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序章
24話目 味覚
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「おっしゃる通り、早めに使いたい食材もございましたので今夜はカレーにしました。プロメさんに喜んでもらえれば嬉しいのですが」
黒川は優しい笑顔でプロメテウスに視線を送った。
因みに、インド料理は香辛料を多用するため外国人の多くはインド料理の煮込み料理を「カレー」と認識している。しかし外国人がカレーと呼ぶインドの煮込み料理は、サーグ、サンバール、コルマ、ダールなど、それぞれに固有の名称があり、「カレー」という料理はないらしい。
環奈とプロメの二人が黒川が作った料理などを運ぶ手伝いをして、テーブルに全て並んだところで三人が揃って食事を摂る。
環奈と黒川の二人がスプーンを握ったままカレーには手をつけず、心配そうにしてプロメに注目した。
「プロメさん、カレーの食べ方は知ってますか?」
「もちろんカレーに関する情報も全て頭に入っております。ですが初めて食べ物を口に入れるとなると意外に緊張するものですね」
普通の人間であれば、赤ん坊の時期は離乳食などを親から一方的に与えられ、幼児の時期になると食べ方を教わり徐々に食べられるものが増えてき、やがて一人で食事ができるようになるという段階を踏んでいくものだが、ことプロメテウスに関してはその全過程をすっ飛ばし、大きな赤ん坊的存在となっているわけで...
「では、いただきます」
プロメテウスがカレーと米粒を半々の割合でスプーンに乗せ口にし、モグモグと口を動かすと彼女の口角が上がり満足そうな笑みを浮かべた。
環奈がプロメテウスの感想を早く聞きたくてウズウズしながら訊く。
「プロメ、美味しい?ねぇ美味しい?」
プロメテウスがカレーを喉に流し込み「ぷふぅ~」と息を吐き。
「こっ!これがカレーというものでございますか!!??わたしは美味しさのあまりもの凄い高揚感で満たされております!これが人間の持つ味覚というものなのでございますね!素晴らしい!わたしは感動し過ぎてブルブルと膝の震えが止まりません!」
環奈と黒川の二人は興奮したプロメテウスを初めて見た。そしてテーブルの下を覗き込み、彼女の言うブルブルと振動する膝の震えを確認したのだった。
「そうですかそうですか。そんなに喜んでいただけるとは、作った甲斐があったというものです」
黒川は料理人としての喜びを表情にあらわしていた。
「宗ちゃん!わたしたちも早く食べよう!」
「そうですね。いただくとしましょう」
三人が三人とも遅くなった夕食を心ゆくまで堪能し、プロメテウスの圧倒的な知識量を知ることとなる会話が夜更かしするまで続いたあと、それぞれの個室に移り、密度の濃い悲しみと喜びに溢れた一日を終えたのだった...
黒川は優しい笑顔でプロメテウスに視線を送った。
因みに、インド料理は香辛料を多用するため外国人の多くはインド料理の煮込み料理を「カレー」と認識している。しかし外国人がカレーと呼ぶインドの煮込み料理は、サーグ、サンバール、コルマ、ダールなど、それぞれに固有の名称があり、「カレー」という料理はないらしい。
環奈とプロメの二人が黒川が作った料理などを運ぶ手伝いをして、テーブルに全て並んだところで三人が揃って食事を摂る。
環奈と黒川の二人がスプーンを握ったままカレーには手をつけず、心配そうにしてプロメに注目した。
「プロメさん、カレーの食べ方は知ってますか?」
「もちろんカレーに関する情報も全て頭に入っております。ですが初めて食べ物を口に入れるとなると意外に緊張するものですね」
普通の人間であれば、赤ん坊の時期は離乳食などを親から一方的に与えられ、幼児の時期になると食べ方を教わり徐々に食べられるものが増えてき、やがて一人で食事ができるようになるという段階を踏んでいくものだが、ことプロメテウスに関してはその全過程をすっ飛ばし、大きな赤ん坊的存在となっているわけで...
「では、いただきます」
プロメテウスがカレーと米粒を半々の割合でスプーンに乗せ口にし、モグモグと口を動かすと彼女の口角が上がり満足そうな笑みを浮かべた。
環奈がプロメテウスの感想を早く聞きたくてウズウズしながら訊く。
「プロメ、美味しい?ねぇ美味しい?」
プロメテウスがカレーを喉に流し込み「ぷふぅ~」と息を吐き。
「こっ!これがカレーというものでございますか!!??わたしは美味しさのあまりもの凄い高揚感で満たされております!これが人間の持つ味覚というものなのでございますね!素晴らしい!わたしは感動し過ぎてブルブルと膝の震えが止まりません!」
環奈と黒川の二人は興奮したプロメテウスを初めて見た。そしてテーブルの下を覗き込み、彼女の言うブルブルと振動する膝の震えを確認したのだった。
「そうですかそうですか。そんなに喜んでいただけるとは、作った甲斐があったというものです」
黒川は料理人としての喜びを表情にあらわしていた。
「宗ちゃん!わたしたちも早く食べよう!」
「そうですね。いただくとしましょう」
三人が三人とも遅くなった夕食を心ゆくまで堪能し、プロメテウスの圧倒的な知識量を知ることとなる会話が夜更かしするまで続いたあと、それぞれの個室に移り、密度の濃い悲しみと喜びに溢れた一日を終えたのだった...
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