プロメテウスの神託

流川おるたな

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序章

32話目 サイコキネシス

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 かくして、黒川と冬春、環奈の三人は料理の準備に取り掛かり、要はシェルターに格納していた私服を纏って研究室にプロメテウスと居た。
 空腹を感じると同時に痛烈な喉の渇きも感じた要は、冷蔵庫に大量保存されている好物のペプシを一本取り、開封すると欲求のまま一気に飲み干した。

「...ゴク、ゴク、ゴクゴクゴクゴクッ...うっ!!??げほっ!げほっげほっ!!」

 案の定である。ペプシの味はしっかり確かめられたものの、一気飲みの所為で炭酸飲料の洗礼をモロに受けてしまった。

「ん、前の身体ではこんなことは無かったんだが...やはり若い身体は勝手が違うな...」

 機械の整備をしながらプロメテウスが言う。

「左様でございますか。新しい身体は慣れるまで多少の時間が必要かと思われます。わたしもこの身体にまだ完全には慣れておりませんので...要様の場合は恐らくわたしよりも慣れるまで時間が掛かることでしょう。要様の頭の中には、50年も使用していた以前の身体のくせも情報として残っているでしょうから...」

「なるほどね...確かに遠近感覚もまだ正常とは言い難いし、ペプシの味も物は変わらないのに若干の違和感を感じた...しかし、「使用していた身体」と言われると何だかおっかないことをしているようで不気味だな」

「それは至って正常な思考であるかと。わたしと要様がともに行ったことは、人間で言うところの神の領域に触れた禁忌の行為でございますから」

「プロメの言う通りだ。こんなことばかりやってるから変な組織に襲撃されるのも不思議じゃない。自業自得ってやつだな、ハハハ...そう言えばプロメ、昨日襲撃してきた奴らの素性について何か分かったか?」

「申し訳ございません。今もサーバー内のわたしが全力で情報収集に努めておりますが、未だに有力な情報を取得できず特定することができない状況でございます」

「そうか、僕の最高傑作プロメテウスでも探しきれないのか...よっぽど情報隠匿の得意な組織のようだなぁ...まぁ奇襲してきた相手への報復を考えている訳でもないし...それよりプロメ」

「何でしょう要様」

「君の身体は普通の人間のクローン体でないことは既に調べて知っているよね?」

「...はい。おっしゃる通りでございます。わたしがこれから長い間お世話になるであろうこの身体、如何に効率良く機能を発揮できるのか検討するため可能な限り調べさせて頂きました」

「流石だね~プロメ。じゃあ早速だけど、君のクローン体のベースとなったルーナ・レノンのサイコキネシスを披露してくれないか?」
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