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ノ100 洗脳と心操
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城太郎が握っていた右拳を目の前で開くいた掌には、まるで蛍のように光を放つ小さな虫が動かずじっとしたまま乗っていた。
霊蟲の大きさは蛍とほぼほぼ変わらないけれど、放つ光は青白く、霊蟲本体そのものもす青白く透けており、その姿は幻想的で美しい飾り物とすら云えたかも知れない。
霊蟲を一目だけ確認した城太郎は拳をもう一度握って身を屈め、空いている左手を寝ている真如の頬に寄せ、閉じた口を無理矢理開かせた。
「っ!?」
熟睡中に突如として感じた違和感に真如の脳が反射的に反応して目が開き、その目の映った城太郎の怪しい表情に彼女は驚き何かを言おうとするが声にならない。
「愚かな仙女だ...まぁ不運だったと諦めな」
城太郎の手によって強引に開られた真如の口に、彼は右手の指で掴んだ霊蟲を放り込み喉の奥へと押し込み、彼女が吐き出さないよう今度は左手で口を塞ぐ。
「んぐぅぅぅ...........」
暫くのあいだ真如は城太郎の手に抗おうともがいたが、怪力を誇る彼女の上をいく城太郎の力を跳ね除けることは叶わず、とろんとした気力を感じない目付きに変わり、身体を動かし抗うことをやめてしまった。
「ほう...効果的面だったようだな。やはり父上より授かった霊蟲に間違いはなかった...」
亜孔雀(城太郎)の父であり魔王でもある羅賦麻が育て上げ、息子に渡したこの霊蟲の能力。それはズバリ「洗脳」と「心操」であった。
真如の喉に無理矢理押し込まれた霊蟲は、人の体内において食道を通らず、なんと血管を流れる血液に溶け込み脳へと達し、大きく分けて「大脳」「小脳」「脳幹」と呼ばれる部位のうち、主に思考や判断し行動する機能を司る「前頭葉」、主に知覚や感覚を司る「頭頂葉」、視覚を司る「後頭葉」、聴覚や記憶を司る「側頭葉」の4つの領域がある大脳を支配してしまうのである。
人の脳を支配した霊蟲をさらに操れる者は育成者となる。
しかし今回の場合、その育成者は亜孔雀ではなく羅賦麻であり、仕掛けたは良いが結局真如を操れることは不可能ではないか?などという疑問が浮かぶかも知れないけれど、そこは魔王のくせに抜け目のない羅賦麻が、霊蟲が育成者(所有者)を亜孔雀だと認識(反応)するよう手を加えていたのである。
体格が良く、魔王という魔界において頂点に位置する羅賦麻が蟲を育てる光景は想像し難く、ある意味滑稽で笑えてしまうのだが...
「洗脳は無事に完了した。真如よ、明日はたっぷり働いてもらうぞ。今夜は身体を休めておくがいい」
「はい...」
脳を支配され人格を失ってしまった真如は、無表情のまま無機質な返事をして眠りについたのだった。
霊蟲の大きさは蛍とほぼほぼ変わらないけれど、放つ光は青白く、霊蟲本体そのものもす青白く透けており、その姿は幻想的で美しい飾り物とすら云えたかも知れない。
霊蟲を一目だけ確認した城太郎は拳をもう一度握って身を屈め、空いている左手を寝ている真如の頬に寄せ、閉じた口を無理矢理開かせた。
「っ!?」
熟睡中に突如として感じた違和感に真如の脳が反射的に反応して目が開き、その目の映った城太郎の怪しい表情に彼女は驚き何かを言おうとするが声にならない。
「愚かな仙女だ...まぁ不運だったと諦めな」
城太郎の手によって強引に開られた真如の口に、彼は右手の指で掴んだ霊蟲を放り込み喉の奥へと押し込み、彼女が吐き出さないよう今度は左手で口を塞ぐ。
「んぐぅぅぅ...........」
暫くのあいだ真如は城太郎の手に抗おうともがいたが、怪力を誇る彼女の上をいく城太郎の力を跳ね除けることは叶わず、とろんとした気力を感じない目付きに変わり、身体を動かし抗うことをやめてしまった。
「ほう...効果的面だったようだな。やはり父上より授かった霊蟲に間違いはなかった...」
亜孔雀(城太郎)の父であり魔王でもある羅賦麻が育て上げ、息子に渡したこの霊蟲の能力。それはズバリ「洗脳」と「心操」であった。
真如の喉に無理矢理押し込まれた霊蟲は、人の体内において食道を通らず、なんと血管を流れる血液に溶け込み脳へと達し、大きく分けて「大脳」「小脳」「脳幹」と呼ばれる部位のうち、主に思考や判断し行動する機能を司る「前頭葉」、主に知覚や感覚を司る「頭頂葉」、視覚を司る「後頭葉」、聴覚や記憶を司る「側頭葉」の4つの領域がある大脳を支配してしまうのである。
人の脳を支配した霊蟲をさらに操れる者は育成者となる。
しかし今回の場合、その育成者は亜孔雀ではなく羅賦麻であり、仕掛けたは良いが結局真如を操れることは不可能ではないか?などという疑問が浮かぶかも知れないけれど、そこは魔王のくせに抜け目のない羅賦麻が、霊蟲が育成者(所有者)を亜孔雀だと認識(反応)するよう手を加えていたのである。
体格が良く、魔王という魔界において頂点に位置する羅賦麻が蟲を育てる光景は想像し難く、ある意味滑稽で笑えてしまうのだが...
「洗脳は無事に完了した。真如よ、明日はたっぷり働いてもらうぞ。今夜は身体を休めておくがいい」
「はい...」
脳を支配され人格を失ってしまった真如は、無表情のまま無機質な返事をして眠りについたのだった。
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