まで気を引き締めてやらないと♪」

 奇襲を仕掛けた化け物カラスを止め柴門を救ったのは、南のディク部隊を掃討し、瞬間移動で飛んで来た飛鳥井だった。

 自分が助けられたことにまだ気付いていない柴門が飛鳥井を見るや否やする。

「おっ!?飛鳥井?なんでお前がここに居るんだよ」

「......礼くらい言って欲しかったがまぁ良いや。西と南の部隊をサクッと片付けて加勢に来たのさ♪でも見た感じこっちも粗方片付きそうだなぁ...」
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