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ノ38 仙花の失態
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亜孔雀の言い分を敢えて要約するなれば、「美味そうな匂いに釣られてわざわざ道を外してまで足を運んだ」といったところであろうか。
「...心得たぞい。その良い匂いの源であるこの串団子はくれてやる。だからお前はさっさと此処を立ち去れ」
真如はそう言って串団子の山盛り乗った大皿を抱えて亜孔雀に歩み寄る。
山盛りの串団子を目にした亜孔雀が、己の顔の長さくらいあろうかという舌を出し、涎をタラタラと垂れ流す口の周りを舐め回した。
「待て待て待て!待ってくれ真如様!其奴に串団子をくれてやる必要は微塵も無いぞ!」
仙花が横から叫び、進む真如を止める。
この時、仙花一行の中で最も亜孔雀を警戒していたのはお銀、次いで雪舟丸であったが、仙花が叫んだ瞬間に各々の武器を取り出し構えていた。
「娘っ!お主ら人間には関係ないのないこと。団子を食い、腹がおさまったのならすぐに旅の続きをするんだ!」
真如の剣幕に仙花はポカンとしてしまったが、真如の云わんとすることを察したお銀が仙花に近づきボソボソと耳打ちをする。
「仙花様。そこの亜孔雀の妖気たるや危険極まりなく、恐らくは我らが束になってかかっても敵わぬほどにとてつもない力を持つ化け物にございます。それを知る真如様はこの場を去って早く逃げよと伝えておられるのですよ」
お銀の言葉に仙花の表情が曇る。
「奴が只者でないことくらい儂も感じておる。だが此処で此奴から逃げてしまえば、奴の通る道で人間の犠牲者が増えるというものではないか?」
「仙花様...」
日頃から常に強気で余裕のあるお銀の影は今はない。本能が「逃げるべきだ」と判断を下している状態での仙花の言動に困惑していたのだ。
「グァグァグァグァ!小うるさい人間の童だな。...そう言えば久しく人間は喰らっておらんなぁ。どれ、人間で腹ごしらえするのも一興というものか...」
仙花が串団子を差し出そうとする真如を止めた所為で、亜孔雀の食欲の方向が変わってしまったかも知れなかった。
「待つのじゃ亜孔雀!そんな弱い人間の肉を喰らってもお前の力にはなりゃせん!こっちの串団子の方がよっぽど力がつくというものぞ」
仙花に向けられた殺気をどうにかしようと真如はさらに近づく。
だが...
「もうその食い物には興味が無くなった。オレは人間を喰らうことにする」
そう言って亜孔雀は真如に向けて下から上へと腕を軽く振った!
「ズバババババッ!!!!」
「ぬっ!!??」
たちまち地面が裂けるほどの凄まじい衝撃波が真如を襲った!
「...心得たぞい。その良い匂いの源であるこの串団子はくれてやる。だからお前はさっさと此処を立ち去れ」
真如はそう言って串団子の山盛り乗った大皿を抱えて亜孔雀に歩み寄る。
山盛りの串団子を目にした亜孔雀が、己の顔の長さくらいあろうかという舌を出し、涎をタラタラと垂れ流す口の周りを舐め回した。
「待て待て待て!待ってくれ真如様!其奴に串団子をくれてやる必要は微塵も無いぞ!」
仙花が横から叫び、進む真如を止める。
この時、仙花一行の中で最も亜孔雀を警戒していたのはお銀、次いで雪舟丸であったが、仙花が叫んだ瞬間に各々の武器を取り出し構えていた。
「娘っ!お主ら人間には関係ないのないこと。団子を食い、腹がおさまったのならすぐに旅の続きをするんだ!」
真如の剣幕に仙花はポカンとしてしまったが、真如の云わんとすることを察したお銀が仙花に近づきボソボソと耳打ちをする。
「仙花様。そこの亜孔雀の妖気たるや危険極まりなく、恐らくは我らが束になってかかっても敵わぬほどにとてつもない力を持つ化け物にございます。それを知る真如様はこの場を去って早く逃げよと伝えておられるのですよ」
お銀の言葉に仙花の表情が曇る。
「奴が只者でないことくらい儂も感じておる。だが此処で此奴から逃げてしまえば、奴の通る道で人間の犠牲者が増えるというものではないか?」
「仙花様...」
日頃から常に強気で余裕のあるお銀の影は今はない。本能が「逃げるべきだ」と判断を下している状態での仙花の言動に困惑していたのだ。
「グァグァグァグァ!小うるさい人間の童だな。...そう言えば久しく人間は喰らっておらんなぁ。どれ、人間で腹ごしらえするのも一興というものか...」
仙花が串団子を差し出そうとする真如を止めた所為で、亜孔雀の食欲の方向が変わってしまったかも知れなかった。
「待つのじゃ亜孔雀!そんな弱い人間の肉を喰らってもお前の力にはなりゃせん!こっちの串団子の方がよっぽど力がつくというものぞ」
仙花に向けられた殺気をどうにかしようと真如はさらに近づく。
だが...
「もうその食い物には興味が無くなった。オレは人間を喰らうことにする」
そう言って亜孔雀は真如に向けて下から上へと腕を軽く振った!
「ズバババババッ!!!!」
「ぬっ!!??」
たちまち地面が裂けるほどの凄まじい衝撃波が真如を襲った!
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