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ノ66 歳の差
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城太郎が売り物としていたのは、持ち運びにも便利な裁縫などで使用する「針」である。
売り物にしていたのは全て手作りの針であり、男ながらにして裁縫が得意であったため、人々の前で実演しては良く売れたものであった。
彼の年齢は二十五歳という若さであったが、商売のために町から町への移動する途中、何処からともなく暴れ馬がいきなりやって来て跳ねられてしまい、近くにあった池の中まで吹き飛び、何かに頭をぶつけて気を失ってからの記憶が無いのだと云う。
どういう奇跡が起こってこうなったのかは不明であるが、城太郎が気絶から回復すると、周りには見知らぬ世界が広がっており、すぐ目の前には自分をまじまじと見つめて座っている真如が助けてくれたのだと思い込んだ次第である。
話が飛び飛びになって申し訳ないけれど、真如と城太郎の二人が恋に堕ちるのに時間は掛からなかった。
何と云っても、真如は彼に完全なる一目惚れをしていたし、城太郎も初めて彼女の姿を見た瞬間まんざらでもなかったようで...
その日のうちに二人は結ばれましたとさ。
いやはや参った参った。「恋物語」を語るなどと云ってしまった手前、こんなに早く二人が結ばれてしまっては詐欺のようなものであろう。
だが成就してしまったものはどうにもこうにもいかないし、仕方がない。
ところで、真如が百五十年ほど前まで人間であった頃、正親(まさちか)という最愛の夫と死に別れていることを忘れてはならない。
つまり彼女は正真正銘の「バツイチ」なのである。
だが百五十年もの歳月を経た今となってはどうでも良いことかも知れない。
あと気になるのは百五十歳以上という途方もない年齢差であるが、真如の美しい容姿は二十八歳の頃のままであったし、きっと恋をすれば歳の差など関係ないのである。
城太郎は全てを知った上で彼女を愛し、真如は彼の顔だけでなくその懐の広さにも大いに惹かれた。我を忘れてしまうほどに...
二人が真如の住まいで幸せに暮らし始めて一年ほどが経過した頃、彼女にとって悪い意味での運命的な事件が起きてしまう。
その日、仙人界にある数少ない風習であり、十年に一度しか開催されない仙人会議に真如は招集されていた。
彼女は朝早くから家を出発し、残された城太郎は暇潰しに釣りでもしようと、真如と出会った湖へ一人で赴く。
湖に着くや、釣り針に早々と団子状の餌を付け釣竿に繋がった糸を垂らし、彼は晩飯になるような魚を釣り上げようと本気で思っていた。
売り物にしていたのは全て手作りの針であり、男ながらにして裁縫が得意であったため、人々の前で実演しては良く売れたものであった。
彼の年齢は二十五歳という若さであったが、商売のために町から町への移動する途中、何処からともなく暴れ馬がいきなりやって来て跳ねられてしまい、近くにあった池の中まで吹き飛び、何かに頭をぶつけて気を失ってからの記憶が無いのだと云う。
どういう奇跡が起こってこうなったのかは不明であるが、城太郎が気絶から回復すると、周りには見知らぬ世界が広がっており、すぐ目の前には自分をまじまじと見つめて座っている真如が助けてくれたのだと思い込んだ次第である。
話が飛び飛びになって申し訳ないけれど、真如と城太郎の二人が恋に堕ちるのに時間は掛からなかった。
何と云っても、真如は彼に完全なる一目惚れをしていたし、城太郎も初めて彼女の姿を見た瞬間まんざらでもなかったようで...
その日のうちに二人は結ばれましたとさ。
いやはや参った参った。「恋物語」を語るなどと云ってしまった手前、こんなに早く二人が結ばれてしまっては詐欺のようなものであろう。
だが成就してしまったものはどうにもこうにもいかないし、仕方がない。
ところで、真如が百五十年ほど前まで人間であった頃、正親(まさちか)という最愛の夫と死に別れていることを忘れてはならない。
つまり彼女は正真正銘の「バツイチ」なのである。
だが百五十年もの歳月を経た今となってはどうでも良いことかも知れない。
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城太郎は全てを知った上で彼女を愛し、真如は彼の顔だけでなくその懐の広さにも大いに惹かれた。我を忘れてしまうほどに...
二人が真如の住まいで幸せに暮らし始めて一年ほどが経過した頃、彼女にとって悪い意味での運命的な事件が起きてしまう。
その日、仙人界にある数少ない風習であり、十年に一度しか開催されない仙人会議に真如は招集されていた。
彼女は朝早くから家を出発し、残された城太郎は暇潰しに釣りでもしようと、真如と出会った湖へ一人で赴く。
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