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第137話 気絶寸前
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「むっ!?むむっ!」
「ひゃっ!?わわっ!!」
酷い揺れで絵も言われぬ哀れな姿となった僕と未桜の悲鳴が車内に響き続ける。
グラグラと揺れながらも車内中央のバックミラーを覗き込むと、運転に全神経を注いで集中し眉間に皺を寄せた淀鴛さんの鋭い目が映っていた。
車での移動中、淀鴛さんとの会話をあれやこれやと準備していたのだけれど、会話ができるような状態ではあろうはずもなく、喋った瞬間に舌を噛みかねないので一言も声をかけることすらままならない。
ようやく山道を抜けて平坦で長閑な車道へ出た時には、無論、経験したことなどないのだけれど、僕と未桜は「ぐるぐるバット」をしゃにむに100回ったくらいの気持ち悪さでグッタリとなったものである。
そんな折、平坦な道になり余裕ができたのか、運転速度はそのままに、淀鴛さんが前方を向いたまま話しかけてくる。
「随分と静かじゃないかお二人さん。ひょっとして昨晩の酒がまた回ってきたんじゃないか?」
酒の所為なんかじゃありませんよ淀鴛さん、僕達が静かなのは全て貴方の暴走とも云える激しすぎた運転の所為なんです。
と言いたいところであったのだが、車酔いのあまりの気持ち悪さに言葉を発することができない。
未桜に至っては横になり、口元に若干の泡を浮かべて気絶寸前の有り様であった...
「ひゃっ!?わわっ!!」
酷い揺れで絵も言われぬ哀れな姿となった僕と未桜の悲鳴が車内に響き続ける。
グラグラと揺れながらも車内中央のバックミラーを覗き込むと、運転に全神経を注いで集中し眉間に皺を寄せた淀鴛さんの鋭い目が映っていた。
車での移動中、淀鴛さんとの会話をあれやこれやと準備していたのだけれど、会話ができるような状態ではあろうはずもなく、喋った瞬間に舌を噛みかねないので一言も声をかけることすらままならない。
ようやく山道を抜けて平坦で長閑な車道へ出た時には、無論、経験したことなどないのだけれど、僕と未桜は「ぐるぐるバット」をしゃにむに100回ったくらいの気持ち悪さでグッタリとなったものである。
そんな折、平坦な道になり余裕ができたのか、運転速度はそのままに、淀鴛さんが前方を向いたまま話しかけてくる。
「随分と静かじゃないかお二人さん。ひょっとして昨晩の酒がまた回ってきたんじゃないか?」
酒の所為なんかじゃありませんよ淀鴛さん、僕達が静かなのは全て貴方の暴走とも云える激しすぎた運転の所為なんです。
と言いたいところであったのだが、車酔いのあまりの気持ち悪さに言葉を発することができない。
未桜に至っては横になり、口元に若干の泡を浮かべて気絶寸前の有り様であった...
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