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ノ86 捨て駒
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強力な百倍重力の領域に羅賦麻を見事封じ込め、そのままの勢いで敵の身体を押し潰そうとする雅綾。
苦しむ羅賦麻の様子からして雅綾の思惑は上手くいっているようにも見えるが、果たして、本当に重力仙術だけで三大魔王の一人を押し切ってしまえるのか、攻撃体勢にある府刹那は一抹の不安を抱いていた。
亜孔雀との戦いでは雅綾が重力仙術によって動きを封じ込めたあと、天祥棍による必殺の一撃で大ダメージを与え吹き飛ばすことに成功した。
だが今回のケースで雅綾の使う重力仙術はその時の十倍。規模も威力も共に前回を遥かに凌駕する仙術であるため、敏捷性に自信を持つ府刹那も流石に重力の領域に踏み込めずにいたのである。
「雅綾爺、ほどほど止めるんじゃ。でないとお主が死んでしまうぞい」
府刹那は攻撃体勢にありながら攻め込めず焦りを感じつつも、命を削って大技を継続し、瞬く間に憔悴していく雅綾の様を見て危惧していたのだった。
「...奴が潰れて肉塊となり朽ち果てるが先か、それとも儂の命が尽きるのが先か...府刹那、儂が倒れたあとのことは任せたぞい...」
長年の好敵手にして相棒である雅綾には敢えて伝えることは無かったが、府刹那は羅賦麻から逃げず、戦う覚悟を決めた時から命を捨てるつもりだったのである。
苦しむ羅賦麻の様子からして雅綾の思惑は上手くいっているようにも見えるが、果たして、本当に重力仙術だけで三大魔王の一人を押し切ってしまえるのか、攻撃体勢にある府刹那は一抹の不安を抱いていた。
亜孔雀との戦いでは雅綾が重力仙術によって動きを封じ込めたあと、天祥棍による必殺の一撃で大ダメージを与え吹き飛ばすことに成功した。
だが今回のケースで雅綾の使う重力仙術はその時の十倍。規模も威力も共に前回を遥かに凌駕する仙術であるため、敏捷性に自信を持つ府刹那も流石に重力の領域に踏み込めずにいたのである。
「雅綾爺、ほどほど止めるんじゃ。でないとお主が死んでしまうぞい」
府刹那は攻撃体勢にありながら攻め込めず焦りを感じつつも、命を削って大技を継続し、瞬く間に憔悴していく雅綾の様を見て危惧していたのだった。
「...奴が潰れて肉塊となり朽ち果てるが先か、それとも儂の命が尽きるのが先か...府刹那、儂が倒れたあとのことは任せたぞい...」
長年の好敵手にして相棒である雅綾には敢えて伝えることは無かったが、府刹那は羅賦麻から逃げず、戦う覚悟を決めた時から命を捨てるつもりだったのである。
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