上 下
36 / 143

呑もうぜ!

しおりを挟む
「俺たちが結月ちゃんの横に車を止めて話を訊くと、住宅街で三日ほどご両親を探し回っているという事だった」

 僕が結月に目を向けると「そうよ」という意味を込めた頷きをして飛鳥井さんに話しかける。

「両親の件については後でわたしから個人的に話します。それよりチームの話を進めてください」

「了解...そいういう訳だ匡。結月ちゃんも参加して現在6人。こんなメンバーのチームでもちろんルールもある。加入する意思はあるかい?」

 メンバーはそれぞれ個性的で癖のありそうな人ばかりだが、ここまでの話を聞いた限りで悪い人達では無さそうだ。
 それに僕は結月の近くにいて彼女を守らなければならない...と言うか守りたい!

「もちろん加入させてもらいますよ。僕も皆さんの力になれるように頑張ります!」

 飛鳥井さんがニヤッとして言う。

「いい返事だ。よし、今日から君はうちのチームの正式な一員だ。みんなも意義は無いな?」

「「「「「異議なし!」」」」」
 
 他の5人が同時に承認してくれた。

「チームのルール何だが今のところは三つだけだ。一つ。獲得した物資は均等に分割又は全員で共有すること。二つ。重要な案件は多数決で決めること。三つ。仲間内で紛争を絶対起こさないこと。以上だ。分かったかな?」

「理解したし覚えました!大丈夫です!」

 柴門さんが頃合いを見ていたのか、ここで飛鳥井さんに打診する。

「途中しんみりしちまったから呑まねえか?このあいだ拾ってきた缶ビールが冷蔵庫でキンキンに冷えてるだろ」

「それ賛成~!みんなで楽しく呑もうよ!んで、折角だからチーム名も決めちゃおう!」

 飛鳥井が返事をする前に、無理やりかも知れないが急に元気な顔で葵さんが肯定と新たな提案をした。

 柴門さんとのやりとりがあってから、ずっと難しい顔をしていた八神さんが乗り気な感じで賛同する。

「それは良い考えだねぇ。今日は呑みたい気分だ。酒を呑むのは一年ぶりくらいだな」

「5人は良いとして匡君と結月ちゃんはどうする?」

 僕と結月がまだ未成年ということで美琴さんは訊いてくれたのだろう。
 もう日本は崩壊して憲法や法令なども意味を成さない訳だし...

「お酒は呑んだことないけど呑んじゃいま~す!匡ももちろん呑むわよねぇ?」

 考えているあいだに結月は答えを出してしまっていた。

「あ、ああ。もちろん呑むよ」

 僕も酒は呑んだ経験が無かったので味がどんなものか想像出来なかったが、この場面で「遠慮する」などとはとても言えない。

「そっかそっか。みんなそんなに呑みたかったんだな!よし!今夜は宴会だ~!」

 結局、最後に賛同した飛鳥井さんが一番嬉しそうな顔をしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

【R18】異世界なら彼女の母親とラブラブでもいいよね!

SoftCareer
ファンタジー
幼なじみの彼女の母親と二人っきりで、期せずして異世界に飛ばされてしまった主人公が、 帰還の方法を模索しながら、その母親や異世界の人達との絆を深めていくというストーリーです。 性的描写のガイドラインに抵触してカクヨムから、R-18のミッドナイトノベルズに引っ越して、 お陰様で好評をいただきましたので、こちらにもお世話になれればとやって参りました。 (こちらとミッドナイトノベルズでの同時掲載です)

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

幼馴染みの2人は魔王と勇者〜2人に挟まれて寝た俺は2人の守護者となる〜

海月 結城
ファンタジー
ストーカーが幼馴染みをナイフで殺そうとした所を庇って死んだ俺は、気が付くと異世界に転生していた。だが、目の前に見えるのは生い茂った木々、そして、赤ん坊の鳴き声が3つ。 そんな俺たちが捨てられていたのが孤児院だった。子供は俺たち3人だけ。そんな俺たちが5歳になった時、2人の片目の中に変な紋章が浮かび上がった。1人は悪の化身魔王。もう1人はそれを打ち倒す勇者だった。だけど、2人はそんなことに興味ない。 しかし、世界は2人のことを放って置かない。勇者と魔王が復活した。まだ生まれたばかりと言う事でそれぞれの組織の思惑で2人を手駒にしようと2人に襲いかかる。 けれども俺は知っている。2人の力は強力だ。一度2人が喧嘩した事があったのだが、約半径3kmのクレーターが幾つも出来た事を。俺は、2人が戦わない様に2人を守護するのだ。

処理中です...