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ペットショップへ行く

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「でもあなたが猫を飼いたいなんて言い出すなんて、やっぱり動物園に勤めてるのが影響してるのかしらねぇ」

 確かに今まで猫を飼いたいなんて言ったことは無かった。母の言う通り動物園勤めが影響している可能性は否定出来ない。でもそれは良いとして...

「それはそうかも。でねでね、飼うんだったら黒猫が良いと思うんだけどどうかな?」

「そうねぇ。わたしの飼ってた猫も黒猫だったし、魔女には一番お似合いかも知れないわ」

「お父さんは茶トラの猫も好きだぞ」

「「それは無い!」」

 お母さんと同時に否定してしまった。

 お父さんには悪いけれど、魔女と茶トラの猫ってイメージが全然湧かない。

「明日は仕事休みなんでしょ。あなたに任せるから、ペットショップでも行って良さそうな猫がいたら買って来ると良いわ」

「わたしが選んで良いの!?」

「あなたの相棒なんだからあなたが決めるべきよ。その代わり、お代は毎月の給与からいただくわよ」

 そりゃそうだろうな...やっぱりしっかりしてるなぁ、うちの母上は。

「分かった。分割の12回払いで毎月給料日に渡すわね!」

 些細な衝動から現実的な話に発展して、僅かな時間で猫を飼うことが決まってしまった。なんだか信じられない。
 でもまあ、明日の予定が立ったとういうことで。

 結局その夜は小学生の遠足前のドキドキ感のようになかなか寝付けず、あれやこれやと考えて夜更かししてしまった。

 次の日の朝は9時頃に目が覚めた。
 下へ降りても誰も居らず、ダイニングキッチンのテーブルには母の作ってくれた朝食と、ペット代と書かれた白い封筒が置かれていた。

 やたら分厚い封筒を開けると現金で30万円も入っていた。猫ってこんなに高いんだっけ!?
 久々に新聞を読みながら朝食を食べ、外出するための準備をした。
 悲しいかな。彼氏とデートする訳でも無いし特にオシャレに気を使うことも無い。化粧もせずに程なく家を出た。

 自転車に乗って軽快にペダルを漕いで、街なかにあるペットショップを目指す。
 天気は良好で河原の道を通る時に春の風を心地よく感じた。

 1時間と掛からずペットショップに着き、自転車に鍵を掛けて店内に入る。

 このペットショップに居る動物は犬や猫が大半を占め、あとは鳥類や爬虫類などが少しのスペースに居た。

 今回は猫が目的なので真っ直ぐに猫のコーナーへ向かう。

 最初に目に入ったのはスコティッシュフォールド。なんとも言えない愛らしい丸っとした顔をしている。でも、残念ながら色が真っ黒では無い。

 次に目にしたのはミヌエット。とぼけたような眼をした可愛い子。値段を見るとビックリの30万円だった。
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