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第67話 絶句
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此処、燈明神社と淀鴛の家は井伊影村の中心部から離れた森の奥に位置している。
ライフラインの水道やガスが通っていないこの土地の周囲には、その不便さからか人家は一軒も存在せず、野生の鳥や虫達の鳴き声がしなければ、「しん」と静まり返った空間の広がった場所であった。
そんな静けさいっぱいである淀鴛の家の裏庭に雨がしとしとと降り続け、夕方の五時半という時間帯でありながらほとんどに暗闇が纏わりつき、不気味さ満点のシチュエーションを醸し出している...
「なぁ未桜。例のお方は未だにこの場へ残っていらっしゃるのかな?」
出来ることなら避けたい質問であったのだけれど、探偵としての性だろうか、少しでも事件の手掛かりが欲しいという欲求が優ってしまった。
「う~ん、まだ残っていらっしゃるねぇ...というかたぶんだけれど、何十年も前からこの土地に残ってるみたい...」
「そのお方はどちらに?」
「あそこだよ。雨が降ってて見え辛いけれど、今はお墓の前に立ってわたし達を眺めてるみたい...」
いつもは天真爛漫を絵に描いたようような助手の未桜が、柄にもなく真剣な面持ちになり一点集中で見つめる方向へ僕も目線を向けた。
「あっ...」
目に映った瞬間、僕は絶句した。
上空から降りぐ線のような雨と、夜も近くなった暗さの所為で、鮮明に視えているわけではないけれど、そこには斜めに傾き苔の生えた墓石が置かれており、すぐ横には青白い火の玉がゆらゆらと揺れながら浮かんでいたのである...
ライフラインの水道やガスが通っていないこの土地の周囲には、その不便さからか人家は一軒も存在せず、野生の鳥や虫達の鳴き声がしなければ、「しん」と静まり返った空間の広がった場所であった。
そんな静けさいっぱいである淀鴛の家の裏庭に雨がしとしとと降り続け、夕方の五時半という時間帯でありながらほとんどに暗闇が纏わりつき、不気味さ満点のシチュエーションを醸し出している...
「なぁ未桜。例のお方は未だにこの場へ残っていらっしゃるのかな?」
出来ることなら避けたい質問であったのだけれど、探偵としての性だろうか、少しでも事件の手掛かりが欲しいという欲求が優ってしまった。
「う~ん、まだ残っていらっしゃるねぇ...というかたぶんだけれど、何十年も前からこの土地に残ってるみたい...」
「そのお方はどちらに?」
「あそこだよ。雨が降ってて見え辛いけれど、今はお墓の前に立ってわたし達を眺めてるみたい...」
いつもは天真爛漫を絵に描いたようような助手の未桜が、柄にもなく真剣な面持ちになり一点集中で見つめる方向へ僕も目線を向けた。
「あっ...」
目に映った瞬間、僕は絶句した。
上空から降りぐ線のような雨と、夜も近くなった暗さの所為で、鮮明に視えているわけではないけれど、そこには斜めに傾き苔の生えた墓石が置かれており、すぐ横には青白い火の玉がゆらゆらと揺れながら浮かんでいたのである...
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