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ノ113 仙女覚醒編完結

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 亜孔雀が退魔の鎧を奪い地雷蚓と共に魔界へ去ったあと、真如の脳に融合していた霊蟲は所有者が別世界へ移動したことにより消滅し、洗脳され操作されていた真如の意識は霊蟲から解放された。

 真如自身の意識が戻ったのは良かったけれど、彼女の脳には、亜孔雀に霊蟲を呑まされてからの記憶が一切残っておらず、それが災いとなり彼女の身に降り注いでしまうこととなる。

 今回の事件に関する夜倶盧の質問に尽く答えられなかった真如は、雅凌と府刹那の二人が抜け八人となってしまった天仙竺十権と、仙人界の最高権力者である仙王の下、改めて事情聴取され、慎重かつ厳重に審査された結果、仙人としての能力を殆ど奪われた上、仙人界から永久に追放されることとなってしまった。

 本人の言い分を証明する証拠品の存在が皆無であったため、退魔の鎧を盗んだという如何ともし難い罪の重さから、残念ながら致し方のない罪罰と云えたかも知れない...

 とはいえ、人間界で望まぬ様々な不幸に遭い、人生を自ら終わらせようとするどん底の心理にまで追い詰められ、九死に一生とはまさに事のことか、自殺を試みた彼女を偶然にして仙女の雲峡が見つけ、その後、壮絶な試練を乗り越え仙人へと覚醒することに成功し、新たな人生を長い間順調に歩んで来た彼女に舞い降りた突然の不幸は、人間であった頃の悲壮な心境にまで陥ってしまったのだった。

 堕仙女となった真如を人間界へ送ったのは、命の恩人であり仙人としての師匠の雲峡である。

 雲峡の操る仙葉に乗り人間界の地上へと降り立つと、城太郎(亜孔雀)にはめられたことを悔やみ、一晩中泣き明かし疲れきった顔の真如が頭を下げる。

「...雲峡様が人間だったわたしを折角救って下さったというのに...仙人としての人生を全うすることが出来ず、大変心苦しい次第です...申し開きのしようもございませぬ」

 謝罪して垂れる頭を雲峡がそっと優しく撫でる。

「まだお主の人生は終わってはいない...ちと短くなってしまったけれど、今まで降りかかった不幸なぞ全て忘れ、残りの人生を出来る限り悔いの無いよう生きればそれで良い。我も偶には人間界を訪れ、仙葉に乗ってお主に会いに行こうと想っておるよ...」

 普段は童顔の雲峡が、滅多にしない大人びた表情をして真如を慰めた。

  
 真如は雲峡と別れたあと、山奥にあったボロボロの廃屋を探し当て、そこを住処としてひっそりと暮らし始めた。

 それから何十年かが経過し、峠の団子屋で串団子を食す仙花一行を見つけ、大いに因縁のある亜孔雀との戦闘に至ったものである...



 
 さて、語り手としてはまさか真如の物語がここまで長くなろうとは!?といった想定外な具合であったのだけれど...

 このあと仙花一行及び真如と、悪魔の亜孔雀との戦いはどのような結末を迎えるのであろうか...


刀姫in 世直し道中ひざくりげ
『仙女覚醒編』完結
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