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第7話 車内の罠

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 話しが交錯、いや、まちまちで些か申し訳ない気持ちもあるれど、貴方は彼女、若しくは彼氏との交際期間が短いうちに車でドライブへ出かけ、狭い密室となる車内で会話に困った経験は無いだろうか?

 問いを出しておいて出題者が即答するのもなんだが少なくとも僕にはある。

 恥ずかしながら大学時代に付き合った人生初めての彼女との初デートにて、あろうことか密室故に会話レベルの試される車でのドライブを選択してしまったのだ。

 そもそも当時の僕は、大学で得られる知識を全て吸収してやろうと躍起になって勉強していて、車内の狭い密室で女性と過ごすといった経験など皆無でしかなかった。

 ん?ガリ勉剥き出しに勉強ばかりしていた当時の僕になぜ彼女が出来たのか?

 などという疑問が浮かび上がるであろうけれど、今話したいことは恋話を主としているわけではないのでここは丁寧に置いておくことにしよう。

 では主たる話しのドライブデート当日、バイトで稼いだお金で選択できる限界ギリギリのHV車をレンタルした僕は、彼女との待ち合わせ場所まで意気揚々と車を走らせた。

 人生初の初デートで有頂天極まりなかった僕は、待ち合わせ場所へ向かうあいだ幸せいっぱい胸いっぱいであったものである。

 だが、待ち合わせ場所へ安全運転で無事到着し、彼女が助手席に座った瞬間から僕の脳に思わぬ変化が起こったのだ。

 変化にも良い変化や悪い変化、感じ取れない変化など様々変化があるのだけれど、その時の僕に起こった変化は否応無く最悪の変化だったと云えよう。

 ご存じの通り、車の車内の運転席と助手席は人と人とを物理的にかなりの至近距離まで近づける。

 これが勉強ばかりしてきて人とほとんど接してこなかった僕への代償なのか、自分の予想以上に心拍数が上がってしまい、緊張感が身体中を駆け巡って頭が不覚にも真っ白になってしまったのだ。

 緊張から回らなくなってしまった僕の天才的頭脳は、ドライブ中に彼女を喜ばせる会話を生み出す筈だった奇才的頭脳は、その機能を全く活かすことく、無言地獄という悲惨な空間を作り出したのである。

 助手席に座っていた彼女には悪いけれど、目的地に着き、車を降りて外の空気を吸った時にはどれだけ生き返った気分になったことか。

 そしてこのあと、彼女の言った言葉ににどれくらい救われたことだろうか。

 目的の店に入ろうと横並びになって歩き出したところで、店の入り口から視線を外さず微笑を浮かべて彼女は言った。

「初デートってこんなに緊張しちゃうんだね。私、頭が真っ白でなんにも喋れなくてごめんなさい。でも一輪君のこともっともっと知りたいからぁ、帰りはたくさんお喋りしようね♪」

 と...
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